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『エースコンバット8』先行プレイ。「僚機指示」復活、ストーリー1人称化で、”ひとりのパイロット”として仲間と飛ぶ感覚が爆増。頼むから、誰も死なないで……!

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【インタビュー】ゲームの仕様に”忖度”する必要のない、より自由な体験を目指して

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──シリーズ新作としては7年ぶりの作品となりますが、本作の開発経緯と、シリーズとして変えていないポイントと、本作で新しく変えたポイントについて、それぞれ教えてください。

下元学氏(以下、下元氏):
開発の経緯としては、前作の『エースコンバット7』が、発売から非常に好調なセールスを上げられたので、『エースコンバット8』の開発も2020年にはすでにスタートさせることができました。本当に多くの皆様に支えられて新作の開発をスタートできたので、ありがたいなと思っております。

河野一聡氏(以下、河野氏):
やっぱり「エースパイロットの体験」という部分は変えていません。空を自由自在に飛び回って、熱いドッグファイトができること。パイロット自身の判断で戦っていく気持ちよさという、シリーズを通してのコンセプトは変えていないんです。

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下元氏:
コアコンセプトは変えていませんが、現世代のゲームとして、プレイフィールをより現代風にしてみたりはしていますね。我々は「深化」──エボリューションの「進化」ではなくて、深くするほうの「深化」という言葉を使っているのですが、コンセプトをより深掘っていく形での開発を進めています。

河野氏:
今作、目に見える部分の新たな点としては、パフォーマンスが上がって映像が綺麗になっているという部分があります。それに加えて「ビジュアルに機能を含めていく」というところが一番大きいです。

パフォーマンスが上がって映像が綺麗になっているというのは、今作の目に見える進化の部分ですが、それに加えて「ビジュアルに機能を含めていく」というところが一番大きいです。

例えば「雲」です。飛んでいると雨が降っていたり、天候が変わっていたりするところがあって、そうしたときって結構低い高度、雲の下にいる状態なんです。そこから上に抜けていくと、完全に青空になります。これを繰り返し遊んでいると、「雨が降っているから、自分は低いところを飛んでいるな」と、無意識のうちにすり込まれていくわけです。

飛行機雲を追いかけていくと、その先に敵がいたりとか。キャノピーの反射の先に敵がいたりとか。敵機が「ダメージ煙」という煙を吹いていると、かなり弱っていたりとか。そういうふうに、ビジュアルが綺麗であるだけでなくて、そのビジュアルがゲームのメカニクス的にどういう「サイン」を出しているのか、という機能を持ち込んでいます。

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下元氏:
自機の高さは、当然「高度計」を見ればわかりますが、そもそも高度計をゲーム中に見ることができるのは、ゲームが非常に上手い方であって、ゲームに慣れていない方にはできません。

でも、いま河野が説明したように、より直感的に自分が飛んでいる高さを感じ取ることもできます。ですから新しく入ってきてくださる初心者の方にとっても、より分かりやすい実装にできたのではないかと思っています。

河野氏:
新しい点としては、ダメージを与えるメカニクスの「裏側の設計」を結構大きく変えています。というのも、今までは、ある程度プレイヤーの皆さんに「ゲーム側の都合」を忖度してもらっている部分があったんです。

「コンテナがついているところはダメージが入るので撃ってください。ダメージコンテナがついていないところに関しては無敵なので、ダメージは入りません」というような作り方をしていました。でも、今の時代に自由に敵と戦ってもらおうと考えたときに、それは時代遅れだなと感じて、ダメージ周りの設計をすべて見直しました。

実際に大型機と戦っていただくとわかるのですが、コンテナのないところであっても機関砲を撃ち込めば大型機本体のダメージとして蓄積します。また大型機の一部を爆発させると、その爆発による「範囲ダメージ」が、機体本体にも追加ダメージとして入ります。

つまり、プレイの仕方によって、大型機のやられ方が変わるんです。人によって撃墜の仕方が変わるような、ダメージ設計をしています。といっても、これまでのプレイフィールは、あくまでも変えていません。今まで通りにコンテナ狙いでターゲット全滅というクリアの仕方もできるんですけど、場面によっては機関砲を使って一気にダメージを与えて最速で倒すこともできる。自由度を持った設計になっています。

