2026年5月22日から24日まで、京都みやこめっせでインディーゲームの祭典「BitSummit」が開催されている。
毎年様々なインディーゲームが集まる本イベントだが、今日はそのなかでも「AIを使ったゲーム」、AIがGMを務めてくれる一人用TRPG『Saga&Seeker』(以下、『サガシカ』)について紹介しよう。
2026年の今、AIがゲームシステムに組み込まれるタイプのゲーム(あるいはゲーム系のサービス)は以前にもまして増え続けており、AIの技術的進歩と同調するかたちで、その内容も様々に変化しつつある。
もちろんBitSummitにもさまざまなAIゲーが出展されているわけだが、本作はそのなかでもかなり尖った部類ではないだろうか。
なにせ、TRPGだ。プレイヤーがキャラクターを持ち寄り、GMの用意した任務や謎に挑む。それぞれが時にキャラとして、時にプレイヤーとしてコミュニケーションを取りながら物語を展開していく。そんな遊びは、当然ながらひとりではなかなかプレイするのが難しい。
ネット上でのプレイをサポートしてくれるツールやサイトも普及してはいるものの、GMやプレイヤーとして一緒に遊んでくれる人間だけは、自力で探さなければいけなかった。
だが、本作ならばGMも仲間のプレイヤーもまるっとAIが担当してくれる。シナリオも用意されていて、自分はただプレイヤーとして、目の前で起こっているイベントに反応したり、解決策を考えて言い放つだけでいい。あとの処理はAIがやってくれる。
なんだか、楽しそうじゃないか?
というわけで、本稿では令和最新の“ひとりで遊べるTRPG”『サガシカ』のプレイレポートをお送りする。
まさに一人で遊ぶTRPG。GMはかしこいAIが務めるから、どんな無茶振りをしても安心!(たぶん)
『サガシカ』はテキストベースで進む古典的なアドベンチャーゲームなのだが、本作の最大の特徴であり目玉は、何と言っても「プレイヤーが自分で物語を生み出していく」という点にある。
本作にはいわゆるビデオゲーム的な「選択肢」という概念がない。その代わりに、プレイヤーは画面下部のテキスト入力欄に、自分の言葉で好きな行動や発言を書き込むことが出来る。
TRPGなどの対話ベースで進むゲームを遊んだことがある、あるいは知っている方ならお分かりいただけるかと思うが、このシステムは非常に自由度が高い。プレイヤーの書き込んだ行動や発言をゲーム側がその場で解釈し、即興で物語が組み立てられていく仕組みとなっている。
本作は、一言で表現するならば「一人で遊ぶTRPG」といったところだ。シナリオを選び、仲間を選び、セッションが始まる。そしてそのセッションでGMを務めてくれるのが、かしこいかしこいAI君というわけである。
ゲーム中でプレイヤーの取れる行動はすべてが自由。例えば会話している目の前のキャラクターをいきなり口説いたり、斬り殺したり、はたまたその場にいきなりドラゴンを召喚してメチャクチャに……といったことまで、まさにあらゆることが許可されている。
しかも、GMであるAIは非常に賢い(※選ぶモデルによる)。今回プレイしたセッションではGPT5.1モデルを使用したが(ゲーム内でAIモデルの選択可)、私のロールプレイや突拍子もない行動もすべてうまいこと解釈し、満足度の高い物語を生成してくれた。
「いよいよこんな時代が来たか……」と思わせてくれる、そんな新鮮なゲーム体験を味わうことができた。
物語は「創り、遊び、共有する」時代へ。あなたの作ったキャラや物語が、ほかのだれかの“思い出”になる
このゲームの骨子をお伝えしたところで、ここからさらにこの『サガシカ』の面白いところを紹介しよう。
本作のさらなる魅力は、「一人で遊ぶだけでは終わらない」ところにある。その遊びを、他人と共有できるのだ。
基本的に、本作のゲームプレイは特定のシナリオを選択して遊ぶことが前提となっている。いきなり何もないところに放り出されて「はい、ゲームスタート」という訳ではなく、物語の前提となる「あらすじ」や解決すべき「問題」がちゃんと用意されている。
初めから用意されているシナリオ(ゲーム内ではクエストと呼ばれる)には王道の冒険物語やラブストーリー、ホラーや「ジャンケン一発勝負!」など非常にバラエティー豊かなものが並んでいるが、中でも注目したいのは「シナリオを自分で作成し、共有する」機能がついているということ。
テキストファイルで自分のオリジナルの物語を創作し『サガシカ』に読み込ませれば、自分が創ったシナリオをゲーム内で誰でも遊ぶことができる。もちろん、キャラクターの顔グラフィックや背景イラストなども自由にカスタマイズ可能。「ココフォリア」や「ユドナリウム」などのプレイ系ツールとしても使うことが出来るというわけだ。
また、各シナリオで主人公となる「あなた」や、同行するパーティメンバーのキャラクターシートも細かく設定できる。外見の美醜や能力、スキル、性格や秘められた力まで全てが自由に設定可能となっている。
そしてユニークなのが、プレイヤー専用の「オリジナルスキル」がゲーム内で獲得できるという部分。各シナリオを最後(プレイヤーの任意で終わらせることが出来る)までプレイすると、その物語であなたが取った行動傾向や特性をAIが分析し、自動でスキルとして生成してくれる。
もちろん、各スキルは他のシナリオを遊ぶ際にも引き継ぐことができ、尚且つほかのユーザーとキャラを共有することもできる。物語を「創り、遊び、共有する」……これを一人でおこなうことができるようになったのが、本作の真に革新的な部分と言える。
AIを使って自分が物語を生み出す側へ——。ロールプレイを楽しむもよし、AIがどこまで許容してくれるか実験するもよし、様々な遊び方も可能だ。こうした体験は、これからますます発展し、広がっていくだろう。本作は、そんな新時代の幕開けを感じさせてくれた。
Bitsummitに立ち寄ったら、ぜひ本作を遊んでみてほしい(Steamでも絶賛リリース中だ)。『サガシカ』は、”新時代の遊び”の一端を間違いなく垣間見せてくれるだろう。
……あ、ちなみに、言い忘れていたが物語中に登場するパーティキャラクターにもデフォルトでかなりの数が用意されている。
そして気になるその中身なのだが……。
ひろゆきがいます。
ひろゆき以外にも織田信長、ニーチェ、ゲームディレクターの小高和剛氏など……歴史上の偉人からゲームクリエイターにマスコットキャラクターまで、かなーり濃いメンツが採用されているので、もしかしたら本作は新時代の遊びを提供すると同時に、「新時代のバカゲー」……でもあるのかもしれない。







