刑務作業で肉体労働の喜びを知る。屋上での冷えたビールが美味い
さて、上述のように主人公は目的を持って刑務所にやってきているわけだが、それはそれとして受刑者として日々の生活を送ることも必要となる。ここではそんな刑務所内での1日の過ごし方を紹介していこう。
はじめに言っておくとこのゲーム、できることがめっちゃ多い。仕事も余暇の過ごし方もバリエーションがあって、プレイヤーごとに思い思いのムショぐらしを送れるようになっている。
まず、刑務所での1日は朝8時の点呼から始まる。全受刑者がロビーに整列し、刑務官隊長・マスチフのブルースからありがたいお言葉とともに共有事項が知らされる。
ここでの共有事項というのは「お前らのためにランチメニューを増やしてやったぞ」といった具合で刑務所内でできることにちょっとした要素が追加されるものになっている。
これに対して受刑者たちからは「金取んのかよ!」「搾取だ!」みたいな文句が噴出し、ブルースが「うるせぇ!」となるのが毎朝のお約束。なんとも賑やかだ。ブルースもキレてるようでこのノリを楽しんでいるように思えてくる。
点呼が終わったら、8時30分〜12時までは刑務作業の時間。クエストなども進められるため仕事をするのは必須ではないのだが、刑務所内ではサービスの利用やアイテムの取引など、何かとお金を使う機会が多くなるためある程度は積極的に仕事をして資金を稼いでおきたい。

仕事は初めから配属される洗濯室のほか、条件を達成すると屋上の工事現場やキッチン、郵便室や刑務官の休憩室でも働けるようになる。各仕事場には複数の仕事が用意されており、その総数は10種類以上。お仕事いっぱいで嬉しいね。
仕事場に行くと他の動物たちも仕事をしているのだが、仕事中のグラフィックやセリフもしっかり用意されていて芸が細かい。愛らしい動物たちが労働している姿に、なにか背徳的なものを感じるのは私だけだろうか。
屋上の工事現場ではアスファルトの塗布や資材の運搬の仕事を行う。力仕事のため体力を多く消費するが、仕事終わりには担当の刑務官から「冷えたビール」を受け取ることが可能だ。刑務所の屋上といえば冷えたビールだよなぁ!

キッチンではジャガイモの皮むきや皿洗いなどのほか、調理の手伝いとしてお料理ミニゲームをプレイ可能。野菜を切ったりお米を炊いたりなど、指定された料理の下ごしらえをして材料を調理師さんに渡していく。制限時間内にどれだけ用意できるかで報酬が変わるほか、食材を無駄にしてしまうとペナルティを食らってしまう。
制限時間に追われながらマルチタスクで食材を仕込んでいくさまはキッチンの戦場ぶりをよく表現している。慣れないうちは右も左も分からず「ア……エット……」とそれこそ小動物のようにフリーズしてしまうだろう。
そして、刑務官休憩室ではモップを使っての床掃除のほか、お休みしてるワンちゃん刑務官たちにコーヒーを淹れる仕事を行える。まず刑務官たちの所望するメニューを聞いて、手順通りにコーヒーを作成して手渡すというもの。
記憶力と瞬発力が試されるミニゲームだ。当然、失敗するとキレられる。よく躾けられた模範囚を演じている主人公は理不尽さに耐えしのぶ……と言いたいところだが、ワンちゃんが怒っててもかわいいだけなんだよなぁ……
こんな風に、午前中の時間はお仕事ミニゲームでお金稼ぎをすることが主な過ごし方となる。すでにやれることが盛りだくさんだが、これに加えてメインクエストやサブクエストの進行も要所要所で行うことになるので、けっこう忙しい。
それでも、体力や健康値を消費して働かねば、日々の生活を支える大事な資金は得られない。特に序盤は資金繰りに悩みがちなので、刑務所のために身を粉にして働いていた。肉体労働バンザイ!
さて、刑務作業が終わったら、次は昼食と自由時間だ。
それなりの生活を送るにはお金が必要……資本主義に支配された監獄
刑務所では毎日12時に昼食の時間となる。食堂へ向かい、ブタさんの調理師からランチを受け取ろう。満腹度と体力のみ回復するコッペパンは無料で、追加効果のつく豪華な(というか常識的な)メニューは有料だ。しかもけっこうな額を要求される。
「味のするものが食いたかったら金を払え」というわけだ。前述の刑務作業をしっかりやっておかないと、満腹度の低下に苦しみながらひたすらパンをかじり続けるはめになる。せめてジャムとかつけてくれよ。

