『シヴィライゼーション(Civ)』のような大戦略ゲームで世界地図を眺めながら、ふと思ったことはないだろうか。この地図の下で、住民は何をしているんだろう? と。
そんな筆者の前に、その答えを見せてくれるゲームが現れた。それが『CONQUISTA: Tide of Wills(コンキスタ:タイド・オブ・ウィルズ)』だ。
ワールドマップを眺めると、自然豊かな世界の上に「自分の国」が置かれている。国家運営系のゲームでよく見る画面だ。ところがそこからズームしていくと、なんと住民がひとりひとり動き回る姿まで見えてしまう。
国を運営するゲームで人の暮らしまでのぞけちゃうの!?
この手のゲームで、人は「人口」や「労働力」といった数値や、タイルの上の駒として表現されることが多い。しかし本作の住民は、そこで生活し、はたらき、息づいている。
世界の風景から人ひとりの姿まで、ズームひとつで行き来できてしまう。国の大局を動かす4X大戦略の名作『シヴィライゼーション』と、入植者ひとりひとりの暮らしを追うコロニーシミュレーターの名作『RimWorld』。この2本がそのまま合体してしまったような幅広さだ。
そして、生活が見えるぶん恐ろしいのが「戦争」である。『Civ』でも国土を拡張していけば、いずれ別の国家との衝突が起こる。本作で非常時に徴兵されるのは、普段はたらく姿を見せてくれている”名前の付いた”住民たちだ。
彼らとともに国を育てつつ、ときに非情な決断を下す王の器が試される。ヤバいゲームだ……。
そんな集英社ゲームズの新作『CONQUISTA』を試遊する機会をいただいたので、その手触りをお伝えしたい。
基本は国を拡大・発展させるゲーム。目に見えて人口や施設が成長していくのが嬉しい
ゲームを始めると、まず映し出されるのはプレイヤーが運営する国の光景だ。中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で、ドット絵の住民たちが歩き、はたらき、それぞれの生活を営んでいる。
『CONQUISTA』は見下ろし視点の国家運営シミュレーションだ。プレイヤーは領主として、自国の都市に伐採場や畑といった建物を建て、住民に仕事を割り振り、木材・石材・鉄などの資源を集めていく。
資源が増えれば人も増え、最終的には“ミスリル”なんてファンタジーな物質にも手が届くようになる。
ワールドマップは開始時点では霧に覆われていて、見えるのは自国の周辺だけ。この世界の広さも、隣に誰がいるのかもまだわからない。この地図の上で他国と外交や戦争を繰り広げ、国を拡大・発展させていくのが本作の目的となる。
今回の試遊では、自国の内政から他国との接触、そして戦争までをチュートリアルで体験できた。
結論から言えば、本作は『Civ』的な要素と『RimWorld』的な要素をただ合体させただけでなく、両者のいいとこ取りが出来ていると感じた。その手触りを、実際のプレイを追うかたちで紹介していきたい。
まずは自国の資源を豊かにしていくところからだ。なんといっても人口を増やしてマンパワーを高めたい。そのためには家と食料が必要になる。
森のタイルに“伐採場”を建設。すると住民が木こりの仕事に就き、木材を集めてくれる。集めた木材で住居を建て、肥沃な土地は小麦畑として耕していく。そうしているうちに人口が増え、任せられる仕事もさらに増えていくことになる。
このコロニーシミュレーターのサイクルがもう楽しい!
