ステージ1のボスを倒した! あっけねえ! やってやったぜ。
──なんて思った次の瞬間、巨大ロボットが現れた。は?
倒したはずの敵が逃げ出し、見るからにイロモノな巨大どすこいロボットに搭乗。呆気にとられるヒマもなく、どこからともなく味方の巨大ロボットが登場してステゴロ・ロボバトルが開幕。
なんとコックピット視点。
俺がいままでやってた横スクロールアクション、どこ行った???
っていうか一応これ、江戸時代のはずだよな?
なんかさっきまでこんな感じの普通の横スクロールだったはずなんだけど……。
倒した敵が巨大化してもう一回襲ってくるこの展開、どこかで……おもに日曜日の朝とかに見たことがある……!
唐突なニチアサ展開。唸り声を上げるどすこいロボ(仮称)。なぜか鼻から吹き出してくる小判(遠距離攻撃)。困惑する筆者。
実際に見ていただけるとわかるが、一度見ると脳裏にこびりついてなかなか忘れられない顔の「ゴエモン・インパクト」。素直にキモい。キモいけど戦っていると不思議と愛着が湧いてくる。ボス戦前にはロボに乗って敵の基地を破壊するフェーズがあり、気分爽快すこぶる楽しい。
実際にお聞かせできないのが残念なのだが、BGMもパロディの闇鍋(?)みたいになっており、ぱっと思いつくだけでも5つくらい色々と元ネタが混じっているように思う。聞いているとなんだか異様な既視感があるのだが、パロりすぎてて逆にめちゃくちゃカッコイイ。総合すると最高なのだ。
今回筆者が遊んでいるのは『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』というスーファミソフトの移植版で、先日ニンダイで発表された『がんばれゴエモン大集合!』の収録作。シリーズとしては7作目に当たるのだが、実を言うとこのシリーズは別に2Dアクションゲームというわけでは全然ない。
元祖は見下ろし型のアクションだし、シリーズにはRPGも収録されているしパズルもある。そもそも「ゴエモン」という名前からイメージするような和風っぽいお江戸の街だけじゃなくて、宇宙にも行くし未来にも行く。
つまるところ何でもアリなのだ。ゲーム中のミニゲームとして『グラディウス』や『ゼクセクス』といった全く別のゲームまで遊べる。ここまでくると収録作品数の逆詐欺だと思う。
このゲーム、本気で全然わからない。わからなすぎて興奮している。
デカくて強い正義の味方!みんなのアイドル!ゴエモン・インパクト!
「アクション」「ドット絵」「和風のものをいっぱい」
全部混ぜるとめっちゃイケてるゲームができる……はずだった。
だけどコナミ博士は間違って余計なものまで入れちゃった。それは……
「ロボット!!!!!」
なんでだよ。
筆者も調べてみたのだが、『ゴエモン』シリーズにロボが登場したのは本作『マッギネス』が初らしい。初代からシリーズを追っていた人が感じた衝撃ってどれほどのものなのだろうか? 正直、想像も付かない。ただ今、自分がひとつだけ言えることがある。
「このロボバトルは感動的に面白い」とにかくこの一言に尽きる。
2Dアクションの合間に挟まれたおまけのミニゲームではない。ひとつのジャンルとして完成されたバトルシステムになっている。おまけにロボットものではお約束とも言える搭乗シーンからちゃんと作り込まれてて、やたらと芸が細かい。


バトルはコックピット一人称で固定。行動は強弱パンチ・左右ガードや射撃などにボタンが割り振られていて、十字キーで照準を動かす。なんともモダンなスタイルだ。移動はないのだが、これがむしろ面白い。一言で言えば、タイミング命のステゴロバトルに仕上がっているのだ。
例えば初戦の相手となるどすこいロボットこと“からくり横綱メカ千秋楽”(正式名称)は、やたらと頭突きをかましてくるインファイター。タイミングよく強パンチを当てるとカウンターになり、敵の巨体が吹き飛ぶ。一方的にダメージを与えることができ、爽快感が全身に返ってくる。
しかもこのロボット、何もしなくてもただ駆動しているだけでもエネルギー(油)の残量がじりじり削られていくという緊張感もある。なんでこんなアメ車みたいな燃費してるんだこのマシン。お前も日本製ならトヨタを見習え……!
全部ドット絵の疑似3Dによるガチンコのステゴロ・ロボットバトル。メインの攻撃手段はパンチのみながら、距離感とタイミングが全て重要なゲーム性に仕上げた感覚がスゴイ。作られた時代を考えるとオーパーツ感すらある。
敵の行動パターンも多く、カウンターをかけられないようにディレイをかけてきたり、逆に近距離から速攻をかけてくることもある。
難しい。難しいけど複雑すぎず、それでいて真面目に気が抜けない。もう30年前とかのゲームなのに最近のゲームと比べても全然遜色がない手触り。江戸時代にロボバトルやらせてくるようなゲームなのに……!