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プレイヤー自身が「英雄になる」という体験が醍醐味。だから初心者でも楽しめる難易度設計に

──本作の難易度についてはどうなっているでしょうか? シリーズの歴史も長いですが、今回初めて触れる人でも問題なくプレイできるでしょうか。

下元氏:
今回の試遊会で皆さんに遊んでいただいたのは、従来のシリーズの方向けの「ベテラン」と呼ばれている難易度です。この難易度よりも簡単な、標準の難易度として「パイロット」と呼ばれる難易度がありまして、さらによりも簡単な難易度として「ルーキー(ストーリー)」と呼ばれている難易度も実装しております。

つまり、シリーズ初の方であったり、普段ゲームをあまりプレイされないので、ストーリーだけを追いかけたいという方に向けた難易度も入っています。チュートリアル・トレーニングとあわせてそういった内容を選んでいただくことで、初めての方でも楽しんでいただける『エースコンバット』になっているかなと思っております。

──本作はジャンル名が「ドラマティックフライトシューティング」となっています。何か理由や関連があるのでしょうか。

下元氏:
フライトシューティングというジャンルの前に、「ドラマティック」という言葉を付けさせていただいているのにはわけがあります。

先ほどもお伝えしましたが、『エースコンバット7』がのセールスが好調だったこともあり、実際に買っていただいた方の声を聞かせていただくという機会も多くありました。そこで分かってきたのが、「まさかストーリーがあると思わなかった」というご意見が、海外を中心に多かったことなんです。

考えてみれば、「フライトシューティング」と言われて、まさか物語があるって思わないもんだなと、改めて気づきました。先ほど河野が言ったように、『エースコンバット』というのは、プレイヤーの皆さん自身が英雄になっていくという「体験」を大事なものとしています。そういったことが伝わるように、フライトシューティングの前に「物語性があること」を伝えたい。そのために、「ドラマティック」という言葉を入れています。

モニターの向こうで僚機と並んでもらう感覚を追求した結果が「一人称視点」

──今作のストーリーモードでは「1人称視点」を採用していますが、その理由を教えてください。

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河野氏:
先ほどもお話した通り、本作のコンセプトは「自分自身がエースパイロットになっていく」というところで過去のシリーズから変わっていません。インゲームでの体験については、まさしく体験を実現できると自負しています。

一方で、ストーリーを追っていくと締めのシーンがいつも「三人称」で、プレイヤーがどこにいるかあやふやな視点のまま進めていくということには、ちょっと疑問を持ったんです。

「あなた自身」がモニターの向こう側に降り立っていただいて、仲間たちと同じ地面に立って、空では一緒に戦闘機によって戦っていく。そうした体験を大事にしたい。だから「一人称」という形になりました。

ただ、体験された通り、全てを一人称で表現しているわけではありません。三人称の視点とうまく織り合わせた形で色々お話が明らかになっていくんですが、一人称ならではの「仕掛け」も色々あるので、楽しみにしていただければ。

──前作や過去作とは、ストーリー上の繋がりはありますでしょうか?

下元氏:
大前提としてお伝えしたいのが、物語自体は本作だけで完結しているので、前作をやっていない初めての方でも十分に楽しんでいただける製品になっているということです。そこは間違いありません。

ですがシリーズのナンバリングのほとんどで共有している「ストレンジリアル」【※】という世界の、同じ時系列上で今回も物語を描いていますし、前作『7』と同じ「ユージア大陸」が舞台でもあります。前作から10年という月日が経った物語ですので、これ以上はちょっと説明しづらいんですけれど、色々あるかなと。

あまり語りすぎてもあれかなと思いますが、前作を遊んでいただいた方には、「おっ」と思えるようなシーンも入れておりますので、楽しみにしていただけたらと思います。

河野氏:
コアファンの方たちにはきちんと答えつつ、新しい人には入りやすい物語になっています。

※ストレンジリアル
『エースコンバット』シリーズのナンバリングタイトルの多くが共通して舞台とする架空の世界の名称。前作『7』および本作『8』はともにこのストレンジリアル世界の物語。

シリーズ最大級のボリューム、シリーズ最大規模のオンラインモード

──キャンペーンモードは、全体でどのくらいのボリュームになっているでしょうか?

