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まさに「深夜のお散歩」──粘土の世界を旅するゲーム『The Midnight Walk』は夜中に1人で遊ぶのをおススメしたい。不気味だけど美しい、本物の粘土で作られた世界に“ヘッドフォン推奨”な音響など、こだわりしかないデザインと雰囲気が良すぎるから

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深夜にゲームを始め、ふと気づくと窓の外が明るくなり、チュンチュンという鳥の声で現実に引き戻される。ゲーマーなら誰しも経験があるであろう、あの「極上の没入体験」にピッタリの作品に出会った。

それが、粘土の世界を旅するアドベンチャーゲーム『The Midnight Walk』だ。

本作はスウェーデンのゲームスタジオ「MoonHood」が手がける一人称アドベンチャーゲーム。

プレイヤーは本物の粘土とストップモーションアニメで作られたダークかつ美しい世界の中を、相棒である迷子のランタンと共に冒険していく。短いプレイの中に濃密な体験が詰まっている、そういった作品が大好きな人にオススメしたいゲームだ。

PVを見ると若干ホラーゲームのようにも見える。確かに不気味さやちょっとしたびっくり演出はあるものの、実際のゲーム体験はどちらかというと雰囲気を楽しむウォーキングシミュレーターに近いゲームだ。

ちなみにこの『The Midnight Walk』は、昨年の「The Game Awards」と「The Steam Awards」の両方で賞を受賞した、高い評価を得ている作品でもある。

そして本作を最大限に楽しむ方法としてオススメしたいのが「出来るだけ夜中に遊ぶ」こと。だってタイトルがThe Midnight Walk(真夜中のお散歩)だから……。というのは半分冗談で、その理由はただ1つ。本作は「体験にどっぷりと浸かるタイプのゲーム」だから。

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デザイン・音・ストーリー、そのすべてを味わい尽くすために、集中できる夜中にじっくりと遊びたくなる──いわば「プレイヤーがゲームに合わせたくなる」ともいえるような体験が味わえる作品だったのである。

そこでこの記事では、3月26日に発売となるSwitch2版を実際に遊びつつ、「どっぷりと浸かるような真夜中のお散歩体験」という本作の魅力を詳しく説明しよう。

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文/植田亮平
編集/海ソーマ

※この記事は『The Midnight Walk』の魅力をもっと知ってもらいたいFast Travel Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


映像も音もこだわりまくり。じっくり没頭するために深夜に1人でプレイしてほしい

まずは『The Midnight Walk』の世界観と基本的なゲームプレイを紹介しよう。

本作の舞台となるのは、太陽が盗まれて全てが暗闇に包まれた夜の世界(良い響きだ)。闇からは化け物が這い出てきて、住人たちは良いヤツも悪いヤツもみんな「火」を求めて奪い合っている。あまり治安がいいとは言えない雰囲気だ。

そんな世界で目覚めた主人公(あなた)は、旅の道中で小さな生き物と出会うことになる。頭に灯がともった可愛らしいポットの怪物、「ポットボーイ」だ。

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ポットボーイはキャンドルや機械、暖炉などあらゆるものに火を灯すことができる。この力を使えば、太陽を失ってしまったこの世界にもう一度光を灯すことだってできるかもしれない。

こうして、あなたとポットボーイのバディは「もう一度世界に火を灯す」という使命のもと、はるか彼方にそびえる巨峰、ムーンマウンテンを目指して歩き始める……というのが本作の基本的なストーリーラインだ。

光を失った夜の世界で、灯りをともすために旅をする──この設定だけでもう、このゲームのしんみりとした作風がお分かりいただけるのではないかと思う。

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このゲームの世界観、およびビジュアルについて特筆すべきことは、何と言ってもその洗練されたアートスタイルだろう。本作はクレイアニメ・ストップモーションアニメの影響を多大に受けている作品であり、ゲーム中のキャラクターは実際に粘土で造形したものをスキャンして3Dモデルにしているというこだわりようだ。

さらに、アニメーションまでストップモーションと同じ手法で1コマ1コマ撮影されているなど、とにかくビジュアル面で手が込んでいる。まさに手作りの芸術作品だ。

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ちなみに、粘土のモデルの制作風景はYouTubeにて公開されているスタジオの紹介動画でも確認できる。

粘土で作られた世界というこだわりのビジュアルが最大の特徴だが、さらにこのゲームは「音」もいい。

本作の劇伴はストリングスを中心にしたシックで美しい旋律が主体のBGMだ。こういった雰囲気重視のアドベンチャーゲームでは音楽も重要な要素となるが、静かな夜のお散歩に存分に浸らせてくれる仕上がりとなっている。

