召喚システム開発秘話も明かされた、福原氏&日髙氏への合同インタビュー
以降は、体験会終了後に行われた『グランブルーファンタジー リリンク:エンドレスラグナロク』のグループインタビューをお届けする。
本作の総監修を務める福原哲也氏と、ディレクターの日髙三四郎氏に、今回新たに追加される6人のプレイアブルキャラクターをはじめ、3種類の「マスタースタイル」によるバトルデザイン、そして新コンテンツ「極沌空所」の実装意図や、『グランブルーファンタジー』らしい遊び心を盛り込んだ「召喚」システムの開発経緯について話を伺っている。

2012年入社。『グランブルーファンタジー』のディレクターとして、プロジェクトの立ち上げから2024年までの約11年間、開発・運営に携わる。
現在は、本作『エンドレスラグナロク』を含め、『グランブルーファンタジー リリンク』、『グランブルーファンタジーヴァーサス』各シリーズなどスピンオフ作品のコンシューマー展開で総監修を務め、新たな『グランブルーファンタジー』シリーズの世界を広げ続けている。

2016年入社。『グランブルーファンタジー リリンク』でナラティブディレクターとしてコンセプト制作、メインストーリープロット、演技監修等に携わった。
『グランブルーファンタジー リリンク:エンドレスラグナロク』ではディレクターとしてプロジェクト立ち上げから開発に携わり、主に「召喚」や「マスタースキル」といった新システム部分のディレクションを担当している。
キャラクターをゲームに登場させる上で大切なのは「このキャラらしさを表現するためのアイディア」
──各キャラクターに3つの「マスタースタイル」があり、プレイアブルキャラクターも多数いますが、戦い方が被らないように開発で意識されたポイントを教えてください。
日髙氏:
バトルデザインにつきましては、前作から引き続き「このキャラらしさ」を出すことを鉄則として心がけています。キャラクターが先にデザインされており、世界観の中でどのようなキャラなのか、どんな能力を持っているのかというキャラクターの魅力は先にしっかりあるものだったからです。
本来はゲームに合わせてキャラクターがデザインされることが多いですが、本作は元からあるキャラクターをその魅力を損ねないようにアクションデザインにフィットさせるという流れで制作しています。
なによりも意識するのは、キャラクターが持っている魅力です。たとえば、「通常攻撃をどのようにコンボするのか」という点まで含めて、「このキャラらしさ」を表現するのに一番ふさわしいアイデアを探しました。
各キャラの「これはやらせたい」「このキャラならするだろう」というアクションを出していき、こんなコンボを決められたら気持ちがいいよねと作っていくと、大体自然とキャラ被りがなくなり、そのキャラらしくなっていきました。
あとは、4人パーティで連携アクションをしていく時に、「どの連携アクションがこのキャラクターのデザインとしてふさわしいか」という点も考えます。問題が起きてくる部分については新しいキャラクターの方で調整を入れたり、アビリティも基本的にそのキャラが元々持っていた技がありますので、そこをうまく昇華してアクションに合わせていくというのをやっています。
なので、基本的には原作におけるキャラクターの魅力がしっかりと表現されていれば、自然と差別化が進んでいくという感じでした。
──プレゼンテーションでは「すべてのアビリティが活きるように」とのお話しもありましたが、ほかに意識したポイントがあれば教えてください。
日髙氏:
細かいところだと色々ありましたが、流れとしては、まず「このキャラの基本となるスタイル」を先に作りました。
そのスタイルの中で「本当はこのキャラにこんなこともさせたかったけど、このスタイルだとうまくはまらない」というものを、メインのスタイルとは違う形で「このアクションやアビリティを活かすにはどうすればいいか」と派生させていくのが基本の考え方です。
そしてキャラクターが破綻せず、アビリティの数も十分分配できるという点で、3スタイルに落ち着いたという流れでした。
──新プレイアブルキャラクターの選定についてです。今回新しいキャラクターが登場しますが、なぜそのキャラクターたちが選ばれたのでしょうか。
福原氏:
今回キャラクターは6人が追加となりますが、本プロジェクトは2024年に立ち上がり、2026年発売を目指すというところで開発スケジュールが組まれ、その期間から逆算して「6人追加できそう」ということがわかったので、そこに誰をどうはめようかを考えました。
凄くありがたいことに、『リリンク』に完全新キャラクターとなったイドやマギラフリラの人気が出ました。特にマギラフリラは「プレイアブル化してほしい」声をたくさんいただいたこともあり、まずそこは優先で叶えるべきだろうと思い、ガランツァ、マギラフリラの作成を最初に決めました。
敵キャラではあったので、二人が仲間になる動機や納得感みたいなところも、追加イベントという形で描いています。
ただ、ガランツァ、マギラフリラは前作で登場したキャラではあったので、「残り4人は完全な新キャラクターにすべきだろう」というところで、ベアトリクス、ユーステスを採用しています。彼らも『リリンク』発売前の時点から「登場してくれるのではないか?」といった声が多かったキャラクターだったと記憶しています。