下元氏:
具体的なミッション数はちょっと控えるんですが、前作『7』に比べて増えています。戦闘機をある程度集めたり、トレーニングをしてみたりしつつ、クリアまで25時間ぐらいを要するボリュームで、今回提供させていただいています。

河野氏:
ボリュームについては、お前が増やしたんだからね(笑)。

下元氏:
実は開発からは、「下元に増やせと言われて、とてつもない大変な思いをした」とずっと責められています(笑)。だからボスもたっぷり、ミッションバリエーションもたっぷり入っているかなと。

河野氏:
現時点でもチェックで10周は回っているんですけど、「もう勘弁して」という気分です(笑)。

──ミッションのバリエーションはどんなものが用意されているのでしょうか?

下元氏:
30周年ということで、これまでのシリーズのいいところを全部詰め合わせたような形で作っています。過去作を遊んでいる方だと、「これどこかで遊んだことあるな、でも新しいな」と楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています。

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河野氏:
シリーズとして30年の歴史があって、いろんな作品が出ていますから、企画が始まった当時から「各タイトルのいいところを見直してみよう」というのがありました。

メカニクスだったりとか、ミッションバリエーションだったり、「これは良かったけど、シリーズを続けていくうちに消えちゃったよね」といった要素に改めて着目して、シリーズの中から良い点を組み合わせてミッションバリエーションやメカニクスを作っています。

──キャンペーンモード以外には、どのようなゲームモードが実装される予定でしょうか?

下元氏:
『エースコンバット』シリーズといえばキャンペーンモードだと思いますが、今回はそれに加えて“シリーズ最大規模”の「オンラインモード」を搭載しています。

河野氏:
そのせいで、なんかSNSで大変なことになってますね(笑)。

下元氏:
ただ詳細はまだ喋ることができないので、しかるべき時期に情報を公開させていただきたいと思っております。ゲームモードの方向としては「キャンペーン」と「オンライン」ですね。

──本作のビジュアル表現について、注力したポイントはあるでしょうか?

河野氏:
先ほどもお話ししましたが、ただ綺麗なビジュアルを目指すのではなく、必ず「機能を持ち合わせたビジュアル」を目指す、というのをクリエイター陣の課題としています。

各ビジュアルが機能的な効果を持っていて、プレイヤーに何かしらのサインを発している。そのサインを発見してもらうことで、そこから予測・推測して戦ってもらう。そうした「判断の自由度」を広げたビジュアルになっています。

リアリティ追及のために、地獄の沖縄取材から空母ロケハンも敢行

──今作の開発にあたり、実機取材やロケハンなどは行いましたか?

河野氏:
例えばサウンドだと、実際に基地に行って、戦闘機の音を収録したりしていますね。

下元氏:
真夏の沖縄で、いつ飛んでくるかもわからない戦闘機に向けてガンマイクをひたすら構え続けるという、地獄のような収録をしたりね(笑)。

河野氏:
あとは開発陣で、実際の空母がそのまま博物館になっているところがあるんですが、そこに撮影に行って、資料を収集したりということもやっていますね。

下元氏:
実際の空母なんかでは、レーザースキャンだとかフォトグラメトリーなどもやりました。実寸大の空母をリアルに再現したいということで、サイズ感を把握させていただくために、いろいろやりました。

河野氏:
今回、ゲーム内のすべては「1分の1スケール」で作っています。100キロ四方のマップの中に、空母と戦闘機とハンバーガーが同居しているんです。

今までの『エースコンバット』は10倍のスケールで作っていたんですが、今回1ミリは1ミリで作ってあるので、100キロ四方の中にミリ単位のものが同居している。普通のことのように聞こえるかもしれないのですが、いままでって「嘘」をついているので、カメラで撮ると違和感があるんです。今回、一人称のカメラで撮って実際の風景として違和感がないのは、そうした取材や作り方などが影響しています。

下元氏:
SEなんかは実際に火薬を使って爆発させて、その爆発音を収録していたりします。シネマティックのシーンでも、演者さんたちの前に複数のマイクを置いて、立体的な音をゲームに入れ込むかたちでやっていますね。