さらに、本作はサラウンド効果も優秀。環境音などは全てバイノーラル録音され、ゲーム内にも音の方向を使ったパズルが用意されているなど、とにかく音を使った演出、環境づくりに余念がない。

こればっかりはテキストでお伝えするには限界があるのが残念だが、わざわざ「ヘッドフォン推奨」というメッセージがゲーム中に表示されるということから、そのこだわりようを察してほしい。

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空間オーディオなどサウンドの演出に力を入れている本作では「ヘッドフォン推奨」というメッセージが表示される

さて、美しいビジュアルと音響、そして不気味かつ魅力的な世界観まで……とにかく贅沢な要素が揃いに揃った本作だが、そうした各要素はいったい何のために用意されたものなのか? それについても話そう。

先ほど述べたように、本作は一人称視点で進むアドベンチャーゲームとなっている。プレイヤーの目的はただ1つ、ステージを歩いて前に進むこと。

もちろん、歩くと言ってもひたすらのんびり歩くというわけではなく、道中には様々な仕掛けや謎解き、恐ろしい敵などが存在する。敵から隠れて進むパートやポットボーイと協力して火を灯すパズルなど、ある程度複雑なゲームパートも存在する。

しかし、それでもプレイの根幹はひたすら一本道を前に進んでいくというシンプルな構造になっている。ゲームプレイ上とりわけ難しい箇所等も存在せず、詰まることなくサクサクプレイすれば6時間程度でクリアできるボリュームだ。

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つまり、本作はそんな「歩くだけの体験」に没入感をこれでもかと詰め込んだ作品なのである。

そして「出来るだけ夜中に遊ぶといい」というのも、実はこうした没入感の故である。部屋を暗くして出来るだけ静かな環境で、造形や音響にこだわったゲーム世界に全力で没頭する、そんな遊び方をすれば、本作の体験は何倍にも心に残るものになるだろう。

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本作がクリアまでそれほど時間のかからない設計になっているのさえ、むしろ没入感に貢献しているように感じられる。深夜にゲームを始めれば終わるころには朝、まさに一晩だけの「極上のお散歩体験」が完成するというわけだ。

暗い夜道を、相棒と良い感じの雰囲気で歩く。ミニマルだが究極にまで洗練され、完成しきったこの体験は、プレイヤーの人生に忘れられない思い出を与えてくれるだろう。

それも、先ほど述べた3つの要素──ストップモーションアニメのアートスタイル、優れた音響、綺麗な世界観──が、全てこの「ただ歩く」という体験を濃密にするために使われているからだ。

そう、このゲームは言うなれば「歩く」という体験から味わえる感動に全振りしたようなゲームなのである。

まるでテーマパークのよう。計算された演出で魅せる極上のお散歩体験

「歩く」体験から味わえる感動に全振りしたようなゲーム──この言葉を補強するために、ここからは本作の「演出力」について語ってみる。

例えば先ほど述べた要素の1つであるビジュアル面について見てみよう。

本作には洞窟や雪原、そして巨人の町など豊富なロケーションが道中に配置されているが、その魅せ方がとにかく上手い。

例えば下の画像などが良い例だが、遠景にある山と手前にいるポットボーイ、そして空中に配置されたタイトル名のUIが画面上にバランス良く、適切なタイミングで配置されることによって、まるで映画のワンシーンに入り込んでしまったような感覚になる。

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他にも、入り組んだ谷を抜けて角を曲がれば巨大な町の風景が広がっていたり、暗い洞窟の先に対照的な星空の光が見えたりなど、マップ設計の中にこちらを楽しませる仕掛けが仕組まれている。アセットの中を移動するだけでない、全てが緻密に設計された視覚体験が、ただでさえ良いビジュアルを何倍にも高めてくれる。

例えばこのシーン。

ゲームプレイの内容としてはただ一本道を前に進んでいるだけなのだが、画面上部の星が輝く瞬間、画面奥を謎の怪物が横切る瞬間、そしてプレイヤーの目を歩く家のアニメーションなど、それぞれが異なる画面上の位置、異なるタイミングで配置されているため、ただ前に歩くというプレイに対して、実際のプレイヤーは画面上で大きく視点が揺さぶられることになる。

さらに、画面奥にあるムーンマウンテンでシナリオの進行状況を表しているのも良い。つまり、目的地が見えていることでどれくらい進んだのかが視覚的にわかるということだ。本作ではこういった細かい視覚上の演出が随所に見られるのだ。

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また、登場する各種キャラクターたちのアニメーションも旅を盛り上げてくれるアクセントになっている。特に道中ずっとプレイヤーと行動を共にするポットボーイは、こちらを振り返って手を振ったり、気になるものには近づいて固有のアニメーションを見せてくれたりと、とにかく表情豊か。

