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『カービィのエアライダー』先行プレイ。一歩踏み出せば、そこは弱肉強食=修羅の国。気づけば血まなこでライバルを追い回していた。だって、たくさん倒した方がアイテム貰えるんだもの……

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「『カービィのエアライド』は神ゲーだった──。」
そう語る者は、今でも少なくはない。

2003年に発売された、ゲームキューブ用のレースゲーム『カービィのエアライド』(以下、エアライド)。カービィがさまざまなマシンに搭乗して走りまくる本作は、当時を語る際には欠かせないタイトルで、発売から約20年以上経った今でも非常に根強い人気を誇っています。

特に、幼少期に本作を遊んだ世代からの人気は絶大。未だに「『エアライド』は神ゲー」と語る人は少なくありませんし、当時を知らなくても、そうした思い出話を聞いたことがある人はいるのではないでしょうか。

「あれだけみんなが神ゲーと言う『エアライド』って、どれだけすごかったんだ……?」
気になってしょうがない。

『カービィのエアライダー』製品版先行プレイ。「シティトライアル」を繰り返すうちに、妙に血の気が多くなる。もっとぶっ飛ばしたい!_001

そして、約22年ぶりに待望の新作『カービィのエアライダー』(以下、エアライダー)が発表。ネットが大いに湧いた期待作が、11月20日にいよいよ発売されます。

すでにオンラインで実施されている体験イベントの「おためしライド」にどっぷりな方も多いかと思いますが、筆者も「シティトライアル」というモードを中心に走ってきました。

『カービィのエアライダー』製品版先行プレイ。「シティトライアル」を繰り返すうちに、妙に血の気が多くなる。もっとぶっ飛ばしたい!_002

結論から先に述べると、「こりゃあおもしろいや!」と飛びあがってしまった。

とんでもないスピードのマシンに搭乗する徹頭徹尾ハチャメチャな展開のゲームが、すさまじいテンポで進行していく様には脳が焼かれました!

とくに大乱闘的なモード「シティトライアル」これが本当に弱肉強食。食うか食われるか、特攻して奪っての連続。最初は「リックかわいい~プリプリじゃ~ん」と喜んでいたのに、いつの間にか私の目は「次の獲物はどこだ」と完全に捕食者(プレデター)の眼差しへと変貌していました。

今回は、そんなエアライドの続編となる話題沸騰中の『エアライダー』の先行プレイ内容の一部を、皆さまにお届けしたいと思います。

文/なからい
編集/TsushimaHiro

『カービィのエアライダー』の公式サイトはこちら


じゃじゃ馬マシンの手綱を握るのが楽しい「シティトライアル」。巨大化アイテムを拾ったリックがデカすぎる

さて、今回おもにプレイしたのは「シティトライアル」というモード。「『エアライド』と言えばこれ」という印象が強い方も多いのではないでしょうか。

前作も今作も「カービィの乗り物ゲー」ということで、いわゆる通常のレースモードも実装されています。

前作の思い出が語られるときは、大抵はこの「シティトライアル」についての話題がメインな気がしています。そういえば、ディレクターの桜井さんもニンダイで「ここがメインディッシュ」と言っていましたね。

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簡単にルールを説明しておくと、「シティトライアル」は最大16人が参加できるバトロワ的なゲームモードです。

プレイヤーたちは巨大な空中島に降り立ち、5分間の強化フェーズで島を巡って自キャラを強化。最後に控えているミニゲームを制したものが勝者となります。

ゲーム中はもちろん、体当たりやアイテムを使った妨害OK!ライバルを攻撃することでアイテムを落とさせることができるため“割となんでもアリ”で、容赦なき攻防ワチャワチャとした対戦が楽しめます。

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早速シティトライアルのゲーム内容について語っていきたいところなのですが、まず感じたのは「このゲーム、なんだか走り回っているだけで楽しいぞ……!」ということ。

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プレイヤーはゲーム中、島に配置されているさまざまな性能のマシンに乗り換えることになるのですが……。基本的に本作のマシンはハチャメチャにじゃじゃ馬。

機体によってさまざまな特性はあるのですが、ボタンを押さなくても自動で前進するという仕様も相まって「精密に車体をハンドリングする」というよりは「暴れ馬の手綱を握ってなんとか制御する」という感覚が強く、ただ運転しているだけでもハンパないスピードで動くジェットコースター的なおもしろさがあります。

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通常のレースゲームだと壁への衝突はご法度ですが、本作では壁にぶつかってもけっこうガンガン走り回れるのが楽しい!

