エルメリ氏(アートディレクター)、アンネ=マリー氏(リードレベルデザイナー)インタビュー
続いては、エルメリ氏とアンネ=マリー氏へのインタビューの模様をお届けしていく。

──前作の舞台であった建物から飛び出し、荒廃した街に降り立つというコンセプトは、開発当初から決まっていたのでしょうか?
アンネ=マリー・グロンルース氏(以下、アンネ=マリー氏):
ええ、これは前作『CONTROL』と見事な鏡合わせになっているんです。1作目では普通のニューヨークの街角から「オールデスト・ハウス」の中へと足を踏み入れました。そこはすべてが非日常的で、内部は危機的な状況にありましたよね。
今作では逆に、そのオールデスト・ハウスの外へ一歩を踏み出すことになります。まさに前作と対称的な構図です。
エルメリ・ライタネン氏(以下、エルメリ氏):
前作の時点で、FBCの本部であるオールデスト・ハウスはニューヨークのマンハッタンに隠されている、という設定はすでに確立されていました。ですから今回のストーリーも、必然的にそこが舞台になるわけです。
──ディランを新たな主人公に据えることは、前作の開発時から構想されていたのでしょうか?
エルメリ氏:
はい、じつはフェイデン姉弟の両方の物語を描くことは、最初からの計画でした。前作でも、当初はディランについてもう少し掘り下げようとしていたんです。
ただ、最終的に1作目はジェシーをメインにする形に落ち着いたので、「よし、それなら続編はディランの視点で物語を描かなければならないな」と確信しました。
──スタジオの長所であるストーリー表現と、今作の広いフィールド探索。この2点の両立では、どのような点を考慮しましたか?
アンネ=マリー氏:
バランス調整は必要になりますが、『CONTROL』というシリーズにとっては、ごく自然な進化だと言えます。
前作は、それまでの過去作のような1本道のゲームではなく、来た道を戻って探索できるような、当社初のオープンな作品でした。
ですから今作では、その方向性をさらに推し進めたかったのです。プレイヤーの選択肢はさらに増え、さまざまなビルドを作ることもできるようになっています。
自由に探索できるエリアもありますし、戦うボスが「プレイヤーがこれまでにどのボスを倒してきたか」に応じてレベルアップする仕組みもあります。そのあたりはまだ開発・調整が続いている段階ですが……。
エルメリ氏:
ええ。物語重視で1本道の作品から、今回のようなよりオープンな作品への移行は、開発チームにとっても試行錯誤の連続です。
もちろん、これまで通りストーリーをゲームの中核に据えたいとは考えていますが、今回は語り口が少し異なります。というのも、プレイヤーが好きな順番で物事を進められる、RPGらしい「プレイヤーの主体性」をより強く押し出したいからです。
そうした自由度を持たせつつ、ストーリーがしっかりと魅力的な形でプレイヤーに伝わるように心掛けています。
アンネ=マリー氏:
ええ、その点は常に意識していました。メインクエスト自体は依然として1本道で、たどり着く結末も1つだけです。
ただ、プレイヤーはさまざまなアプローチで挑めますし、進める順番も自由に変えられます。ストーリーが複数の結末に分岐するわけではありませんが、以前よりずっと自由度が増したように感じられるはずです。
──アベーラント(近接武器)は一見すると武器には見えないものがさまざまな形に変化するというデザインが印象的でした。このコンセプトが生まれた背景について教えて下さい。
エルメリ氏:
これにはちょっとおもしろい裏話があるんです。
前作でジェシーが使っていたサービスウェポンは、形状が変化するとはいえ、三人称視点の画面上ではほぼ同じサイズ感でした。
そのため、前作では見せかたにそこまで大きな変化を作れませんでした。一方、今作のディランの武器は、ふたつに分裂させたり巨大なハンマーにしたりと、まったく違う形へと、劇的に変化させられるようになりました。
それに伴ってディランのシルエット全体も、武器の構えかたや動きに合わせて変わります。プレイヤーにとっても「自分が今どんなアクションをしているのか」が視覚的にずっとわかりやすくなっているんです。
この武器のデザインには、少し変わった元ネタがあります。じつは、私がフリーマーケットで見つけた宝石職人用の「金床」なんです。
それはアベーラントと同じく、いびつな見た目をした金属の塊でした。武器ではありませんが、非常に重く、これで殴られたら痛いだろうという代物です。
そこから、こういった無骨で粗削りな、いかにも実用的な道具という方向性が、ディランの武器としておもしろいアプローチになるのではないかと考えました。
つまり、美しくデザインされたファンタジーの剣ではなく、「ただ単に、殴られたらめちゃくちゃ痛いもの」というコンセプトですね。

──前作の敵キャラは人型が中心でしたが、今作では多様なデザインのクリーチャーが登場します。これらの背景にあるコンセプトや意図を聞かせてください。
エルメリ氏:
