前作ではシナリオ都合でオミットされ、一時は忘れ去られた“召喚”要素だったが……福原氏「そういえばグラブルといえば召喚やん」→復活
──召喚を実装するにあたり、前作から今回に至るまでの経緯についてお聞かせください。
福原氏:
前作の開発初期の段階で、すでに「召喚必要だよね」という感じではあったんです。ただ、システム的には今と少し違うものでした。
結局、ストーリーやバトルシステムを詰めていく過程で、特にストーリーの大部分がルリアと離れてしまうという設定的な要因で、召喚はオミットされました。ほかにも、やろうとしていたことに対してゲームの仕様が噛み合わなかったり、技術的な問題があったりしたことも『リリンク』に召喚を実装しなかった一因です。
とはいえ、『リリンク』後半でルリアが戻ってきた時に、プロトバハムートを操作できたり、ノーマルフラカーンを召喚する演出寄りの形では実現はしていました。なので、『リリンク』としてはそれで良しとしてと忘れ去られていたのですが、「そういえばグランブルーファンタジーといえば召喚やん」と思い出したんです(笑)。
『エンドレスラグナロク』の企画の最初にはもちろんありませんでしたが、途中から無理をしてもらって、最終的には実現できました。
日髙氏:
召喚石も忘れていましたね。(小声)
福原氏:
そうですね、召喚石……装備品で使えるやん、と。
一同:
(笑)。
福原氏:
今回、ルリアが最初から最後までパーティに同行するので、そこは違和感なくできるだろうということで後押しになりました。
──今回の発売に合わせて、『リリンク』の方でのアップデートや追加されるものがあれば教えてください。
福原氏:
『エンドレスラグナロク』の初報時点から断片的にはお伝えしていましたが、調整項目や便利機能、変更などがかなりの数あります。発売直前ぐらいにパッチノートを出すと思いますので、そこでディテールや具体的な内容を、できるだけ全部お伝えする形をとれればと思っています。
クローズドベータの段階で結構いろいろ入ったりはするのですが、それも個別にはアナウンスできていないので、発売直前のタイミングあたりで全部お伝えできたらと考えています。
──“グラブルらしいおふざけ”というところをもう少しお聞かせください。「こんな要素が予定されています」といった具体的な内容をお聞きできると、とても嬉しいです。「オイラ」と戦えたりしますか?
福原氏:
“オイラ(深い闇)”はちょっとおふざけすぎというか……(笑)。「エイプリルフールかな?」みたいになっちゃうんで、そこまで振り切れなかったですね。
『グラブル』らしい……でも召喚がやっぱり一番ふざけてるかな。
あとは前作で「リトルスニッパー」という、なぜか蟹を集めさせられるやつがあったと思うんですけど、今回さらに「カニ」がいろんなところでフィーチャーされているので、そこはやっぱり海産物ということで、『グラブル』らしい要素かなとは思います。
──複数のハード間で快適に遊べる環境を整える上で、開発上苦労した点についてお聞かせください。特にNintendo Switch 2 では「携帯モード」でプレイできる魅力があると思いますが、そのあたりでなにか意識されたことはありますか?
