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『ゴースト・オブ・ヨウテイ』先行プレイ:手段を選ばず復讐を遂げる主人公「篤」にめっちゃ感情移入してしまう。「復讐は何も生まない!」なんてことはなく、しっかり復讐できる。そこに「誉」はないが、それがいい

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大作RPG『ゴースト・オブ・ヨウテイ』が、2025年10月2日に発売を控えています。

本作『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は、2020年にリリースされたオープンワールド時代劇アクション『ゴースト・オブ・ツシマ』の続編。前作は1200年代の対馬にモンゴルからの軍勢が襲来した「元寇襲来」をモチーフにして作られた作品です。

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(画像は“Steam:Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT”より)

アメリカの開発会社であるサッカーパンチスタジオが、忠実な取材や日本の時代劇へのリスペクトを込めて送り出した『ゴースト・オブ・ツシマ』は、多くのユーザーから高い評価を持って受け止められました。

入念な取材に基づいた史実をベースにしつつも、同時にケレン味のある脚色を施すことで、非常にドラマチックな作品となっています。

そんななか、筆者は『ツシマ』の続編となる『ゴースト・オブ・ヨウテイ』の先行プレイをする機会に恵まれました。本作では、前作からおよそ300年後の蝦夷地(現在の北海道)であり、家族を皆殺しにされた武芸者「篤(あつ)」として旅をするのだといいます。

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本作をプレイした率直な感想は、「篤、カッコよすぎる……!」ということ。

篤からは、時代劇の登場人物としての泥臭くも矜持ある恰好よさであったり、「徹底的な復讐者としての覚悟」、「強さの裏に隠れた弱さ」だとか、「無垢な存在に対する根底的な愛情」などが感じられます。とにかく感情移入できる、魅力的なキャラクターになっていると感じたんです。

時代劇の登場人物は、ある種「舞台装置」的な描き方をされることも多いと思います。「勧善懲悪」・「喧嘩両成敗」のような分かりやすいテーマに沿ったキャラ造形がされ、ある種「予定調和のおもしろさ」といったところがあるわけです。

本作の主人公・「篤」にも、そうした「時代劇キャラ」としての型がキマった魅力がありつつも、一方でゲームならでは一人称体験として、彼女の抱える生い立ちやトラウマ・復讐者としての生きざまや、ドラマチックな展開の数々に大変深く入り込むことができました。

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試遊期間が限られている関係上、ストーリーの全てを見たわけではないし、最終的に彼女がどういった運命に向かうのかはまだわからない。もしかしたらどんでん返しがあるかもしれないし、筆者が想像した展開にはならないかもしれない。

それでも、篤の物語を最後まで見届けたいという気持ちにさせられました。

ゲームとしての『ゴースト・オブ・ヨウテイ』を遊んでみた感想としては、「なにもかもがストレスなく、とにかくプレイしていて楽しい!」という印象で、オープンワールドでの冒険や多彩な剣戟アクション、周辺のシステムも非常に快適です。

そういったポイントも踏まえて、今回は特に主人公の「篤」にフォーカスしつつ紹介したいと思います。

文/なからい
編集/TsushimaHiro

※当記事は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)から商品コードの提供を受けて執筆されています。

※キャプチャ環境
・PS5
グラフィック設定:「画質優先」(30FPSをターゲットフレームレートにした高解像度設定)
PS5本体の録画機能で撮影


徹底して復讐する主人公。そこに「誉れ」はない

本作をプレイしてまず感じたのは、篤が復讐にかける並々ならない執念です。

主人公の「篤」は、いわゆる女武芸者のような人物。彼女は幼少期に家族を惨殺されており、その仇である「羊蹄六人衆」と呼ばれる謎の集団に対しての復讐を決意。16年もの修練を重ねた後に、いよいよ六人衆の喉元へ迫っていく……というのが主なストーリーです。

そもそもの話ですが、いくら家族の仇討ちとはいえ、小さな子供が16年もの間武芸の修行を重ねていたこと。そしてその間ずっと復讐心を燃やし続けるというのは、なかなかできることではありません。