河野氏:
あくまでも「同じ空間に自分がいるという感覚」を大事にしています。

下元氏:
3Dの立体音響をいかに作り込むか、またそれをヘッドホンでいかにリアルに感じていただくかを求めて、サウンド周りのエンジンなども独自に開発しています。もし高価な音響機材がある方には、7.1.4chで遊ぶこともできるように作っていますので、そういった機会があれば、ぜひ最高の環境でもプレイしていただきたいなと思います。

──影響を受けたコンテンツなどありましたら教えてください。

河野氏:
あの有名な映画じゃないですか(笑)。

下元氏:
戦闘機モノで、非常に有名な映画がございまして、前作ではコラボレーションもさせていただいております(笑)。

我々としても戦闘機モノのエンターテインメントとして、世界にウケている表現というものをすごく学ばせてもらいました。今回、インゲームのカットシーンでは僚機の顔が映っているようなシーンもありましたが、そうした演出は映画から学んで取り入れたというところですかね。

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効果は特になし。でも戦闘機なら「増槽」のごっこ遊びは絶対にやりたい

──今回、強化パーツのセッティングはコストが撤廃され、カテゴリごとに「アームズ・ボディ・ミスク」という枠が決まっているかたちになっていましたが、戦闘機によってスロットの数も違っていました。そのねらいについてお伺いできるでしょうか。

下元氏:
これに関しては、「特色をつけたい」という思いで今回この方式を取っているのですが、先ほども話に上った「オンラインモード」にその意図があります。そちらで戦闘機の「ロール」を含めた区分の遊びを成立させるために、今回のようなかたちになっています。

ただ、オンラインモードのほうの機体カスタマイズについては、また一歩踏み込んだ仕様がありますので、改めて別の機会に詳しくご説明できたらなと思います。

──ちなみに、パーツの中に「増槽」【※】というものもあったのですが、あれって……?

※増槽(ぞうそう)
航空機に取り付けられる外付けの燃料タンクのこと。長距離の航行を行う際などに用いる。

下元氏:
そのご質問をありがとうございます(笑)。実は直前まで、あれを入れる入れないで揉めていたんです。

河野氏:
結論を言ってしまうと、飾りです。「増槽」がついているのがカッコいいという(笑)。

下元氏:
実はあれ、兵装ボタンを長押しすると、任意のタイミングで切り離すことができるんです。
「増槽」を付けて飛び立って、それをどこかで切り離す……という「ごっこ遊び」をどうしてもやりたい!という、うちのメカニック班の強い想いだけで生まれたパーツなんです。

──戦闘前に増槽を捨てる、みたいな遊びですか。

河野氏:
そうです。完全になりきりのためのパーツですね。やっぱり「戦闘機のかっこよさ」というものを作ってみたいんです。「増槽が全くないというのはどうだ」という話になりまして。

ただ切り離すだけの遊びなんですが、やっぱり『エースコンバット』って、「エースパイロットなりきり体験」なので、それは必要でしょう、と。実装するかどうか迷ったんですけど、入れてみたという感じです。

下元氏:
性能は特段変わりはないので、そういう「見た目の遊び」となっております(笑)。

ゲーム世界という「うつわ」を作り込むことで、体験の自由度を上げる

──本作の「連鎖破壊」についてお伺いしたいのですが、これは狙って積極的に引き起こせるものなのでしょうか? ゲームにおける重要度はどの程度のものなのか、お伺いしたいです。

河野氏:
結論としては「偶発的なもの」です。地上のオイルタンクみたいな建物は別かもしれませんが、空中に飛んでいる敵機を狙って落として、それを敵にぶつけるというのは、現実的に狙って起こすことは不可能ですよね。

ただ、2026年に出るタイトルとして、その世界の「リアル」をきちんと描いていくことが大事です。見た目だけそれっぽくみせているのではなく、機能としてメカニクスに組み込んだという形ですね。

もちろんシチュエーションによっては、「これなら狙えるな」というタイミングはあると思います。たとえば爆撃機が3機編隊で並んでいるという状況なら、機銃を使って落とすせば残骸も大きいので、当たる確率は高くなります。大破させてしまったり、もしくはばらけている状態までいってしまえば、爆発させても連鎖はしないでしょう。

必ずしも「連鎖破壊」がないとクリアできないという作りにはしていません。それを「必殺技」にはしたくないんです。どちらかというと、やっぱりエースパイロットとして「今、俺、こんなにうまくできた!」という瞬間を作ることを目指していて、そのために出来事の「うつわ」側の計算をきっちりしてあげた、という感じですね。

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──というと、ミサイルと機銃とでは、壊れ方も異なるんですか?