ちなみに、食堂内に設置されたゴミ箱を漁ればたまに食料を得ることもできる。筆者のプレイ中はゴミ箱から出てきたピザやリンゴを食べて空腹をしのぐという一幕もあった。
まさに極限状態でのサバイバル術……デフォルメされたドット絵じゃなければとんでもない絵面になってしまうところだが、たぶん動物だから胃袋がタフなのだろう(適当)。

ここでの面白い要素として、テーブルに座っている囚人たちのご飯の食べ方が動物の特徴や性格を反映したものになっているという芸コマポイントがある。ウマ系の囚人がモシャモシャしていたり、カエルの囚人が長い舌を使っていたり、ゾウの囚人が鼻を使って食べていたりといった具合。制作陣のキャラクターたちへの愛が感じられる点だ。

条件を満たせば食堂のバックヤードに入ってトランプゲームに興じることもできる。もちろん、チップを賭けたギャンブル勝負だ。いくら何でも囚人生活をエンジョイしすぎな気もするが、これも大事な息抜きのひとつということなのだろうか……
ちなみに駆け引きが苦手な筆者はまんまとチップを巻き上げられてしまった。みんな容赦ない。

昼食の時間が終われば、13時から17時30分までは屋外運動エリアでの自由時間となる。待ちに待った息抜きタイムだ。
運動場にはバスケコートや野球のホームベース、筋トレコーナーなどがあるほか、総合ビル内には図書館と美術室などがあり、受刑者たちはそれぞれ思い思いの場所で過ごしている。

ここでプレイヤーは筋トレ、読書、パソコン、お絵描きなどのアクティビティ、教会でのお祈り(心境値と呼ばれるステータスが回復する)のほか、サブクエストを受注・報告したりもできる。
筋トレコーナーと読書などが行える総合ビルはそれぞれギャングの縄張りとなっているため、利用料、入場料が必要。1日20ドルとなかなかの出費になるが、これも快適なムショ暮らしのためだ。

ここでできることのうち、読書とパソコンゲームは役立つスキルを覚えることができるので積極的に行っていきたい。たとえば、「凄腕交渉人のスタンレー」という本を読み終えると交渉の判定にボーナスが付くスキルを習得可能になる。交渉判定はゲーム中ひっきりなしに発生するので、かなり有用なスキルだ。もともと有能記者だったトーマスくんがさらに有能になっていく。
こいつ……服役の中で成長しているぞ……!

また、運動エリアでは植物の採取も可能。プレゼントにしたり、クラフトの素材にしたり出来るのでこれも集めておくと役立つ。そんな風にアクティビティをこなしたり、場合によってはメインクエストを進めるための作業を行ったりして午後の時間を過ごしていく。
運動時間が終われば、夜の時間。17時30分から21時30分の消灯準備時間まで、今度は刑務所の中でみんなが思い思いの時間を過ごす。
まずはロビーで夕食のワッフルを受け取ろう。20ドル払えばホイップクリームを載せることもできるぞ。毎晩ワッフル1つって、嬉しいのかケチなのかよくわからん絶妙なラインだ……