特にシティトライアルでは、ビルが立ち並ぶ市街地や狭い地下通路などのエリアも存在。自キャラがピンボールの球になったような感覚がしてたいへん愉快です。

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▲リックでボタン連打してボヨンボヨンしているだけでもたのしいぞ

自キャラの強化要素も非常に振り切った感じがして豪快な印象。マップに配置されたアイテムを取得して加速力や攻撃力、耐久力などのパラメーターを上昇させていくのですが、これらの上昇幅はだいぶヤケッパチな設定がされています。

とくに加速系の数値を高めた際は「ワープでもしてんのか!?」というほどの超高速ドライブが開始することも……。

口を半開きにしながらガンガン壁に頭をぶつけて、たまにラッキ―パンチでライバルを吹っ飛ばすというなんとも頭の悪そうなプレイングも可能で、縦横無尽なレースアクションを楽しむことができました。

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マップにはパラメーター上昇のアイテム以外にも、妨害用の攻撃アイテムや、おなじみの無敵キャンディーやマキシムトマトなども点在。特に妨害アイテムたちはどれもド派手なお祭り感満載で、ボムの爆発はめちゃめちゃ広範囲ですし、巨大化アイテムを取得すると自キャラが信じられないくらい大きくなります。

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これは想像ですが、開発中に「これ、どれくらいでっかくしましょうか?」みたいな会話があったんじゃなかろうか。そしておそらくその答えは「なるべくでっかい方が良い」だったと思います。

大正解です。

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▲キャラの見た目はコスチュームアイテムでカスタマイズ可能。頭におにぎりも乗せられます

また、各キャラクターにはゲージを貯めることで発動できる必殺技(スペシャル)が設定されています。周囲を斬りつける広範囲の攻撃や、空中を自在に飛べるようになる能力など、キャラによって性能はさまざま。

筆者が特に気に入ったのは「リック」のスペシャルです。体験版でも話題になっていましたが、リックのスペシャルは「マシンを降りて自分の脚で走りまわる」というもの。これがもはや「マシンいらず」なくらいの異常なスピードで、もはや制御不能の速さ。

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ちょっと前に「5000兆円欲しい!」というネットミームが流行しましたが、どうやら人間はあまりにも大きい数値や極端なパラメーターを見ると、それだけでおもしろくなってしまう性質があるようです。

本作は随所で「加減というものを知らんのか!」とツッコみたくなるほどの振り切った調整がなされており、それが直感的な体験のおもしろさに寄与しています。

触って楽しい、見て楽しい。おそらく本作は、3歳の子供が遊んでも、30代の大人が遊んでも、同じくらいおもしろがってプレイできます。そういった点が長く続編を望まれていた理由のひとつなのかな、と感じました。

 

攻撃・妨害、なんでもアリなシティトライアルは修羅の遊び場。ライバルを吹き飛ばす爽快感がクセになる

筆者が「シティトライアル」を遊んでいて感動したこと、それは「なにをやってもいいし、なにもしなくてもいい」という点です。端的に言うと、「ゲームに強制されること」がほとんどないんですよね。言い換えれば、「やりたい放題・好き放題」なゲームプレイが楽しめます。

前述のとおり、プレイヤーたちは“5分間の強化フェーズ”で自機の強化を進めていきます。対戦ゲームなので究極的には勝ちを目指して強くなりたいところなのですが、その方針はかなりの部分が自分の手にゆだねられているんです。

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接敵を避け、地道に強化を進めていくか、それともガンガン敵に突っ込んでいき、相手の妨害を狙うか。マップの上空にはアイテムが多く配置された浮島なども存在するため、空中戦の得意な機体に乗って優雅に空の旅をするのもアリですし、シンプルなゲームルールの一方でさまざまなプレイスタイルが楽しめます。

じゃじゃ馬マシンを操って、気の向くままにマップを駆け巡る。ある種、童心に返ったような気持ちで自由な遊び方を試せるというのも、シティトライアルを繰り返し遊びたくなる要因のひとつでしょう。

まあ筆者の場合、たいていは血まなこになって他プレイヤーを追いかけまわすんですけどね。だってその方が楽しいし、相手を倒すとアイテムもたくさんもらえるから……。

あれ……?筆者の思想、修羅に染まってきている?……

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子供ごころとは時に残酷なもの。ライバルを吹き飛ばした際の演出は『スマブラ』さながらの気持ち良さで、一度味をしめるとやみつきになります。

もっと……もっと倒したい……!

プレイを繰り返すうちに、妙に血の気が多くなっていく。
もっとぶっ飛ばしたい。マシンを奪いたい。よこせ、お前の能力を……
また、プレイ中のメリハリとして特徴的なのが、プレイ中ランダムに発生するイベント。
別マップでのショートレースが開催されたり、バカでかいゴルドーが空から振ってきたりと、さまざまな催しがゲームを彩ってくれます。

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通常時は思い思いに探索を楽しんでいるプレイヤーたちがイベント地点へ一斉に集まることで、5分の強化フェーズの中に起伏が生まれるシステムとなっています。

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なかには報酬が用意されているイベントもあるのですが、ただこちらも「参加するだけで得だけど、別に参加しなくてもいいよ」というスタンス。別に気が向かなかったら引き続きマップを駆けまわっていてもいいわけです。
自由だ……『エアライダー』は、自由に楽しんで良いタイトルなんだ……。

