本気で心を折りに来ているゲームに出会った。
それは、”三国志”をテーマにした新作アクションゲーム『Wo Long 2: Wings of Ember』(以下、『ウォーロン2』)だ。
わたしは本作の試遊版をプレイし、前作にも登場した最強と名高い猛将「呂布」に立ち向かっている。ひとりの侠士として。
中国武術一本で「呂布」にふたたび挑めるだなんて、考えただけで血が騒ぐ。
そして、死んだ。
一撃で叩きつぶされた。それはもう、完膚なきまでに死んだ。
他の三国志をモチーフにした作品でもバカ強かった、あの“呂布”である。そう簡単に勝てるわけがない。
仕方がないから修練を積むか……と周辺を探索してみたものの、私の心を折りに来るのは「呂布」だけではなかった。
プレイヤーは劉備(りゅうび)軍に所属し、敵陣である曹操(そうそう)軍が率いる異形の存在「妖魔」が蔓延る戦場に挑むことになるのだが、そこには待ち伏せや弩弓、巨大な石などのデストラップも多数張り巡らされていたのだ。
一瞬の油断で死に、格上の敵の前ではなす術もなく囲まれて袋叩きにされる。まだα版テストだというのに、凄まじい仕打ちだ。
あまりに死にまくるので、プレイ開始からわずか数時間で、私は落命した回数を数えることをやめた。
一敗塗地。敵に負け、ゲームオーバーになると上記のような画面が表示される。
これは、泥まみれになって地に倒れ、二度と立ち上がれないような大敗であることを指す言葉だ。
「その通りですこの野郎」としか言いようがない。
とはいえ、プレイを進めると本作はただ理不尽にプレイヤーを蹂躙するだけのゲームではないことが、ありありとわかる。一見無情に見える戦場だが、周囲を歩き回り、情報を集めて知恵を絞れば必ず活路が見えるように作られていたのだ。
克敵制勝=勝つこと。
ただ“武力”だけで挑むのではなく、地の利を活かした戦い方が通用する。まるでコーエーテクモゲームスが、「地の利を活かせ」と言う“孫子の兵法”の一説を、アクションゲームを通じて伝えようとしているかのようだ。
今回紹介する『ウォーロン2』は、全世界の累計プレイヤー数が800万人を超えた前作『Wo Long: Fallen Dynasty』の続編で、『NINJA GAIDEN』や『仁王』シリーズで知られる「Team NINJA」とコーエーテクモゲームスが開発を手がける新作だ。
本稿では、『ウォーロン2』の試遊版を遊ばせていただいたので、そのプレイ内容を紹介させていただきたい。
文/TsushimaHiro
編集/anymo
※今回プレイしたのは開発中のバージョンです。製品版では仕様や名称、各種パラメータなどが変更される可能性があります。
もうだめだ、勝てない
繰り返すが、本作を手がけた「Team NINJA」は本気でプレイヤーの心を折りに来ているのではないか、と思う。
ただでさえ猛将がひしめく三国志。そこに「妖魔」という異形が加わることで、一撃で死ぬる「長坂の戦い」が仕上がっていたのだ。そこには甘さが一切存在しない。
いざ、戦場に挑む。死ぬ。挑む。死ぬ……。
プレイの序盤は、この繰り返しだった。人間の将に戦いを挑んでも、相打ちがやっと。ボス級の「妖魔」を拝みに行けば、文字どおり拝んだだけで終わる。それも、敵の攻撃力が段違いに高いからだ。ボス相手だと大抵は1~2発で死ぬ。
敵の攻撃を避ける方法はある。攻撃をタイミングよくさばく、いわゆるパリィだ。本作では”化勁(かけい)”と呼び、成功させれば敵の体勢を崩して一気に攻撃を叩き込める。要するに「死にたくなければパリィしろ」と、このゲームは言っている訳だ。
むずかしいゲームは難度設定をまっさきに「VERY EASY」とかに設定する私には、厳しすぎる状況である。そしてプレイしているのがα版だからか、試遊版では難度設定は存在しなかった。
え? 詰んだ……?
軍旗を立てねば、話にならない
いやだ。ただの木っ端で終わりたくない……!