四騎士の4人は『リリンク』の時点で揃っていましたが、「組織」だとゼタとバザラガの2人のみでした。『リリンク』は4人パーティで遊べるゲームなので、ベアトリクス、ユーステスを加えることで、もともとのファンの方であったりとか、新しくキャラクターを知る方にもその魅力を伝えやすい部分になるんじゃないかと思いました。
残りのフラウとフェディエルは、原作でも特殊な設定を持つキャラクターですし、あとは『ヴァーサス ライジング』にまだ参戦していないキャラクターを加えたかったのが理由です。フラウは十賢者、フェディエルは六竜というグループに属するキャラクターですけども、バックボーンが面白いキャラクターです。
『リリンク』の物語は綺麗に終わっていることもありますし、続きのお話を極力蛇足にしないよう、『リリンク』ファンと原作ファンの双方にとって、興味深いものにするためにも、この2人が適しているのではないかなと思いました。こうして今回の6人が決まった次第です。
──新コンテンツ「極沌空所」を追加するにあたって、開発経緯とローグライク系のシステムを導入した理由を教えていただけますか。
福原氏:
『リリンク』はストーリーが終わった後、基本的にはマルチプレイを含めてクエストを繰り返すゲームサイクルです。今回はいろいろなコンテンツを追加するにあたって、そこでの遊び方がその延長線上のみだとゲーム体験としては飽きてしまうだろうと思い「何か新ゲームモードを追加できないか?」を考えるところから企画が始まりました。
本作のクエストはマルチプレイで遊ばれることも多いですが、マルチプレイ自体を苦手に感じる方もいらっしゃいます。「バフを重ねながら強化して戦う」「ランダムエリアを踏破していく」という、マルチプレイでは実現しづらいメカニクスをシングルプレイモードに落とし込むことで、『リリンク』のバトルをベースにしつつも、新しい体験を提供できるんじゃないかなと企画しました。
マルチプレイでは強い人と一緒に組んで、武器の強化素材を集めてみたいな遊び方になることが多いかなと思います。それに対して、マルチプレイを苦手とする方が、シングルプレイでも手軽に強化素材や報酬をたくさん得られるという部分もあります。
今回『エンドレスラグナロク』から初めてプレイされる方は、『リリンク』のプロトバハムート戦まで物語を進めないと、追加ストーリーが解放されません。「極沌空所」は5階層で構成されますが、中間層は『リリンク』の難易度「マニアック」段階で解放されます。そこをプレイすることで、難易度マニアックとかプラウドの攻略が楽になるという、新規プレイヤーの救済的な立ち位置も担っています。
日髙氏:
「極沌空所」はクエストとはちがい、1プレイが少し長めのゲームスパンになっていますが、その分まとまった数の報酬が手に入るようになっており、一気にパーティの戦力をあげることが可能です。
クエストで出現する強敵に挑戦するためのキャラクター育成や、準備を整えるものとして、「極沌空所」を遊んでいただくのがよいのではないでしょうか。
──『リリンク』から登場したマギラフリラが、今後原作『グラブル』に登場する可能性はあるのでしょうか。
福原氏:
『リリンク』発売以降、「『リリンク』組はいつ出るんだ?」という声をいただいてきましたし、『エンドレスラグナロク』発表後は、その声がさらに強まったのを感じています。
『エンドレスラグナロク』が発売してからちょっと待っていただけたら……「ある」かもしれないです。
──『エンドレスラグナロク』からプレイする初心者に向けて、開発目線でオススメのキャラがいたら教えてください。
福原氏:
完全な初心者の方だと、やっぱりグラン、ジータがオススメですね。「どのキャラを使うかで迷う」という方はとりあえずこの二人を育てながら、ゲームを進める過程でさまざまななキャラクターに切り替えてもらうのがいいかなとは思います。
アクションが苦手な方だと、ラカムが遠くから比較的簡単操作で火力を出せるので、おすすめです。逆にアクションが得意なら、新キャラのベアトリクスもコンボが気持ちいいので、個人的にはおすすめしたいです。
日髙氏:
基本メインストーリーから遊んでいただくと思うので、メインストーリーで感情移入していくことを考えると、やはり主人公が良いかなと思います。
極まっていくとテクニカルなキャラクターはもちろん多くいますが、とっつきやすさというところでは全員が基準値をクリアしていると思いますので、言ってしまえば「初見でピンときたキャラをジャケ買い」みたいな感じで選んでもらうというのも全然大丈夫かなと思います。
あとは、「アシスト機能」も今作では使える範囲を拡大しています。アシスト機能は何でもかんでもやってくれるというより、自分がボタンを押した時にその時最適な行動をおこなうので、立ち回り方をだんだん習得していけるようなものになっています。
気に入ったキャラクターだけどちょっとテクニカルだなと思ったらアシストを効かせてもらい、遊んでいくうちに「あ、こういう技の連携をすると強いんだな」というのを見て覚えることができます。
「前作は『グラブル』としては“いい子ちゃん”だった」。『グラブル』らしいふざけ方を表現するため、なんと『トバル2』を参考にして調整
