東京ゲームショウ2025で最も多く出展されているゲームジャンルは、おそらく、スマホでも楽しめるアニメ系のアクションRPGであろう。
各メーカーの出展タイトルをざっと確認したところ、幕張メッセのメインホールで煌びやかに出展されるタイトルだけで、少なくとも15作品が確認できた。とんでもない数だ……。
これらの大半が中国や韓国で開発されている点も含め、色々と考えさせられる。
このように競争が激しくなるなか、ゲーム開発とは違った形で、日本企業が関わるアニメ系のアクションRPGが出展されている。それが、『リミットゼロ ブレイカーズ』だ。
本作の開発作業はVIC GAME STUDIOS(韓国)、パブリッシングはNCSOFT(韓国)が担当しているが、2024年5月にマーケティングパートナーとしてKADOKAWAが関わることが発表された。
しかも、ゲームの正式サービス開始に先んじて、KADOKAWAによるメディアミックスが続々と公開されているのだ。
ゲーム単体での売上というよりは、もっと広い視野で「IPありき」の展開を見据えている本作を取材してきたので紹介しよう。
文/kawasaki
TGS出展バージョンでは新キャラ、新コンテンツが追加
今回初めて知る人向けに軽く紹介すると、本作はまるでアニメのキャラをそのまま動かしているような体験ができるアクションRPGだ。
次第に複雑化しつつある同ジャンルのなか、あえて“王道”を追求しており、全体的に遊びやすさを重視している。たとえチュートリアルを行わずとも、ゲームパッドやキーボード・マウスに触れた瞬間、誰でもスピーディなアクションを満喫できる造りとなっている。
ちなみに本作は、TGS2023、TGS2024に続いて、3年連続で出展している。
昨年のTGS2024からの大きな変更点としては、新キャラのクリスティアン、セレナ、ルニ、エリアーデの追加だ。



もっとも、ゲーム内の各種システムは、じつは昨年のバージョンからそれほど大きく変わっていなかったりする。
厳密には、アイテム製造やキャラの着せ替え、新たなコンボシステムやバトルコンテンツなど、細かい部分では色々と確認できたが、基本的なゲーム体験は昨年からそれほど変わっていないようだ。
よって、ゲームシステムの詳細が気になった人は、昨年のゲームショウの電ファミ取材記事を見てもらうのがよいだろう。
コミカライズやノベライズ、さらにはMAPPAによるアニメ化も
さて、今回の本題となるKADOKAWAによるメディアミックスだが、これが思っていた以上に積極的な内容となっている。

9月23日に公開されたコミカライズ版の内容は、本作が大好きな女の子の主人公が、このゲーム内に転生し、その世界でギルド受付嬢として働きながら、ゲームに登場するキャラを陰ながら支えるというもの。
メインストーリーを単純にたどるような内容ではなく、しかも主人公の女の子は、ゲーム内に登場もしていない。だから、ゲームの経験者が読んでも、「こんなキャラがゲームに登場するといいのにな」などと、あれこれ想像しながら、この世界をより深く堪能できる。
もちろん未経験者にとっては、ゲームへの興味が増すことだろう。
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— リミットゼロ ブレイカーズ (@BREAKERS_japan) September 23, 2025
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また、TGS2025の開幕に合わせてノベル版も公開された。
こちらのキャッチは「オトナになりたい竜人族のボクと、竜人族オタクの魔族娘」で、プレイアブルキャラとして登場するエルカが主人公となっている。
ちなみにエルカは、見るからに可愛い、恥ずかしがり屋の女の子なのだが、戦闘中は豹変して巨大なハンマーをブン回すユニークなキャラである。そんなエルカの竜人族にちなんだ冒険譚は、コミカライズとは違った形で、よりこの世界を楽しめそうだ。
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さらに、コミカライズとノベライズだけでなく、MAPPAによるアニメも公開された。
まだ正式サービス開始日が公開されていないのに、メディアミックスに対する力の入れようが既にハンパないのだ。
ゲーム単体ではなく、IPとしての『リミットゼロ ブレイカーズ』に注目
リミットゼロ ブレイカーズでは、ゲームのリリースに先行してメディアミックスが行われている。これはつまり、ゲーム単体の短期的な売上や成功より、もっと長期的な「IPありき」で動いていることの表れだろう。
冒頭部でも述べたように、今後のアニメ系のアクションRPGは競争が激しくなると思われる。単にアニメ絵のキャラが可愛い・カッコイイだけのゲームでは、埋もれてしまうようになるのかもしれない。どのようにして競合タイトルと差別化を行うのかが重要となりそうだ。
そしてKADOKAWAは、古くは雑誌「コンプティーク」や「ロードス島戦記」などに代表されるように、ゲームにちなんだメディアミックスは十八番である。今回のリミットゼロ ブレイカーズのような積極的なメディアミックスは、仮に他社がやろうと思っても、なかなか真似できない、強力な“武器”となりそうだ。
……あるいは、中国や韓国のゲームメーカーが開発するタイトルに対し、KADOKAWAがメディアミックスを担当するタイトル(IP)が今後増えるのかもしれない。
思わずそんなことを考えてしまうくらい、ゲームの正式サービスが始まっていない段階でマンガや小説を読むのは楽しかった。無料で公開されているので、もし興味を持ったら、ぜひ一読してほしい。