日髙氏:
クロスプレイについては、実は前作から考えてはいたんですけど、前作だと開発期間的なものだったりとか、ゼロから作っていたというところで難易度もすごく高く、泣く泣く外した経緯があります。
今作でも最初構想した時には一刻も早く出したいというところもあって、「クロスプレイなんて実装して大丈夫だろうか」という感じだったんですけど、エンジニアが「今回こそはやりたい」と頑張ってくれて、実現したものになります。
実際ハードを増やすにあたってテストをしてみると、Nintendo Switch 2 で出力した時に映像的には最初からかなり上手くいきまして。DLSSを採用してGPUを最適化したりとかは、エンジニアの方で初期段階から詰めてもらえたので、実は絵的には結構最初からかなり仕上がっていました。
ただ、困難がなかったわけでもないです。本作はアクションRPGであり、特にアクション部分をかなり本格的に作りこんでいるので、快適なプレイのためにどうしてもフレームレートを安定させる必要があり 手触り的にもコロコロと変わられたら困るところですので。
Nintendo Switch 2 にはTVモードと携帯モード、両方ありますけど、生活のなかでゲームをプレイしていると、頻繁にモードを切り替えたくなる思います。そんな時に、フレームレートの違和感を発生させるよりは、そこをちゃんと安定させたかったんです。その上で、それぞれのモードに対して、「どの水準でまとめるのか」を決めて実現するのには苦労したかなと思います。
頑張った甲斐はあって、かなり快適に遊べていますし、映像作りもあまり見た目が変わってなさそうでも、PlayStationとかの既存部分とは全然違う表現をしていたりする部分があります。一見しては分からないレベルにはまとめられたかなと思います。
──本作のアシストモードは非常に優秀だと感じました。本作におけるアシストモードの範囲や、使えなくなるクエスト等について、お聞かせください。
福原氏:
前作だと難易度マニアック、プラウドという最終盤のクエストの難易度で使用できなくなっていましたが、それまで機能を利用してプレイされた方がそこでやめちゃったりしたこともあったので、それはすごくもったいないなと思いまして。
今回はストーリーが追加されるということで、『エンドレスラグナロク』に追加される新難易度カオスを含めて、マニアック、プラウド、カオス、全部でアシスト、フルアシストを使えるようにしています。
極沌空所でも使えます。使えない部分でいうと、『エンドレスラグナロク』エンディング後のシビアなバトルコンテンツが登場しますが、そこではアシストが使えないようになっています。
ただ、“エンドコンテンツ中のエンドコンテンツ”くらいの立ち位置なので、ゲーム全体の99%の部分はフルアシストで楽しめるようになっているかなと思います。
キャラやクエストなどのコンテンツ追加アップデートは、現時点では「難しいかもしれない」。でも、「なにかはやります」
──プレゼンの中で、単発のキャラクター追加は難しいというお話がありました。細かいアップデートはされるかもしれませんが、コンテンツ追加という意味のアップデートは基本的には「ない」、それとも「まだ未定」のどちらになるでしょうか?
福原氏:
『エンドレスラグナロク』を開発した経緯にも関わりますが、単発でキャラクターを追加しましたとか、クエストを追加しましたみたいな“点”のアップデートだと、ゲームのコンテンツ、報酬設計の整合性を含めて調和させづらいゲームデザインになっているため、今回は“点”のアップデートではなくて“面”のアップデートとして大型拡張という形をとったという次第です。
そういった意味では、発売後にコンテンツを追加していくというのは、『リリンク』の時と同じ理由で難しいかもしれ ません。ただ、少しベクトルを変えて“そうは言ってもなにかできないか”という話をチームと進めています。
具体的な内容とかはまだお知らせできる段階ではありませんが「なにかはやります」ということだけお伝えしておきます。
──試遊させていただいた範囲では、既存キャラクターのアビリティ追加などはなかったようですが、追加のアビリティであったり、技の検討というところでどのような経緯があったのでしょうか。
日髙氏:
方針として一番最初にあったのは、前作でお気に入りのキャラクターがいて習熟してやり込んでいる人でも、今作では新鮮に遊べるようにしたいというものでした。そして新しい領域で上達していき、キャラクターをどんどん上手く扱えるという実感をまた本作でも楽しめる、というのをどう実現させるかを一番考えたんです。
その時に、当然アビリティや、特殊行動の追加も考えましたし、検証もしました。ただ、先ほどの「ディア・ゴッド」が使われなくなる件も同様ですが、単純に手段を増やしても、その分使われないものがどんどん増えていってしまうだけなんです。かといって、基本のデザインをガラッと変えると「そのキャラではなくなってしまう」という懸念もありました。
また、アビリティを追加するにしても、持っている基本技を倍に増やすなどは、コスト的にも現実的ではありませんし、プレイヤーからしても混乱することになってしまうので、数もあまり増やせないという事情があります。