──「召喚」システムのビジュアルやプレイヤーの操作感について、どういった部分を重視して制作されているのか、教えていただきたいです。
日髙氏:
召喚キャラクターも、考え方自体は一般的な操作キャラクターと同じです。
操作できるキャラクターごとにまた独自のアクションが楽しめるというところ、それがキャラクターの魅力とちゃんと紐付いているというところは、『リリンク』からの本作の売りでしたので、今回はその売りをできるだけ拡張したかったという部分があります。
キャラクターを増やすというのも可能な限りやりましたけど、「それ以上に何かできないか」を考えた時、すでに敵とか非戦闘キャラがたくさんいることに気がついて、「もうこの人たちを全員操作できればいいんじゃないか!」というところで足したというところがあります。
キャラクターを作った時と同じように、それぞれのキャラクターの魅力を引き出すことは最大限意識しました。敵キャラクターでも、星晶獣であればこの攻撃アクションがやはり一番魅力的だったりとか、カニのアクションはこうしたら可愛いよねとか面白いよねというのもあり、基本的には“キャラクターの魅力からアクションを引き出す”という形です。
ただ、召喚キャラクターの動かし方については、操作キャラクターとは少し違う形にしています。
操作キャラクターはバトル中ずっとそのキャラを使い続けますし、バトルを重ねていく中でどんどん習熟していくという深みの部分がどうしても必要になります。
一方、召喚キャラクターは、バトルの中でスポット的に出現して一瞬戦って逆転できるだけの力を備えるというものです。でもそれは言い換えると、自分の操作キャラクターが一瞬完全に変わり、操作ルール自体も変わってしまうということです。
そのため、一瞬で「あ、でも操作がわかる」というぐらい直感的にわかりやすくする必要性がありました。
ですので、独自の魅力は備えつつも、ほとんどボタン一つで操作できるとか、あるいはチャージ攻撃ができるといった、パッと見ただけで「このキャラはこんな操作かな」というのをわかりやすくしました。「複数の操作を提示しつつも、プレイヤーを戸惑わせない」ことの両立に力をいれています。
福原氏:
補足として、召喚をやろうとなったきっかけがいくつかあります。
僕的な思いで言うと、前作は大真面目に王道で作りきったのですが、振り返ってみると『グラブル』としては「いい子ちゃん」というかゲーム全体がシリアスすぎたと思いました。ある意味で“グラブルらしいふざけ方”はあまりできていなかったなと。そうしたくてそうしていたので問題ないんですけど、『エンドレスラグナロク』ではちょっとグラブルらしいふざけ方をしようかというのがありました。
そこで参考にしたのが、PS1で発売された『トバル2』という格闘ゲームです。……ご存じですか?
一同:
(笑)。
福原氏:
ドリームファクトリーさんが開発された、鳥山明先生がキャラデザをされている格闘ゲームだったんですが、プレイアブルキャラ自体は十数人ほどなんです。
このゲーム、特定のキャラのコンパチにはなっていましたが、村人とかクエストモードで出てくる小さいザコ敵とか中ボスとか、あらゆるアセットを使って200キャラぐらい操作できたのがめちゃくちゃ楽しかったんです。
『リリンク』も、プレイアブルキャラクターを作れる数は限られているけど、召喚ならカニとかゴブリンとか使っていろいろやれるんじゃないかというところで「これぐらいはっちゃけていいよ」と、日髙や現場に伝えて、みんな頑張って実現してくれたという感じです。
日髙氏:
そうでしたね(笑)。
──試遊時にラカムの「マスタースキル」で“コラテラルダメージ特化”みたいな効果もありましたが、開発内でこれは面白いとか、これはおすすめといった、マスタースキルがあればお聞かせください。
日髙氏:
まさにコラテラルみたいなものは、開発内で最初「イロモノ」と言われていました(笑)。かなり調整を要した奴らがいるんです。
なかでもイドのチャージ攻撃特化は、因縁がいろいろありまして。
「ディア・ゴッド」というアビリティなんですけど、発動したボタンを長押ししてもらうと3段階ぐらいチャージした後に、パンチを繰り出します。この3段階チャージがものすごく長く使いづらいため、前作では最終的に「ディア・ゴッドがほぼ使われない」という事態になっていました。
ものすごくアクションに気合いを入れてモーションキャプチャーしたアビリティだったので、とても悔しい思いをしました。そんなときに「ディア・ゴッドを扱いづらさを残したまま、なんとか活かすというのが面白いんじゃないか?」というのを考えた人がいまして。
簡単にしちゃうとディア・ゴッドらしさが抜けていっちゃうので、「隙だらけで使いにくいというところは残したまま、面白くするにはどうすればいいのか?」という方向で、調整をおこなったんです。
そこで、敵の動きを完全に読み切って予想位置に立ち、ディア・ゴッドをフルチャージで的確に当てられれば強いというスタイルを考案しました。
すごく面白かったんですが、当初はあまりにも強過ぎて、今度はみんながディア・ゴッドを使い始めたので「これはまずい」と思い、大幅な調整をして今の完成状態に漕ぎつけました。ぜひ本番で、どのような調整になっているのか、お楽しみいただければと思います(笑)。