数値上の資源が増えていくのも嬉しいが、キャラクターが画面上でせわしなく働いてくれるのがありがたい。彼らが集めた資源で建物が建ち、街が育っていく様子が目に見えてわかるからだ。
ゴブリン襲来! さっきまで畑を耕していた農民を危険な討伐任務へ
そうこうしていると、ゴブリンが攻めてくるという情報が寄せられる。すこし豊かになった資源に目をつけたのか、ファンタジー世界といえばこれ!という感じの蛮族の登場だ。
いよいよ住民を戦場へ送り出す時が来てしまった。ここで戦うのは地図上の駒ではなく、平和に生活していた住民たちだ。
国と人、財産を守るため、討伐隊として10名ほど徴兵する。徴兵画面では数値しか見えないが、盾を持って隊列に並んでいるのはさっきまで畑を耕していた農家のひとり。「ごめん……!」と思いつつも、彼らを討伐隊として送り出した。
戦闘はユニット同士がわーっとぶつかり合う、わちゃわちゃした画で進行する。とはいえ、槍兵や盾兵、騎兵に弓兵といったユニットの種類も用意されており、編成にはちゃんと戦略性がある。
ゴブリンたちは今回編成した盾兵の部隊を突破できず、大きな被害もなく討伐できた。
討伐を終えると、住民たちが「安心・安全に暮らしたい」という要望を領主であるプレイヤーに直談判してきた。ゴブリンたちは巣を潰さないかぎり無限に湧いて出てくる。脅威の源を断たねば、また同じことが起きるだろう。
この要望が本作の象徴的なシステム「情熱」だ。住民たちは自分の「これがほしい」「こういう暮らしがしたい」といった欲望を、プレイヤーに直接ぶつけてくる。ボトムアップ気質な国民性でいいね!
そのまま兵たちをゴブリンの根城へと進軍させ、これを殲滅。我が国に平和が訪れた!めでたしめでたし。
隣国から宣戦布告。返り討ちにしてやったのに、手放しでは喜べない
勝利の喜びを味わっているのも束の間、隣国から宣戦布告が届いた。理由を読んでみると、あのゴブリンたちは隣国の自治領の民であり、我が国はこれを攻撃した——という扱いになっているらしい。
なるほど、ゴブリンにも人権があるという先進国家なのかもしれない。……が、どう見ても開戦する理由がほしかっただけだろこれ!いいだろう、返り討ちにしてやるからな!
兵を増やして軍備を整え、攻め込んできた敵兵を迎え撃つ。
そう意気込んでいたものの、我が軍にも死傷者が出てしまっているようだ……。徴兵した自分の責任を感じつつも、何とか敵軍を退けた。
しかし攻撃部隊を倒したところで、戦争は終わらない。仲間の屍を越え、残りの部隊で敵国まで遠征する。
敵国は攻撃部隊に戦力をほとんど割いていたようで、城はあっさりと落ちた。隣国に勝利である。
戦後の和平交渉により隣国を併合し、我が国の国境線が広がった。チュートリアルの国家運営は、ここまでとなった。
30分ほどの試遊だったが、ここまで『CONQUISTA』をプレイした感想として、4X大戦略の要素とコロニーシミュレーターの要素が見事に噛み合っていると感じた。
世界地図をズームすると住民の様子が実際に見えるというだけでも新鮮だ。ただ、ジャンルを混ぜるだけだと細かい操作が増えすぎたり、逆に大味になりすぎたりという心配が出てくる。
ところが本作は、「仕事の割り当て」や「誰を兵士にするか」といった細かい部分は自動でやってくれる。そのうえで、軍をどう配置・進軍させるかという点はリアルタイムで調整できる。「楽しんでほしい要素」がはっきりしており、それ以外は控えめに設計されているという所感だ。
そして、国家や文明を未来へと押し進めるのが国民の「情熱」システムだというのが、なんとも胸アツだった。
『Civ』などの大戦略ゲームでは、たいていの物事が「王のタクト」で決まっていく。しかし本作では、住民たちによる直々の要請も国の発展に大きくかかわっているのだ。
この「情熱」の矛先は、綿花や金属といった資源だけでなく「ネコを飼いたい」といった方向にも向くという。カワイイへの情熱はいつの時代でも燃えるもの。「ほしい」=正義というやつだ。
プレイ時間はマップサイズに応じて小・中・大の3段階で、それぞれおよそ2時間・4時間・8時間。このジャンルにしてはとっつきやすい。
マップは毎回変わるためリプレイ性も高く、おもしろいマップに当たればシード値を他プレイヤーと共有して同じマップで遊ぶこともできるとのことだ。
冒頭で抱いた「大戦略ゲームの地図の下で、住民ひとりひとりは何をしているんだろう」という疑問。それを体現した本作は、いつも国の大局を動かしている『Civ』系のジャンルファンにこそ体験してほしい作品だった。