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そのうえ、「羊蹄六人衆」は配下にかなりの軍勢を従えており、蝦夷地の各地に勢力を広げています。そんななか女性の身ひとりで飛び込んで戦おうというのも並大抵の覚悟ではないでしょう。

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そんな篤の持つ復讐者としての思いや態度は、作中で繰り返し描かれます。

また、アクション要素については後ほど紹介しますが、篤は刀はもちろん、二刀や大太刀などのさまざまな武器を使い分けて立ち回りますし、そのうえ暗殺・目潰し、果ては火矢での狙撃など、文字通り「手段を選ばない」戦い方で、敵兵たちを残忍になぎ倒していきます。

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▲物語冒頭、いきなり敵の根城に火をつける。その目に迷いはない

そこに「誉」や「慈悲」はなく、とにかく死に物狂いで仇を討つ。

今回、ストーリーについてのネタバレや詳細な紹介は控えますが、本作『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は、「復讐」というテーマに大きくフォーカスを当てた作品と言えるでしょう。

個人的に、復讐譚の登場人物は大きく二種類に分類できると考えていて、それは「復讐を続けるか葛藤するタイプ」と「徹底して復讐をやりとげるタイプ」です。

前者はその心の機微を、後者はそのカタルシスを楽しむものだと思いますが、開始してすぐ「篤はまず間違いなく後者のタイプだろうな」と感じさせられました。

実際に作中で篤は、徹底してなりふり構わずに目的を遂げようとする復讐者としての側面が描かれており、筆者もその強さや信念に大きく惹かれました。

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復讐者の顔の一方で垣間見える篤の「弱さ」や「優しさ」

また、篤の人物像は「ただの冷酷な復讐鬼」としてだけ描かれているわけではありません。強さの裏で時折見せる弱さや優しさが、篤の魅力をより引き立てています。

まずは篤の抱えるある種の「弱さ」について。彼女に凄惨な過去があったことは説明したとおりですが、篤はその経験を復讐の糧として燃やすのと同時に、それによって未だなお苦しめられているような描写もされます。

本作のプレイ中、時折訪れるのが子供時代の回想シーン。それには、平和だったころの家族の暮らしも、事件の日の様子も含まれます。場合によってはプレイヤー自身が「幼い頃の篤」となって実際に操作することになります。

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幼子が経験した、今はもうない家族の思い出、そして凄惨な事件により受けた心の傷が、否が応でも突きつけられます。

さらには、睡眠中などに当時のトラウマがフラッシュバックするようなことも。特に事件の様子は非常にショッキングで、子供の篤を通した体験をすることで「なんて大変だったんだろう……という気持ちになり、よりいっそう彼女へ感情移入させられました。

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また、篤が時折見せる優しい一面も非常に魅力的。篤は倒すべき敵や成し遂げるべき目的のためには冷酷で、手段を選びません。ただ誤解を招かないように書いておくと、そうでない人物、特に困っている人や動物たちには優しい人情家の一面も持ち合わせています。

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武芸者らしく口調は非常にぶっきらぼうな篤。ですが、旅先で弱者に出会えば、彼らの手助けをしますし、ひとたび信頼に足る人物とわかればその心を開きます。

優しさを覗かせる一面と、復讐者としての一面。どちらが本当の彼女なのかはわかりませんが、こうした二面性も、篤の魅力を引き立てていると感じました。

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個人的にお気に入りだったのは「大太刀」の使い方を教えてくれる「吉田」とのやりとり。本作であらたな武器種を習得するためには、各地にいる達人の元を訪れクエストをこなす必要があります。

「吉田」とはその流れで共闘することになり、しばらくふたりで行動することになるのですが、その際のふたりの会話が非常に軽妙洒脱で、見ていて大変楽しめたんです。

篤と同じく、吉田にもなにやら「羊蹄六人衆」との因縁がある様子。お互いの事情や腹のうちを探りつつも、徐々に師弟としての信頼関係を築いていく様子にはサブストーリーとしての満足感を覚えます。