ロボバトルは各ステージにそれぞれ存在しており、対応しなくてはいけない敵も多彩だ。通常のステージ構成もかなりギミックが多いゲームなのだが、ロボも例外なしだ。相手ごとにまったく戦い方が違う。
2戦目のボスはなぜかベーゴマに乗っており、カウンターを決めないかぎりまったくダメージを与えられない。第二形態になれば分身に瞬間移動を織り交ぜてきたりと、次々に新しい要素が出てくる。1戦目で覚えたセオリーは当然まったく通じない。
このロボバトルは各ステージのボスバトルになっており、これを遊びたいので厳しめのステージでもつい頑張ってしまう。しかもステージをクリアしたら再戦できないっぽいので、専用のセーブデータを作って何回も遊んでしまった。
本当に……本当に、俺がさっきまで遊んでいた2Dの横スクロールアクションはどこいったんだ……!?
江戸城が、飛んだ
冒頭でも紹介した『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』は、謎の外国人“マッギネス”によって飛空要塞へと改造されてしまった大江戸城を追って各地を転戦するというストーリーの、ステージクリア型2Dアクションである。
「大江戸城、飛空要塞……?」と思わないでもないものの、巨大ロボットがステゴロバトルする江戸時代なので今さらである。この程度のことにはすぐ慣れるので気にする必要はない。
プレイヤーキャラはちゃきちゃきの江戸っ子である主人公・ゴエモン、自称“正義の忍者”・エビス丸、クールなからくり忍者・サスケという特性の違う3キャラが操作可能だ。
ロボバトルを先に見てしまうと「どんなゲームなんだ……?」と思われるかもしれないのだが、基本的には横スクロール型の2Dアクションで、率直にゲームとしてよくできている。(なんでロボ混ぜた……??)
音楽もいいしピクセルのアニメーションもよく動いてコミカルだし、そしてなんか色々とヘン。Steamとかでバズってるレトロ風ヘンテコゲームの趣がめっちゃある。まあレトロ風というかガチのレトロゲームだし。
キャラごとのアクションにもそれぞれ違った特徴があり、例えばサスケのクナイで敵を斬れば真っ二つになるし、エビス丸はハリセンで敵を場外ホームランしてしまうなど、アクションの演出が気持ちよすぎる。通常攻撃は多方向に出せるし、遠距離攻撃も使い分けが可能で、出来ることが多い。
攻撃手段が多いのはさまざまな敵に対応する必要があるからで、アクションは息つく暇も無くなかなか歯ごたえのある難易度だ。遠距離攻撃の飛び道具も便利で使いやすい。
ただし本作の飛び道具、なんと使うたびにお金が減る。というのも、主人公のゴエモンは「小判」を投げて攻撃するのだ。いかに江戸っ子とはいえ、さすがに気前が良すぎる。そしてそれに引きずられてか、サスケやエビス丸が使う手裏剣や爆弾まで、使うたびに懐が涼しくなる仕様なのだ。
もちろん小判は小判。当然お金としても使う。本作はアクションだが、街に立ち寄ってアイテムを購入することもできるうえ、次のエリアに進むためには高額な通行手形まで要求される場合もある。要するにお金はめっちゃ使う。
にも関わらずこの世界のお江戸の街、令和の日本もびっくりなくらいインフレが進んでおり、アイテム類がやたらと高い。
例えば、敵の攻撃を1回防ぐだけの「みの」が150両。小判は敵を倒したりすることで稼げるが、序盤なら1ステージでだいたい100両といったところ。もちろん「みの」は使いきりで、ライフ1点分のために1ステージ分の稼ぎが吹き飛んだりする。
率直に「しょぼいな〜」と思ってしまったのだが、実はこれがかなり重要。このゲームは1発被弾すると強化状態が解除されて攻撃が弱くなってしまうため、敵の攻撃が激しいエリアでは地獄のダウングレード祭りに悩まされることになる。
飛び道具は便利なのだが、そのへんの敵に適当に大盤振る舞いしているとあっという間に破産する。アホみたいにふさけた世界観なのに、ゲームとしてはシビアなバランスのリソース管理ゲーなのだ。
だから防具は超大事なのに、ワラを寄せ集めただけのやつで150両もする。小判投げで敵をぶちのめして気持ちよくなってる場合じゃない。アクションの腕だけではない判断が求められるのだ。
筆者の2Dアクションスキルの問題もあるかもしれないが、全体的に歯ごたえ十分。3分に1回くらいの勢いでバシバシしばかれる。強制スクロールステージで足場を急に切り落としてくる初見殺しな敵が出てきたときはコントローラーを投げそうになった。
そして死ぬたびにラスボスのマッギネスが煽ってくる、妙にムカつくゲームオーバー画面が出てくる。

