宇宙SFをテーマにしたストラテジーゲーム『Homeworld: Deserts of Kharak』を制作したBlackbird Interactiveは、NASAのジェット推進研究所と提携し、現実的に火星コロニーの姿を描くインタラクティブデモ『Project Eagle』をSteamにて無償で公開した。
NASAの新型火星探査機「InSight」が5月5日にカルフォルニアを離陸し、約6ヶ月の旅を経て無事火星へと着陸したことを記念しての公開となる。「InSight」は地震計と熱伝導プローブを装備しており、これらを使って火星の内部構造と形成の初期プロセスを調べることが目標だ。
There’s a quiet beauty here. Looking forward to exploring my new home. #MarsLanding pic.twitter.com/mfClzsfJJr
— NASA InSight (@NASAInSight) November 27, 2018
※「InSight」の火星上陸を報告するNASA。
『Project Eagle』は『Homeworld: Deserts of Kharak』のシステムを流用したRTSジャンルのゲーム風の見た目だが、ゲームではなく将来的に火星に入植する際にどういったコロニーが建造されるかを示すインタラクティブデモと説明されている。Steam実績を見ると、「Eagle Baseで活動する宇宙飛行士を探す」や「火星探査車キュリオシティが着陸した地点を見つける」といった部分に少しだけゲーム的な要素が見て取れる。
このデモに登場するのは、2012年に実際に火星へと行った探査車キュリオシティが着陸したゲールクレーター内のアイオリス山付近のエリアで、地表の形状には火星探査機に装備されたHiRiseと呼ばれる高解像度カメラのデータが利用されている。
そこに建設されたという架空の火星基地「Eagle Base」が舞台で、ゲーム内では2034年には火星への入植が始まっているという設定、デモで描かれているのは地球時間2117年の火星だ。このデモは火星への入植が遠い未来の話ではなく、わずか数十年後には始まってもおかしくないことを示す狙いがある。
ゲームは大きく分けて2つのモードがあり、通常画面では基地を自由に見て回ることが可能で、操作は多くのRTS作品とほぼ同じだ。もう一方はセンサーモードと名付けられ、Eagle Baseの施設がどのような働きと目的があるのかを説明してくれる。センサーモードでは通常画面では見ることが出来ない地下網や、施設のほかに地名なども確認できる。
『Project Eagle』はもともと2017年2月に開かれたDICE Summitで公開されたものだ。NASAのJeff Norris博士とBlackbird InteractiveのチーフクリエイティブオフィサーAaron Kambeitz氏が、ビデオゲームがよりよい社会を作るための一助になることを説明するための基調講演のために本デモを紹介した。
現実でもたびたび話題となる火星入植への話題だが、宇宙へ旅立つときは刻一刻と迫っているのかもしれない。本デモはSteamアカウントさえあれば誰でも無料で遊ぶことができる。科学的な見地から描かれた現実的な未来の火星の姿を見ながら、宇宙に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