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そして演出のタイミングで言えば、音楽も外せない。
ビジュアル面と同様、本作の音楽もゲームの盛り上がりに同期して適切な緩急を与えてくれる。静かなイントロから抒情溢れるメロディーまで、ゲームのあらゆるシーンを彩っている。

たとえば上の動画は壺に炎を当てるシーンだが、ボタンを押して炎を噴き上げるのに合わせてBGMが盛り上がり、闇が開けるという演出になっている。このようにプレイヤーの動作や進行に合わせた音の演出が「欲しいところで来てくれる」のがなんとも心憎いのだ。

また、ゲーム中に物語を読み上げるナレーションの声も印象深い。優しく穏やかにプレイヤーとポットボーイの行く末を語る声は、ウォーキングシミュレーターのようなゲーム性の本作にバッチリとマッチしていて、優しいおじいさんが寝る前の物語を読み聞かせてくれているかのような温かみを感じる。

そして、各種ステージそれ自体の緩急も素晴らしい。じっくり足を止めてキャラクターの話を聴く場面から、怖い化け物から逃げるスリリングなアクションパートまで、プレイヤーをどう動かし、どんな体験をさせるかという計算が隅々まで行き届いている。

背景やアニメーション、そして美しいステージまで──すべての演出やタイミングが計算されつくしており、1本道だからこそとことん魅せる、まるでテーマパークライドのような体験がプレイヤーを待っている。

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どうだろうか。ここまで述べた数々の演出──ビジュアル、音楽、ゲームプレイ、それらが渾然一体となって、本作の「ひたすら歩いて前に進む」という動作から生まれる質感を、まさに「体験で魅せる作品」たらしめているのではないかと思うのだ。

不気味だけどちょっとかわいい。奇妙で愉快な登場キャラクターたち

最後に、奇妙で愉快な粘土のキャラクターたちを少し紹介しよう。素晴らしいデザインだけでなく、手作りならではのアニメーションにもぜひ注目してほしい。

まず紹介するのは、旅の道中で主人公たちをサポートしてくれる家のキャラクター。足が生えてきて自分で移動することができる。とても大きくて、このキャラクターが登場するシーンはどれもインパクトたっぷり。中に入ることも可能で、家の中では道中で手に入るコレクション要素が確認できる。

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次に紹介するのは大きな町を統治する巨人の王様。作中の中でも最大のスケールを持っていて、特定のステージでは背景にずっと登場する。その背景でのアニメーションも一つ一つ丁寧にストップモーションアニメで作られており、これがたまらない。本作の演出力の高さを示してくれるようなキャラクターだ。

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そして最後に、ポットボーイ。プレイヤーの相棒的な存在であり、このゲームのストーリーに重要な役割を果たすキャラクターだ。歩いているプレイヤーの先を行ったり、後ろからついてきたり、とにかくアニメーションや動きのバリエーションが多いキャラクターで、こいつを眺めているだけでもこのゲームは楽しいはずだ。もちろん、火のポットというのも本作の夜というテーマに合っている。

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そしてこれは少しネタバレになるかもしれないが、このポットボーイとの友情はゲームが進むにつれ本当に感動的な展開へ進んでいくことになる。その結末がどのようになるか……それは言えないが、自分にとってはこの部分も含めて心を揺さぶられる作品になった。


ネットを断ち切って、できれば夜中に1人で、コーヒーでも飲みながらじっくりと浸る。
『The Midnight Walk』はそんなシチュエーションにもってこいのゲームだ。

繰り返しになるが、もしこの記事を読んでこのゲームが遊びたくなった、あるいはこのゲームを遊ぼうと思ってる人がいるなら、なるべく上記のような環境で遊ぶのをおススメしたい。

それと、没入感を最大限得るためにも、ぜひ本作を遊ぶときはゲームをぶっ通しで遊んでみてほしい(というかぶっ通しで遊びたくなる)。忙しい現代人には難しい話かもしれないが、それぐらい本作は「雰囲気」と「体験」を突き詰めたゲームだ。

ウォーキングシミュレーターやアドベンチャーゲームが大好きな私としては、このようなタイプの名作に久しぶりに出会えたことが本当に嬉しい。この感動をほかの人にもぜひ味わってほしい。そう思わせてくれる作品であった。

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みなさん、こういう落ち着いた雰囲気のゲームを腰を据えてじっくりと遊ぶというのも、たまにはいいですよ。しんみりと心に残る深夜のお散歩、いかがですか?

『The Midnight Walk』Nintendo Switch 2版は3月26日より発売中です。

ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。
編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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