ゲームオーバーになると所持金は半額没収。初期の残機は「2」しかないので、あっさり終わる。そういえば昔のゲームってこんな感じなんだよな。やたらシビアというか。
中途半端な資金なら、大勝負でドカッと増やして最高の装備に交換しないか? 本作の街にはそんな誘惑があちらこちらに転がっているので、このあたりもなかなか味わい深い。

「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉もあるが、ゴエモンもケンカっ早い江戸っ子らしく、なんと街マップでは道行く人に喧嘩をふっかけることまでできる。そして一部の通行人を攻撃してしまうと、「御用」の提灯を下げた町同心たちがわらわらと集まってくる。
入浴することで最大体力を増やせる銭湯が存在していたり、街の中にもいろんなネタがそこかしこに散りばめられている。ちなみに銭湯ではなぜか男湯・女湯を選択可能で、女湯にもしっかり入れる。プレイヤーキャラに女キャラいたっけ……?
いろいろふざけ倒した施設もある一方で、街自体はかなり作り込まれている。基本的に建物はどれもちゃんと入ることができて、そこらへんの長屋みたいなところまでしっかり人が住んでいるなど、しっかり丁寧に江戸時代っぽい街が作られている。
通行人キャラクターのドット絵もいい感じだ。まあここ、大江戸城が空を飛んでる世界線の江戸なんですが……
シリーズ作なのに全然統一されてない。統一されてないことが統一されているヘンテコなシリーズ
ここまで読んでいただいた方はすでにお気づきだと思いますが、この『ゴエモン』シリーズ、とんだトンチキ和風ゲームです。正方形の畳なんかは出さないが、城よりデカいロボは出す。そういう思い切りの良さは全然嫌いじゃないぞ。
しかしこのシリーズ、どうやら最初は結構真面目な時代劇をモチーフにしたゲームだったっぽいのだ。
元祖にして初代の『がんばれゴエモン! からくり道中』は、諸国の悪い大名をゴエモンがこらしめて回るというザ・時代劇なストーリーである。
そんな感じのゲームだったのに、あれやこれやと7作も作ってるうちにいつの間にか江戸城は飛空要塞になるし、巨大ロボが殴り合う世界観になってしまったのだ。理由が本当にわからない。
『がんばれゴエモン大集合』には13作もゲームが入っているので、他のタイトルも遊んでみたのだが、気づいたら「SF時代劇」になっていたのだ。
『マッギネス』だって2Dアクションかと思ったらロボバトルをやらされるわけだが、例えば『がんばれゴエモン きらきら道中〜僕がダンサーになった理由〜』はタイトルも意味不明だが、なんかいきなりロボに乗り込んで宇宙空間に飛び出している。

他にも、『がんばれゴエモン外伝 きえた黄金キセル』では、今度はコマンド選択式のガチRPGが始まるし……。

『さらわれたエビス丸』のように、元祖と同じような見下ろし型のアクションになっているタイトルもある。
こちら、ゲーム自体はちゃんとしているのだが、先ほども出てきた自称“正義の忍者”のエビス丸を救い出すというエピソードになっているのは解せなかった。