本作『ゴースト・オブ・ヨウテイ』には、アニメ『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』などの監督・渡辺信一郎氏にインスパイアされた演出が楽しめる「渡辺モード」が搭載されているのですが、クエスト中のセリフ回しなどからも、ときおり渡辺信一郎作品のようなオシャレな掛け合いに近いものを感じてシビれるものがありました。

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▲ちなみに、篤の日本語声優を務めるのは『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』の空条徐倫などを演じたファイルーズあいさん。個人的には篤のキャラ造形にも徐倫と近いものを感じてハマり役です

登場人物のキャラが立っていて、NPCと会って話すのがおもしろいのも本作の特徴。

「二刀の達人だったが、隻腕となってしまった老人」「死体漁りをしてたくましく生き抜いている男の子」など、個性豊かな蝦夷地の人々との交流も楽しんでみてください。

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狙撃に闇討ち、目潰し……『ヨウテイ』のアクションにも変わらず「誉れ」はない

さて、次は気になる本作のアクション要素について紹介しましょう。本作のアクションには、多彩な武器や道具、豊富な戦法が登場。「使えるものはなんでも使う」「なりふりかまわず敵を討つ」といった様相で、篤の残忍な復讐者としての側面が際立つ「誉れなき戦い」を体験することができます。

前作同様、「お侍さまの戦い方じゃない」のはまず間違いないでしょう。

まずは、本作のメイン武器について。本作には、最初から所持している刀の他に、二刀や大太刀、槍や鎖鎌などの豊富な武器が存在。刀以外の武器は、蝦夷地の各地にいる達人に教えを請うことで習得することが可能です。

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▲達人のひとりである「半兵衛」。二刀の達人であるにもかかわらず、ある事情で隻腕になってしまったようです

これらの武器は、戦闘中にいつでも切り替え可能。好みの武器で戦ってもよいのですが、「槍には二刀が有利」といった相性が定められているため、筆者は都度切り替えながら進めていきました。

そんな本作の剣戟アクションですが、ゲームとしての操作自体は軽快でありながら、モーションや効果音などからは刀身の重厚感がしっかり感じられて、「本当に人を斬っているんだ」という臨場感があります。

また、敵を斬り倒した際のポージングは非常に劇的というか「決まっている」感じがしてたいへん画になり、端的にビジュアルとしてのかっこよさが光ります。

ザコ敵の軍に飛び込んでバッタバッタと斬り倒していくのは(行いの残忍さはともかく)ゲームとしては非常に爽快で、慈悲なき復讐者としての体験に大きく入り込めました。

ただ、だからと言って決して大味なわけではなく、難しい場面はちゃんと難しいことも。本作にはいわゆるジャストガードやカウンター、ジャスト回避のような要素も存在。うまく決められるかで勝敗が分かれることもあります。

敵軍との集団戦闘だけではなく、ネームドの賞金首との決闘のようになるシーンも。筆者がプレイしたのは難度「普通」でしたが、何回も返り討ちにあうこともありました。ド派手なアクションを楽しみつつも、「やるかやられるか」という緊張感も味わえるようになっています。

さらには、メイン武器以外の道具類や、戦闘アクションも多種多様。背後からの闇討ちや火矢での狙撃、「目潰し粉」による目潰しなど、やりたい放題です。

また、筆者のお気に入りは「敵の得物を投げつける」というアクション。本作では、特定の攻撃をすることで相手の武器を地面に落とすことができます。そしてそれを拾い上げることでズバっと敵に投げつけ、遠くの敵を倒すことができるんです。

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敵からしてみれば、距離を取って様子を見ていたらいきなり刀が飛んでくるわけで、たまったものではないでしょう。見栄えがかっこいいのもそうですが、「なにがなんでも敵を倒す」という篤の執念を感じるようなアクションだと思いました。

引き込まれるストーリーやキャラクターの一方で、ゲーマーとして「どのように戦うか」、その選択肢が多い本作の戦闘要素。「自分なら・篤ならどう倒していくか」といった点からも、彼女のストーリーを彩っていただければと思います。

