東京藝術大学は2019年4月から、大学院映像研究科に、ゲームを中心とした制作・研究などを行うことができる2年間のゲームコースを新たに開設することを発表した。ゲームを芸術の一分野として捉え、研究や作品制作を通して、ゲームの可能性を追求するという。
ゲームコースは、厳密にはアニメーション専攻およびメディア映像専攻の2年間のコースとして設置される。スクウェア・エニックスを始めとするゲーム業界と協力しつつ、ゲームに関する講義や演習が行われるほか、学生が自らがゲーム作品に携わり、ゲーム研究にいそしむという。
なお、国公立大ではゲーム研究の専門コースが開設されるのは初となる。
このような取り組みは突然始まったものではなく、東京藝術大学はゲームコース開設にいたるまで、以前から着実に下地を作っていた。
昨年の7月には、「東京藝術大学にゲーム学科ができるとしたら」という仮定のもと、仮想のゲーム学科を立ち上げ。三宅陽一郎氏をはじめとした『ファイナルファンタジーXV』のスタッフを招いて、どのようにゲームが作られているかのカリキュラムを設定したり、既存のアニメーションからゲームを作るといった試みがなされいる。
海外との連携については、ゲーム教育で高い実績を持つ南カリフォルニア大学インタラクティブ・メディア&ゲーム部門のアンドレアス・クラツキー教授を招いて、ワークショップを開講していたが、今後とも南カリフォルニア大学とのコラボレーションは続けていくという。今回の正式なゲームコース開設は、このような着実な取り組みが実を結んだ結果といえるだろう。
現在、プレスリリースで発表されている講師は、メディア映像専攻コースの桐山孝司教授のほか、アニメーション専攻コースの岡本美津子教授、牧奈歩美講師の3人が発表されている。
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なお以前、東京藝術大学は、大学院映像研究科の映画専攻コースを開設するときに北野武、黒沢清という現役の大物映画監督を招いて話題になった。このように今後、ネームバリューがある大物ゲームクリエイターが講師として招き入れられる可能性はあるかもしれない。
2019年度の募集は、大学院像研究科アニメーション専攻およびメディア映像専攻の入試として1月?2月にかけて実施する予定とのこと。詳しくはプレスリリース、ならびに募集要項を参照して欲しい。
また目下、2018年11月3日(土)、4日(日)に同大学の上野キャンパスにて、『東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展 成果発表会』が開催される。同大学院修了生のなかから5人を選出し、「第0年次」と位置づけて、ゲームの可能性を広げることを目指して、約6ヶ月をかけられたコンテンツの発表会が開催される。このような取り組みに気になった方は注目してみてはいかがだろうか。
東京藝術大学から、どのようなイノベーションが起こり、どのような新風を巻き起こすのか。引き続き注目したい。
文/福山幸司