ゲーム自体の話からは少しずれるのだが、『がんばれゴエモン大集合!』 には収録している全13作全ての取扱説明書が「とらのまき」として収録されている。
いつのまにやら廃れてしまった文化だが、昔のゲームはキャラクターやストーリーの紹介などが記載されている取扱説明書がついていた。内容はかなり充実していて、説明書をパラパラとめくるだけでもたのしかった。
「とらのまき」では13作品の取扱説明書が収録されているので、すべて見るとシリーズがいかに変貌してきたのかが理解できた。初期作と後期作ではだいぶ雰囲気が違っており、読み物として面白い。
初代『がんばれゴエモン! からくり道中』のゴエモンは、“いかにも!”という風貌・設定の硬派なキャラクターだった。それがファミコンの2作目ではエビス丸が相棒に加わり、ゴエモン自身にも牡羊座、A型などという設定まで追加される。江戸時代なのにどうなってんだ。(詳しくは『がんばれゴエモン大集合!』の「とらのまき」を見てみてほしい)
DLソフトに慣れた令和っ子には通じないかもしれないが、少年時代パパママにゲームを止められ、虚しく説明書を眺めるしかなかった……みたいな記憶を持つおじさんたちは懐かしさに感動できるのではないでしょうか。
13本のタイトルを見渡して、このシリーズの魅力は何かとストレートに聞かれたら、正直に言って答えられない。要素が多すぎてまとめきれない。たぶんプレイヤーを楽しませるためには何でも取り込んできたんだろうなというのが感じられるし、当時遊んでた子どもたちは喜んだろうな〜という気がする。
おじさんたちがこのタイトルの名前を聞いて大興奮してた理由が、今ならわかる気がする。こんだけ色々やってれば、「俺は初代の横スクロールが好きだった!」「俺はゴエモン・インパクトが衝撃だった!」など、個々人の「好き!」がどこかに引っかかるだろうという気がする。
移植としては細かなところまでかなり丁寧に再現されており、動作はサクサクで、筆者の環境では遅延なども感じる事が無かった。ゲーム中の処理落ちポイントまでもが丁寧に再現されている。
画面サイズなどの調整だけでなく、エフェクトをブラウン管風にじらつく設定にできたりと、このへんも芸が細かい。ためしに設定してみたところ、おもったよりしっかりブラウン管だった。自分もかつてブラウン管テレビでゲームしてた身なので、レトロゲーム感が一気に強くなって懐かしすぎる。
一方で、古いタイトルのテンポ感を補うターボ(高速化)機能、巻き戻し、クイックセーブとロード、連射設定など、古いゲームならではの遊びづらさを調整して、かゆいところに手が届く感じにもなっている。当時の再現だけではない遊びやすさの実践についても超本気を感じられた。
本作の収録タイトルは以下の13本。ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイの3機種にまたがり、1986年から2000年までをカバーしている。
がんばれゴエモン! からくり道中(FC / 1986)
がんばれゴエモン2(FC / 1989)
がんばれゴエモン外伝 きえた黄金キセル(FC / 1990)
がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻(SFC / 1991)
がんばれゴエモン さらわれたエビス丸(GB / 1991)
がんばれゴエモン外伝2 天下の財宝(FC / 1992)
がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス(SFC / 1993)
がんばれゴエモン3 獅子重禄兵衛のからくり卍固め(SFC / 1994)
がんばれゴエモン きらきら道中 僕がダンサーになった理由(SFC / 1995)
それ行けエビス丸 からくり迷路 消えたゴエモンの謎!!(SFC / 1996)
がんばれゴエモン 黒船党の謎(GB / 1997)
がんばれゴエモン 天狗党の逆襲(GB / 1999)
がんばれゴエモン 星空士ダイナマイッツあらわる!!(GBC / 2000)
『がんばれゴエモン 大集合!』は2026年7月2日発売予定。Nintendo Switch、PlayStation 5、Steam(PC)に対応している。
収録作品全部味が違うので、『がんばれゴエモン大集合!』とは何なのかを聞かれても、これまた困る。ただ、シリーズの執念(?)を現代に繋いだ愛は確かに感じることができた。





