美しすぎる蝦夷地と、設定がうまく練り込まれた周辺システム

さて、今度は本作の舞台、篤の故郷であり復讐の旅の舞台でもある蝦夷地の様子や、戦闘以外のシステムなどについても紹介していきましょう。

結論から言うと、本作はオープンワールドRPGとしてのプレイ体験が非常に心地良く、たいへん没入感の高い作品になっています。

というのも、ゲームシステムなどの随所にもキャラ設定などとの繋がりを丁寧に配置することで、篤として旅をする自分から「我に返る」ようなことが少ないんです。

ゲームを始めて蝦夷地に降り立ち、まず最初に思ったのは「蝦夷地の景色が美しすぎる」ということ。雄大な羊蹄山を目の端に捉えつつ蝦夷地の平原を馬で駆けるのは実に気持ちが良い!

前作『ゴースト・オブ・ツシマ』には、エリアが変わると異なる季節の美しい景色が見られる仕様がありました。それは本作でも同様で、場所によっては緑地ではなく橙々色の平原と雪が降り積もる山岳地帯など、豊富なバリエーションの風景が楽しめます。

実は本作、花畑の上を走ると馬の速度が上がるという仕様が存在。これが普通のゲームで言うところの道路のような役割も果たします。

非常に華やかな映像が楽しめる一方で、花畑のビジュアルは周りの平原に溶け込んでおり、あくまでガイド的な役割を担います。「こちらに行かなければいけない」という強制感も少なく、自由にオープンワールドを楽しむことができるんですね。

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本作を制作するサッカーパンチスタジオは、綿密な歴史公証や取材には基づきつつも、ゲーム的なおもしろさを求めて地形を改変するなど、「フィクションの良さ」も大切にしているスタジオです。

道が花畑になっているなんて現実ではあり得ないことですが、同スタジオの演出力を垣間見たシーンでした。

また、蝦夷地の各所に存在する秘境の探索も非常に楽しいと感じました。本作では、各地にあるお地蔵さんを発見・拝礼することでスキルなどが成長するシステムなどが存在。

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大抵は隠れた場所に配置されているのですが、そうした箇所の導線設計も良好で、「必要以上に迷いすぎて徒労感を覚える」といったことが少なかった印象です。「ここってなんだろう?」という発見時のモチベーションのままに奥までたどり着けることができるので、こちらも作品に熱中できた要因だと思いました。

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▲前作でも話題になった温泉シーンも健在。すこしリラックスした表情で独り言を言う篤には「いつも気を張り詰めているんだな……」と感じさせられます

また、細かいシステム面にも、篤の設定との繋がりを感じさせられるのも関心したポイント。羊蹄六人衆に殺害された篤の父は鍛冶屋、母は三味線弾きをしていました。幼いころの篤は、鍛冶の手伝いや、三味線の手習いをしていたんです。

それを反映して本作には、篤が鍛冶をするシステムや三味線を弾くシステムが搭載。武器の強化は生家の鍛冶場に行って自分で行う形になっていますし、野営中に三味線を弾いて、立ち寄ったNPCに曲を聞かせることもできます。

細かいポイントではありますが、家族との記憶を大切にする篤のイメージがより強固になり、没入感の一助になりました。

また、本作には「賞金首狩り」のクエストも存在します。篤は羊蹄六人衆を追うかたわら、賞金首狩りとしても活動しています。各地に張り出された賞金首の張り紙を取得することで、指定された敵を倒しに行くサブクエストが発生します。

これは単純に金策などの手段としても有用なのですが、注目したいのは「篤自身も賞金首として張り出されている」ということ。

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……考えてみればわかることですが、篤は蝦夷地を牛耳る「羊蹄六人衆」を付け狙うお尋ね者。賞金をかけられて当然というわけです。