夜にはシャワーを浴びてリフレッシュすることもできる。アイテムとして入手できる石鹸を使用し、染みついた悪臭を消してすっきりしよう。日数が経つと設備が改善され、30ドルを払って温水シャワーを浴びられるようになる……ってことは毎日冷水がデフォってこと!?
食事の件もそうだが、ここで快適な生活を送るためにはとにかく金を払うことが必要なのだ。資本主義の支配するディストピアプリズン……そりゃ善良なトーマスもスリに手を染めたくもなるわ。
そして夜の時間、受刑者たちは雑談をしたり知り合いに電話をしたり(盗み聞きできる)、ロビーの2階ではボードゲームに興じたりみんなでテレビを見たりしている。なんか、みんな普通に仲良しだ。
ギャング同士はバチバチやってるみたいだけど、それでも夜の自由時間はみんなリラックスしてなごやかに過ごしている雰囲気がある。



トーマスでプレイしている場合、夜は元カノであるフェレットのマギーと電話することも可能だ。雑談すると溜まっていく愛情値を消費すればお金を借りたり、強力なアイテムを送ってもらったりもできる。
マギーちゃん面倒見が良すぎないか……? 声もめっちゃかわいいし、こんないい子をないがしろにして関係をこじらせたトーマスが途端にヘタレに思えてくる。

21時30分になれば消灯準備となり、囚人たちはそれぞれの部屋へと帰還する。そして22時に消灯となり、眠りにつけばまた新たな1日がやってくるのだ。
以上が、本作における1日の基本的な流れだ。これに加えて、メインクエストやイベントの進行に合わせて特別な作業や予定が随時入るという具合である。
(システム上の都合かもしれないが)仕事の有無や時間はプレイヤーの自由。さらに娯楽の選択肢も豊富にあり、所持金さえ尽きなければけっこう充実した刑務所ライフを送れるようになっているため、1週間ほどが過ぎた頃には実家のような安心感を覚えていた。
サスペンスものではなく獄中スローライフゲームかと錯覚してしまいそうなほどだ。やっぱり、もう出られなくても良いんじゃないか……?
しかし、みんなが寝静まった深夜、おもむろに壁際の洗面台へと歩み寄る主人公・トーマスの姿が。ベッドには枕とシーツでこしらえたダミーが用意してあり……
果たして、彼はいったいどこへ行くのか? このエリアの先には何があるのか? それはネタバレになるため、プレイしてからのお楽しみだ。
以上、『Back to the Dawn ~ブレイク・ザ・アニマル・プリズン~』のプレイの所感をお届けした。ゆかいな動物たちとやること盛りだくさんな楽しい刑務所ライフを送れるという魅力がお分かりいただけただろうか。
本記事では重大なネタバレを避けるためストーリー面は割愛したが、こちらも回想シーンを含めた大胆な演出・展開や意外な事件の真相など、クオリティの高いものに仕上がっている。つまり、このゲームはまだ紹介しきれないポテンシャルを秘めているのだ。
回想シーンなど、刑務所以外の場所で登場するキャラクターたちもイケメン悪役や色っぽい武闘派秘書など、誰かの推しになりそうな濃いメンツが揃っている。こいつは“沼”ですぜ……
海外ドラマのような展開のメインストーリーと、クセつよだけど愛くるしい動物たちとの刑務所生活という2つの面が味わえる独特の魅力を持ったゲームであった。

冒頭でもお伝えした通り、3月5日より発売中のコンソール版では日本語ボイスが実装されており、キャラクターたちの魅力を存分に堪能できる。吹き替え風の台詞回しやボイスの雰囲気が、海外ドラマのようなストーリーにピッタリだ。おしゃべりする動物が好きなゲーマーの方々は、ぜひ本作を手にとって“推しキャラ”を見つけてもらいたい。
『Back to the Dawn ~ブレイク・ザ・アニマル・プリズン~』日本語コンソール版はNintendo Switch、Nintendo Switch 2向けに発売中だ。また、PS5版も2026年に発売予定となっている。








