ゲームクリエイターでALGEBRA FACTORYの代表取締役である松野泰己氏が自身のツイッターで、10月6日に『タクティクスオウガ』が23周年を迎えることを記念し、かつて本作の小説化のために書いたという23年前の草稿の一部を公開した。
95年に生まれた子供が23歳になると書いており、松野氏自身もあらためて時間の流れを感じているようだ。
公開された原稿はゲームの序章と第一章の冒頭にあたり、ランスロット、ミルディン、カチュア、そして主人公のデニムといった懐かしいキャラクターたちの名前が登場する。廃墟となった主人公の故郷ゴリアテでのランスロット達の様子が描かれる序章は、小説版ならではの描写だ。
どうやら、本日10/6は「タクティクスオウガ」発売から23年目ということらしい。1995年生まれの若者が23歳と考えるとやはり随分と昔なんだな~。
— 松野泰己🐈⬛ (@YasumiMatsuno) October 6, 2018
そんなわけで、なんとなく小説化してみようと思い書いたテキストのさわりをどうぞ。23年前の草稿なので超恥ずかしいw#タクティクスオウガ pic.twitter.com/omN2VzhO8I
『タクティクスオウガ』は、『伝説のオウガバトル』に続く「オウガバトルサーガ」の2作目。公開された小説のタイトルに「Ogre Battle Saga episode-7: Let Us Cling Together」とある通り、全8章を予定されていた「オウガバトルサーガ」の第7章にあたる。1作目の『伝説のオウガバトル』が第5章、3作目の『オウガバトル64』が第6章にあたり、リリース順と作中の時系列は必ずしも一致していない。
前作からシステムを刷新した『タクティクスオウガ』だが、敵味方問わずウェイトが0になったユニットから行動する「Non-Alternate Turn System」や、高低差のある立体的なマップの採用など先進的なシステムが搭載された。
プレイヤーの選択で分岐し、民族間対立という暗いテーマを扱ったシナリオは重厚。単純な善悪で分けられない奥深い物語を描き、公開された小説にも登場する第1章のタイトル「僕にその手を汚せというのか」だけでなく、数々の名台詞は今なおファンに愛されている。
松野氏は中心人物としてこの「オウガバトルサーガ」の制作に携わった。『タクティクスオウガ』ではディレクターとして参加し、ストーリーも手がけている。『タクティクスオウガ』を開発したあとにスクウェア・エニックスに移籍し、『ファイナルファンタジータクティクス』や『ベイグランドストーリー』を制作した。
今回は小説版『タクティクスオウガ』の発表というわけではなく、あくまでファンサービスの一環。残念ながら小説がリリースされることはなかったが、発売から23年経った今なお色褪せぬ物語を小説としてもう一度読みたいというのは、全ファンの願いと言い切ってしまっても過言は無いだろう。
文/古嶋誉幸