前作『CONTROL』にすでに登場している「ヒス」を例に挙げると、ヒスに汚染されただけの一般的な警備員のような敵から、「ヒス・ディストーテッド」のように変異が進んだ敵まで、すでに幅広いラインナップが存在していました。
そこで今作では、ヒスが進化してさらに強力な存在になっていることを、しっかり表現したいと考えました。そこを出発点に、ヒスのデザインは本当にクレイジーなところまで振り切ろうと思ったんです。
さらに今作は近接戦闘が主体なので、ヒットスキャンをしてくる敵は出したくありませんでした。近接アクションゲームとして、とにかく手触りの良いものにしたかったからです。
そのため、敵のデザインの多くはその点を強く意識していて、シルエットが視覚的にわかりやすく、なおかつおもしろいものになるよう心掛けています。
アンネ=マリー氏:
今作には、前作の舞台には収まりきらなかったであろう超巨大な敵も登場します。
彼らにははるかに広いスペースが必要です。そして固有の大きな部位(弱点)があり、近接キャラクターが自ら近づいて攻撃を加えるというゲームデザインにおいて、非常に理にかなった作りになっています。
エルメリ氏:
ええ。たとえば、チームのデザイナーが「小さな敵を次々と生み出すような、巨大なスポナータイプの敵を出したい」と提案してきたんです。
そこで、それを『CONTROL』の世界観でどう表現するか考えました。思いついたのが、「ヒスに汚染されたバス」にするというアイデアでした。そこからスポーンしてくる小さな敵は、そのバスの乗客というわけですね。
──大きな頭のボスなど、見た目が怖い敵も出てきます。これはデザイナーとして狙った方向性なのでしょうか?
エルメリ氏:
確かに、敵には威圧感を持たせたいと考えていました。
本作はボス戦が大きなウェイトを占めています。だからこそ、ボスと対峙した瞬間には、その荘厳さや威圧感に圧倒されるような存在にしたかったんです。
姿を見た衝撃も、激闘の体験も、プレイヤーの記憶に強く残る。ユニークで印象深いボスを目指しました。
ただ、だからといってホラー色が強すぎる方向にはしたくありませんでした。本作はあくまでアクションゲームですから。
敵のデザインはユニークで興味深いものにしたかったのですが、いわゆる「ボディホラー」のように内臓や血が飛び交うようなものにはしていません。
アンネ=マリー氏:
それぞれが違っていて個性がある。これは戦闘の多様性という点で重要なポイントです。
ボス戦について言えば、前作にもいくつかボスは登場しましたが、当時はまだプロセスを完全に確立できておらず、主にサイドクエストでの登場にとどまっていました。
しかし今作では、より多くのボスが登場し、ゲームのより中心的な要素に深く組み込まれています。
──今作はRemedyにとって最大級のゲームになると思いますが、全体のプレイ時間はどれくらいを想定していますか?
アンネ=マリー氏:
プレイ時間は30時間から50時間と見積もっています。ただ、この数字にはかなり大きな幅があります。
というのも、本作にはプレイ可能なオプションのコンテンツが非常に多く用意されているからです。そして、それらの多くはゲーム体験全体を構成する重要な一部となっています。
正直なところ、メインストーリーだけを追うようなプレイは絶対にしてほしくないのが本音ですが、もちろんそれはプレイヤー次第です。
オプションのコンテンツをどこまで遊ぶか……それこそが、この要素をオプション(任意)にしている最大の理由ですからね。
プレイスタイルや、探索をどれだけ楽しみたいかによって本当に変わってきます。いずれにせよ、1作目よりはるかにボリュームが大きくなっていることだけは間違いありません。
──最後に、本作を楽しみにしているコミュニティに向けて、どのような体験を提供したいと考えているかお聞かせください。
エルメリ氏:
パラナチュラル(超常的)に姿を変え、幾何学的なパターン状に変異したマンハッタンをゲーム内でうまく表現するのは、本当に骨の折れる作業でした。
しかし、それが見事に形になり、壁や天井など、どの面にも自分の向きを切り替えられ、そこでアクションを駆使して敵と戦えるという、非常にユニークで素晴らしい体験になっています。
私たちはそのビジュアルと、プレイしたときの手触りにとても誇りを持っています。少なくとも私にとって、それはこのゲームならではのユニークな特徴のひとつと言えますね。
アンネ=マリー氏:
本作は複数の異なるゾーンやエリアに分かれていて、それぞれが非常にユニークな外観を持っています。
どのエリアもパラナチュラルな要素に覆われているのですが、ヒスだらけの空間もあれば、全体がモールドに覆われたまったく違う雰囲気のエリアもあります。
エルメリ氏:
また、前作『CONTROL』をプレイしてくださった方の中には、良い意味で不意を突かれるサプライズを体験した方もいると思います。
今回の続編でも、そうした「隠し玉」をいくつか用意できたと自負しています。プレイヤーのみなさんがご自身で遊びながら、ちょっとした秘密の数々を見つけ出してくださったら嬉しいですね。
アンネ=マリー氏:
本当に、すごく奇妙なものを用意していますよ。
──ありがとうございました!(了)