ちなみに筆者のお気に入りは、巨大なクラッコやウィリーがレイドボスのように登場するイベント。みんなでボスをタコ殴りにし、討伐するとアイテムなどがもらえるようなのですが、筆者がお気に入りなのはその共闘感ゆえではありません。

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その理由はもちろん、ボスを狙って大量のプレイヤーが集結するから……!
普段は散り散りになってアイテム集めをしているライダーたちが集まるボスイベントは、「漁夫の利」の恰好のチャンスです。

必死にボスを殴っているプレイヤーの集団に、巨大なボムでも投げ込もうものなら効果は絶大。たいへん邪悪なプレイングですが、なんでもアリなのがシティトライアルの懐の深さです。さぁ、君もおいでよ。

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さて、これは全体を通しての感想なのですが、本作は徹頭徹尾「好きにゲームを楽しんでね」という姿勢が貫かれている印象があります。

もちろん、ある種の「世紀末スタイル」「いじわるなプレイング」だって許容されますし、いちいち演出がド派手だから、それをされる側に回ったとしても笑って楽しめました。理屈というよりも、五感や直観でおもしろがれる作品に仕上がっていると感じられるタイトルです。

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▲たとえ自機がふっとばされたとしても、キャラクターのリアクションがいちいちかわいらしい

5分間の強化フェーズが終了すると最後に待ち受けているのは、スタジアムでの決勝戦。ここまで育てた愛機に乗ってさまざまなミニゲームに挑み、そこで勝ったものがゲームの優勝者となります。

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▲パラメーターを伸ばしまくるとグラフがはみ出ちゃうの、UIのセオリー的にはありえない気がするんですが、それがまた良い

決勝戦のゲームは、単純にレースの速さを競うものから、障害物競争的なマップや、どれだけ遠くまで飛べるかを競うモードなど多種多様。ステージは4択で提示され、マシンとの相性を見て好きなものを選択できるのにも「今から、みなさんに殺し合いをしてもらいます」「好きに遊んでね」というメッセージを感じます。

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セオリー的には、選んだ機体とパラメーターを見て、なるべく活躍できそうな種目を選ぶのがベター。ベターなんですが……。

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気づけば多少不利な機体であっても、ライバルを倒しまくる「デスマッチ」を選んでいる自分がいました。だって、ライバルを吹っ飛ばすのがめちゃめちゃ気持ち良いから……。

驚くべきは、ここまで紹介していた1ゲームの流れは、すべてひっくるめておよそ5分強で進行すること。マシンの速度もそうですが、恐るべきテンポ感です。「『エアライド』ってどれだけ神ゲーだったの?」という疑問から始まりましたが、気づけば辞め時を見失っていました。

というわけで、原稿もそろそろ仕上がりそうなので、再びシティトライアルに潜ってこようと思います。エアライダーのみんな、製品版でも会おうな……!


駆け足での紹介でしたが、いかがだったでしょうか。

個人的な話で恐縮なのですが、筆者は前作『エアライド』が発売された当時は小学生で、ゲームキューブドンピシャ世代。『スマブラDX』も、『スーパーマリオサンシャイン』もメチャクチャプレイしたのですが……。なぜか『エアライド』にはほぼ触れてきませんでした。

それでも本作をしっかりと楽しめたし、気づけばはやく次のステージで敵プレイヤーを吹き飛ばしたい衝動に駆られていました。

筆者は普段、ローグライク・ローグライトジャンルのゲームを遊ぶことが多いのですが、本作『エアライダー』のシティトライアルも「毎ゲーム初期状態からスタートし、ランダム性の中で自分を強化していく」という点では通ずるものがある気がします。

しかし、多くのローグライクが「ビルドの方向性を吟味し、運と戦いつつも、思い描いた自キャラへ軌道修正していく」という、いわば「PDCAサイクル」(プラン・ドゥ・チェック・アクション)的なおもしろさを得られるのに対し、シティトライアルはハチャメチャの極み!

言ってしまえば「DDDAサイクル」(ドゥ!ドゥ!ドゥ!アクション!)的な勢いがあります。しかも、それが非常にテンポの良いサイクルで繰り返されるわけですから、脳を焼かれない方がウソというものです。

多感な時代にこの味を覚えたみなさんが、20年以上も「『エアライド』の続編を……!」と熱望していたのにも、首がもげるくらいうなずいてしまいました。

新作『エアライダー』の先行体験を通じて、ファンのみなさんの熱い思いの一端に触れたような気がします。

そしてその新作が20年以上の時を経て、Switch2で発売される……!
前作ファンも、そうでない人も、ぜひこの熱狂を味わっていただければと思います。

『カービィのエアライダー』は、Nintendo Switch2で、11月20日に発売。みんなでシティトライアルに集合だ!

『カービィのエアライダー』の公式サイトはこちら

ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚えてゲームと共に育った生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23

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