このままでは、私は三国志に名を刻むこともなく侠士としての人生を終えてしまう。私は血眼になって活路がないかあたりを捜索した。劉備軍の仲間に話を聞いて抜け道を教わり、しらみ潰しに攻略法がないか、探し回った。
そして行き着いた答えは”探索”だった。
各地に「軍旗」を立てることで、攻略が楽になるのだ。
戦場の各所には「軍旗」を立てられる拠点が点在しており、これを解放すると自分の最大レベルが上がる。また、エリアごとに小さな旗を立てられるポイントが5つほど用意されており、開放すれば敵のレベルが「1」ずつ下がっていく。
つまりはフィールドを探索して「軍旗」をたてるほど、戦場の難度を下げることができる。
いっぽうでこちらが死ぬとレベルが下がる鬼仕様も待っているが、雑魚敵を倒せば元に戻る。だからこそ、「軍旗」を立てねば話にならない。
効果は劇的だった。ボス戦では一撃で叩き潰されていたが、レベルを下げてから挑むと「ミスをしていい回数」が圧倒的に増える。「化勁」をミスっても回復するのを待てばいいし、敵の攻撃を見極めるタイミングも見計らって余裕をもって戦えるようになる。
すると、あれほど「無理」と思っていた勝利がなんとか手に入った。
最後のボス戦に至っても、隠れた敵まで探し出して旗を取り尽くした結果、ボスのレベルが低下し逆転できたのである。
地の利を固めてから、戦う。
中国の兵法書“孫子”でも、似たようなことが書かれていた気がする。
彼を知り、己を知れば
本作はアクションゲームだが、その実、戦略ゲームでもあった。攻略に必要なのは、敵と自分の情勢をしっかり把握したうえで弱点を突くことだ。
武器と敵には木・火・土・金・水と5種の属性があり、敵にはそれぞれ弱点となる属性が存在する。主人公が使用する武器も5種類から選べる。剣、槍、棒、大槌、そしてヌンチャク。2つまで同時に装備でき、武器ごとに技を習得できる。
しっかり探索して情報を集め、ボスを弱点属性で攻めてみると手応えは明らかに違う。
また、敵の動きも学びの対象だ。攻撃の直前、敵は赤く光る。それが合図で、繰り出してくる瞬間に合わせて受け流すことで先述した「化勁」つまりパリィが成功する。何度も戦って相手のタイミングを覚えて「化勁」がかみ合いだすと、戦闘は一変する。
弱点を突き、受け流しを決めてボスを沈めた瞬間の気持ちよさは格別で、大げさでなく武術の達人になれた気がした。
そして、倒した敵将は倒して仲間に引き入れることもできる。昨日の敵は、今日の戦力である。
さらに道中には、ほかのプレイヤーが作った武将がNPCとして立ちはだかることもある。ほかの武将と同じく、倒せば仲間に加えることが可能だ。
仲間になった武将は連れ歩くことができる者が存在するほか、各地に配備して自身のステータスを底上げすることもできる。死屍累々の戦場が、そのまま戦力の供給源というわけだ。
まさに孫子の「彼を知り、己を知れば、百戦殆うからず」だ。敵と自分の情勢をしっかりと把握しなさいと、コーエーテクモゲームスが、「Team NINJA」が、『ウォーロン2』を通じて教えてくれている。
自分だけの武将を作る
さて、ここまで殺伐としたダークな世界ばかり紹介してきたが、じつは本作、キャラメイクも楽しい。
髪型は男女とも41種、前髪だけで30種以上。体型も身長も肉付きも、顔立ちから化粧まで細かくいじれる。私は戦場に立つ前から、キャラメイクでガッツリ立ち往生した。
作り込んだ武将は、ムービーにもそのまま登場して口を利く。自分の分身が劉備たちと肩を並べて乱世を駆けるのだから、感慨もひとしおだ。まあ、たくさん死ぬけどね。
また、本作には「フォトモード」も実装されている。敵が周囲にいなければ、好きなタイミングで撮影可能だ。ちなみに、周囲にある装備を手当たり次第に拾っていたら、筆者のキャラクターはアマゾネスみたいな格好になってしまった。なんで?
正直に言えば、本作は「仕様を知らないとマジで死にゲー」にも感じられるだろう。
だが、最初は絶望的だと思われた「呂布」も、しっかりと準備を整えれば互角に渡り合える。先述した死ねば最大レベルが下がり「軍旗」を立てれば敵が弱るという仕様は、いわゆるソウル系の定石とは似ているようで別の思想で組まれているように思える。
デスペナルティは罰ではなく、プレイヤーを探索へ導くための誘導装置だ。「強くなってから挑め」というだけではなく、「地の利を制してから挑め」なのだ。
探索で地形を制し、弱点を調べ、敵の動きを見切る。
やはり、コーエーと「Team NINJA」はこのゲームを通じてプレイヤーに孫子を叩き込もうとしているのではないだろうか。
パリィに武術、周囲を固めて戦場を勝利に導く。つまりアクションゲームにおいても「孫子は有効なんだよ」と。中国4000年の歴史はこうあるべきだと言っているのかもしれない。
『ウォーロン2』はPlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2、PC(Steam)に向けて2027年第1四半期に発売予定だ。
あなたも自分だけの侠士を作って、“孫子”が通用するダークな三国志の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。



