河野氏:
そうですね。機関砲については、今回こだわって作っていて、『7』の時よりかなり当てやすくなっていると思います。もともと機関砲って、シリーズの30年の歴史の中で、「使う人は使うよね」くらいの位置づけでした。僕も使わない派だったんですよ。

ただ、今回「連鎖破壊」や「範囲爆発」といった「うつわ」側を懐深く作っていくと、アプローチの手段として、ミサイルと機関砲の使い方も変わってきます。

固まっている爆撃機まで近づいて機関砲で倒せば、連鎖してぶつかっていきます。これはミサイルでは起こせないけど、機関砲だと狙いやすくなる、といったことは意識しています。とはいえ難しいのが、機関砲を必須にしたいわけではないんです。

ミサイルだけでも十分クリアできるし、今作では特殊兵装を2個積みできるので、一気に倒す爽快感もあります。その中でも、こだわってやってみるのも面白い設計になっています。

──「機関砲をこう使ったら、こういうことが起こるよね」というのを徹底した結果だと。

河野氏:
そうです。よく話すのですが、『エースコンバット』というゲームの遊びを作るときに考えているのが、「水槽みたいな入れ物の中を、かきまぜ棒でかき混ぜる」というイメージです。

「水槽」がゲームの世界で、「かきまぜ棒」が、空を自由に飛ぶことや、ミサイル、機関砲、特殊兵装などですね。魔法のようなものは存在しないので、連続技とか超必殺技といったものはつけられません。棒自体はシンプルなんです。

そのシンプルな棒でゲーム性を深くするには、この「水槽」──「うつわ」の側に入っているものをいかに反応させるかだと思っています。「連鎖破壊」や「範囲爆発」といったメカニクスは、「うつわ」側の反応を変えてあげることで、「かき回せる楽しさ」を変えることなんです。

戦闘機は「軍事機密の塊」。資料だけで作り込めない部分も、メーカーとのやり取りで補完

──今作に登場する戦闘機については、ライセンサーからの許諾を受けたうえで開発しているとのことでしたが、どのようなやり取りをされているのでしょうか?

下元氏:
ライセンサーの方々とやり取りをする上で、「精密に再現されているか」というところは非常に気にされております。

我々からすると他社さまのものですから、十分に間違いがないように制作をしているんですが、戦闘機って「軍事機密の塊」なので、世に出ている情報だけでは作り込めない部分もあります。我々としては十分に検証を重ねて作ったつもりでも、「これは古いよ」とか「ここ間違っているよ」というフィードバックをいただくこともあって、そうしたやり取りを重ねながら、より正解に近づけています。

「違うよ」と言って教えてくださるところが、「世に出ていない情報」だったりすることもあって、我々としては「これ実装していいのかな?」と思うこともありますね(笑)。

もちろんメーカー様の強い思いがあって作られているものですので、見た目だけではなくて、実は戦闘機を選択した際に出てくる「機体の説明文」なども、メーカーさまのご意思が反映されて作られているものだったりします。

──ドラマシーンの魅力を教えていただきたいです。収録や開発でこだわったポイントなどはあるでしょうか?

下元氏:
個人的には、今回もプレイして頂いた序盤のシーンで、「DD」というスーツ姿のキャラクターがいたと思うんですが、その声優さんが非常にベテランの方で、台本にないアドリブをバンバン入れてくれまして。その結果、DDがものすごく魅力的なキャラクターになった……というのが、面白かったポイントですかね。

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河野氏:
それはお前が面白かったって話じゃん(笑)。

シネマ部分については、片渕監督の脚本ベースでコンテを切って制作しています。一人称で「視点がどこでも動かせる」ようにするのはとんでもなく苦労をしましたが、それ以外は順調に進みましたね(笑)。