なんなら篤の賞金は他の賞金首に対して2倍近くの値をつけられていることもあり、道端で「ムムっ、お前は賞金首の女!」と因縁をつけられるようなこともあります。

賞金首システムを介して発生する「狩られる側にもなりうる」という感覚は、復讐者のストーリーとしての深みや緊張感が出ていると感じました。

狼狩りから彼らを守る「狼クエスト」。蝦夷地の動物との交流に心温まるが、熊にだけは気をつけろ

蝦夷地の動物たちとの交流も本作でオススメしたいポイント。動物たちに対しての篤の優しいまなざしは見どころのひとつです。

特に、狼との交流は本作の大きな要素を占めるもよう。理由はわかりませんが、なぜか篤は蝦夷地の狼に特段懐かれているということが示唆されています。時には篤の戦闘を助太刀してくれることもあるなど、その絆はたしかなようです。

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そして、篤の敵である「羊蹄六人衆」は反対に「狼狩り」を行っているそう。マップの各地には狼の巣穴があり、羊蹄六人衆によって狼たちが狩られた痕跡が。殺されている個体も、捕まった個体もいるようです。

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そして、これを踏まえて発生するのが「狼の救助クエスト」です。巣穴には生き残りの狼がおり、彼の仲間を狩った六人衆の配下の元へ案内してくれます。その上で狼と共闘し、捕まった狼を救助するのです。

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敵の配下に行く際には、「こっちだ!」と言わんばかりに駆ける狼の後を馬に乗って追うイベントが発生。このシーンには専用のBGMなどの演出が用意されており、非常に疾走感があります。

そのうえクエストの構図としても、復讐者である篤と仲間を奪われた狼が共通の敵を倒すという展開なので、そういった意味でも盛り上がる場面になるわけです。

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狼狩りたちとの戦闘の際には、救助した狼たちが加勢してくれるという激アツ展開も。篤と狼の不思議な関係を垣間見ることができ、個人的にはメインストーリー以外の部分で一番好きなクエストでした。

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さて、ここまで篤と動物たちの関わりについて紹介していましたが、最後に一点忠告を。……それは「熊」です。前作『ゴースト・オブ・ツシマ』では、本来対馬にはいないはずの熊が登場したことが話題になりましたが、今作の舞台は北海道。当然のように熊が生息しています。

そしてその熊、なにが注意点かというと、「とにかく狂暴」ということです。現実世界でもクマ被害の問題が取りざたされていますが、本作の熊も非常に強く、ジャスト回避必須の攻撃を猛烈な勢いで繰り出してきます。

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▲うかつに近づこうものなら噛みつかれてぶん投げられます

そしてその攻撃が非常に痛い!自身の成長段階にもよりますが、一撃で体力を8割持っていかれることも。みなさまも『ゴースト・オブ・ヨウテイ』の大地で熊に出会ったら、ゆめゆめご注意ください。


さて、最後はなぜか熊に対する注意喚起で終わってしまいましたが、本稿で筆者が言いたいのは、「『ゴースト・オブ・ヨウテイ』の主人公、めちゃめちゃ感情移入してしまうぞ!」ということ。

時代劇キャラとしてのエッセンスを含みながら、彼女自身の視点を通すことで、非常に人間味にあふれた復讐者としての旅をすることができます。

これは伝わる人にしか伝わらないかもしれませんが……。筆者はアニメ『ガン×ソード』が非常に好きなんです。

ご存じない方に軽く説明すると、こちらは「結婚式当日に花嫁を殺された男の復讐譚」という感じのロボットアニメ。ロボットと時代劇という違いはありますが『ガン×ソード』の主人公・ヴァンが好きな方であれば、間違いなく篤のキャラ造形も気に入ると思います。

魅力的なキャラに加え、オープンワールドやシステム面における完成度の高さも相まって、非常に没入感高くプレイすることができた本作。

発売の暁には、是非皆さまも篤の復讐譚を追体験してみてはいかがでしょうか。

『ゴースト・オブ・ヨウテイ』は、2025年10月2日に発売予定。対応プラットフォームはPlayStation5となっています。

※本稿は、SIEより商品の提供を受けて執筆しています。

ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
編集・ライター
MOTHER2でひらがなを覚えてゲームと共に育つ生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23

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