最終的な操作の楽しさを考えると、増やすには限界がある。単純に増やすだけでは上手くいかないという壁に当たりました。
そこで他のさまざまなゲームを参考にしつつ、ビルドをどうすれば上手くできるのかという成功例を考えていった結果、同じ技を使うにしても、そもそも「なにを狙ってその技を出していくのか」という目的が変わると、全然違う味やプレイ感になっていくことが分かりました。
同じチャージショットでも、スタイル1とスタイル2では狙ってくる意味合いが全然違います。数を多く撃ったほうがいいのか、狙いすまして撃ったほうがいいのかなど、全体の使い方を変えていくほうが、キャラクター全体が変わった感をより楽しめるということに気づき、今の「マスタースタイル」になりました。
検証していく中で、もちろん様々なアビリティや新しいアクションを実験した部分はありましたし、実はマスタースキルのなかにその実験の成果が残っている部分もあります。思わぬところで、あるキャラクターの新モードが追加されていたり、見た目にパワーアップモードがあったり、技が増えていたりといったことも、実はあります。
福原氏:
主人公はちょっと特殊なのですが、それ以外はアビリティ8個で統一されているという部分もあったので、アビリティが増えたら嬉しいだろうとは思いつつ、誰に足すのか、あるいは「全員に足すべきではないのか」という議論はもちろんありました。
やはり全員となると、キャラ数が結構いるので、それ自体は現実的ではないという面もあるため、「マスタースキルで味変ができないかな」と考えました。マスタースキルには3つのスタイルがありますが、ざっくり言えば、日髙も言っていた通り、そのキャラらしい王道スタイルと、あとは覇道スタイル、邪道スタイルといった感じの方向性にはなっています。
その中でアビリティ、特に邪道寄りのものは、内容や役割がガラッと変わるキャラもいます。エフェクトが変わったり、「これを実現するにはさすがにモーションを増やさないと楽しくないよね」というものもいます。アビリティ自体は増えてはいませんが、マスタースタイルのアレンジで、新アビリティぐらいの触り心地や体験は提供できているかなと考えています。
──最後にゲームを待っているファンの方に一言お願いします。
日髙氏:
前作『リリンク』を発売できたのが2024年2月なのですが、本作『エンドレスラグナロク』を発表できたタイミングが今年の2月で、ちょうど2年でした。
一刻も早く出したいけど、2年で頑張って作り上げようということを、この2年間ずっと考えていました。なんと言っても、2年間絶えず送られてきたユーザーからのご意見にずっと支えられてきました。
「今自分はこういう風に遊んでいます」とか、「リリンクは自分にとって最高のゲームになった、いつまでも待つので続きを出してほしい」とか「終わらないで」というラブコールを、2年間ずっと受け取っていたんです。
初報を出す時に、「本当に自分たちは応えられただろうか、これで応えられたんだろうか」というのを一番心配していました。ですが、最初にニンテンドーダイレクトで発表した瞬間、コメント欄でいくつもの「待ってた」という言葉をいただけて。特に海外からもたくさんの喜びの声をいただきまして、本当に2年間頑張ってきたのが報われたなという気持ちでいっぱいでした。
そこから今この場に至るまでの数か月間も、すごい勢いで作り込みがおこなわれています。さすがにリリースバージョンのマスターアップは終わったのですが、マスターが終わった後も何かしらできることはないかというので、作り続けている部分はあります。
ですので、リリースの暁にはぜひユーザーの皆さんに、期待に応える出来栄えになっているかというのを、触って確かめてほしいです。そしてまた感想を寄せていただけると嬉しいです。リリースは7月となりますが、どうぞよろしくお願いいたします!
福原氏:
『グランブルーファンタジー リリンク』は、2016年に発表して、発売まで足掛け8年かかったのですが、発売以降に正直我々が想像していた以上の反響をいただくことができました。その反響が、今回の『エンドレスラグナロク』の開発の実現にも繋がっています。
前回は制作発表から長い時間いただきましたが、今回は開発期間にして2年。この2年でいろいろ積んできた経験であるとか、遊んでくださったお客さんへの恩返しだとか。とにかく、皆さんの期待に応えられるものに仕上げるべく、2年間全力で取り組んできました。
『リリンク』が好きという方から『グラブル』好きという方、あとはちょっと気になっていたので今作から始めてみようかなという方にも、必ず満足していただけるものになっているかなと思っています。
Cygamesはコンシューマーゲームの開発としては、まだまだ新参の域を出ないかなと思っていますので、この『エンドレスラグナロク』の開発を経て、今後さらにいい作品を作っていけるかなと思っています。今後とも何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございました!(了)