ただ『エースコンバット』シリーズは毎回そうなんですが、「インゲームのドラマ」を作るのが大変なんです。

──戦闘中の無線通話などで展開されていく物語ですね。

河野氏:
僕が直接ディレクションしているんですが、セリフひとつ取っても、「1秒あいだをあけて言うか、1.5秒あいだを空けて言うか」でも、感情が変わってきます。プレイして、声優さんの演技をチェックして、再生されるタイミングをチェックして、最後に音楽との兼ね合いというところもすごくこだわって作っています。

特に今回は、「インタラクティブミュージック」みたいな扱いをしていて、今回遊んでいただいた範囲の中にも、ゲーム中にバンドの曲がかかるミッションがあるんですが、ミッション終了時には、ドラムのフィルインとかで終わるようになっているんです。

プレイ時間は人によって違うはずですが、最後に楽曲がきちんと1曲演奏した後のフィルアウトみたいな感じになっていると思います。プレイした人の結果に応じて、リアルタイムでインタラクティブに曲が繋がっていくという作りをしているんです。

「ここぞ」というタイミングで楽曲が入ったりというのを、こちら側でプレイに合わせてコントロールしていく。セリフだけではなく「音楽が乗ることでドラマになっている」というところに苦労したかなと思っています。

落雷にUAVなど、前作での不評点も改善

──前作の『エースコンバット7』では、無人機や天候・落雷で苦しめられた方も多いと思いますが、今作ではそうしたギミックはどのようなバランスになっているでしょうか?

河野氏:
「やっぱり有人機と戦いたいよ」とか、「UAVはもうたくさんだ」とか、「雷に苦労した」という声は思ったより多かったと思ったので、見直してはいます。

例えば、「シャドウズ」のような魅力的な敵パイロットとの戦闘を多くして、UAVはその補佐をしていくという作り方にしていたり、『8』ではストーリーや設定を見直してもいます。

「落雷」に関しては、『7』の時みたいに「ここは落雷するから」という立て付けではなく、「積乱雲」があって、積乱雲の中で稲光が見えているところは落雷する、といったかたちです。そこに行かない限りは、落雷はしません。

『7』ではやっぱり窮屈なところがあったなと思っています。先ほどの「うつわ」に通じる話なんですが、積乱雲の中に入っていくこともできますし、近づかなければ落雷はしません。それもプレイヤーの判断に任せるという作り方をしています。

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──今作のキャラクターには、それぞれを象徴するようなデザインのヘルメットがありますが、誰がそれをデザインしたか、という設定はあるのでしょうか?

河野氏:
誰が作ったんだろう。ジェンキンズなのかな?

下元氏:
DDじゃないですか(笑)。

河野氏:
DDかな、ありえるな……。やっぱり描いてあげることで分かりやすくなるというのは、トム・クルーズの言う通りだなって思っているんですけど。

ネタバレになるので詳しくは言えないんですが、先ほど下元が話していたDDというキャラクターが色々やっているので、その可能性は高いなと思いました。

シリーズ初挑戦の方にも、30年の歴史を凝縮した『エースコンバット』を楽しんで欲しい

──最後にお2人から、インタビューを読まれているファンの方々に一言ずつお願いします。

下元氏:
繰り返しになってしまいますが、『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』は、今までシリーズに触れていない方でも楽しんでいただけるように作っています。この手のジャンルのゲームはそれほどない思いますので、新しいゲームジャンルに挑戦する意味でも、ぜひこの機会に手に取っていただけると嬉しいです。

先ほどもお話したように「30年の歴史をぎゅっと凝縮させたような内容」になっていますから、シリーズのファンの方も安心して発売日を待っていただいて、ぜひ手に取って楽しんでいただきたいなと思います。

河野氏:
30年の歴史の中で『エースコンバット8』にたどり着けたのは、お客様の支持、ファンの支持があったからこそですから、ファンの方々には一番感謝しています。ありがとうございました。

開発にはトータル7年かかっていますが、それだけの内容にはなっていると思います。大勢のクリエイターがプレイしてくれる人のことを第一に考えて、全員が精力を注いだ「結晶」です。最後まで本当に気合を入れて、気を届かせて作り上げているタイトルなので、ぜひとも手に取っていただいて、楽しんでいただければと思います。(了)

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ライター
ゲームの好きなところは、誰でも主人公になれるという公平さ。 子供の頃よりも現実に直面する場面が増えたからこそ、束の間にゲームをする。 お気に入りのゲームは『UNDERTALE』
編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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