星海社は、星海社FICTIONSレーベルより2003年にニトロプラスから発売されたサスペンスホラーアドベンチャーゲーム『沙耶の唄』のノベライズをリリースすることを発表した。発売は12月14日、価格は1400円。
ノベライズはゲームシナリオライターの大槻涼樹氏と『沙耶の唄』原作の虚淵玄氏の共著となる。イラストは原作でキャラクターデザインと原画を担当した中央東口氏が担当する。
『沙耶の唄』は、交通事故により家族を失い唯一奇跡的に命をとりとめた青年、匂坂郁紀が主人公の作品。退院後、匂坂は目に映る世界すべて、音や感触に至るまでを醜く歪んで知覚してしまうという後遺症に悩まされ、心配する友人たちを故意に遠ざけるような言動を繰り返す。そんな主人公の前に、ただひとり正常な見た目を保った沙耶と名乗る少女が現れ、匂坂にとって唯一の救いとなっていく。
なにせ名作の呼び声高い作品ですから勿論、この手のお話とてはじめてではないのですよな。
— 大槻涼樹|ω・) オオツキスズキ (@suzuki_o) December 1, 2018
紆余曲折あって流れた続編企画がありまして。
いつか書きたいとずっと思ってましてね。
最悪、同人で書いてやろう。
その前に一回だけアプローチしてみようと思ったら──通っちゃった。
懐の深い話やで……。
ノベライズにあたって大槻涼樹氏は、極力既存の台詞を変更せず、原作の色を失わないことを心がけているという。しかし15年も前の作品ということで、地図アプリが登場したり、電灯がLEDに変更になったりと、細かなところでは現代風な変更が加えられる。
原作は3種類のエンディングが用意されたマルチエンディングシステムだが、小説版はどうしてもひとつに収束させなければならない。アドベンチャーゲームのシステムを前提として制作された『沙耶の唄』だが、小説版では原作のエンディングいずれとも異なるものへ向かう。
続編に関しては追々となるので現段階で言及できることは余りないのですが、皆さまの御心配につきましては──
— 大槻涼樹|ω・) オオツキスズキ (@suzuki_o) December 7, 2018
あの綺麗な終わりで……続くとかなくね?
デスヨネー。ワカルー。
すごいわかってる(語彙力)。
ひとつだけ云うと、世界線がどうとか前日譚などではなく──真っ向続編です。
ただ──
また、原作のノベライズだけでなく、2019年春に『沙耶の唄』の続編小説がリリースされる。前日譚や他の結末を描くifといったものではなく、ノベライズ版『沙耶の唄』の結末のその後を記す真っ向続編となる。とはいえ、ノベライズ版『沙耶の唄』も単品でしっかりと完結するので、続編に興味がなくても大丈夫とのこと。
原作『沙耶の唄』リリースから2018年12月26日で15年が経つ作品だが、今なお高い評価を得ており、ニトロプラス入門作としておすすめされることも多い作品だ。アドベンチャーゲームとしては短めの1周5時間程度の作品ということもあり、今からプレイしてもノベライズや続編小説にも十分間に合うだろう。
原作は成人指定だが、DMM GamesでPC版が、アニゲマやDLSiteでアンドロイド版が今でも購入できる。『沙耶の唄』15周年を迎えるクリスマスに、小説や原作でグロテスクだが美しい物語に浸ってみるのはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