『FGO』最新章を虚淵玄が担当、ゲームシナリオライターとしてひさびさの本格復帰。『Fate』との深き関係をあらためて振り返る

 11月27日に放送されたスマートフォン向けRPG『Fate/GrandOrder』の最新情報を伝える生放送番組「カルデア放送局 Vol.10 紅の月下美人 配信直前SP」で、最新のストーリーである第2部3章「Lostbelt No.3 人智統合真国 シン 紅の月下美人」のシナリオを、虚淵玄氏が担当していることが明らかになった。

 虚淵氏はにニトロプラスに所属するシナリオライター。代表作にアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』、ゲーム『沙耶の唄』などがある。硬質な文体に、緻密で論理的な心理描写から展開される重厚なアクションと、虫けらのごとく容赦なくキャラクターが処刑される非情な残酷描写に定評があり、熱烈なファンも多い。

 もともと虚淵氏は、『Fate』シリーズの生みの親である奈須きのこ氏との親交は深く、原点である『Fate/stay night』を高く評価していたという。虚淵氏は『Fate/stay night』が持つ、「世界観の広がり」その裏で起こっている、起こってきた幾多の物語のなかから、たかだが三つを切り取ってきただけ、という辺りにときめきを感じる」として、当初から自身で『Fate』の二次創作を手がけてみたい欲求を感じていたようだ。(出展:『美少女ゲームの臨界点+1』のインタビューより)

 その後、虚淵氏は実際にファンディスク『Fate/hollow ataraxia』でシナリオの一部を依頼されることになる。しかし虚淵氏はむしろ長編として前日譚を書いてみたいと逆に提案し、それは小説『Fate/Zero』として完成する。

(画像はAmazon | 『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰより)

 一方で当時、奈須氏自身は『Fate』のようにひとつの作品に何年も付き合うことを是としていなかった。PS2移植版『Fate/stay night [Realta Nua]』においては、TYPE-MOONの代表でイラストレーターの武内崇氏から、『Fate』を脱却する意図を持つ追加シナリオを提案されていた。
 その同時期には、『Fate/Zero』を手がけていた虚淵氏から、『Fate』は長寿作品になるべきだと説かれていたという。その甲斐あってか、徐々に奈須氏も『Fate』シリーズを続けられるうちは続けていこうと、心境が変化していった(出典:『ビジュアルノベルの星霜圏』のインタビューより)。

 ある意味で、これが現在の『Fate/GrandOrder』に結実するともいってもよく、虚淵氏は『Fate』シリーズの生みの親である奈須きのこ氏以上に、『Fate』に可能性を敏感に感じていたといえるだろう。

(画像はニコニコ動画 | Fate/Grand Order カルデア放送局 Vol.10 紅の月下美人 配信直前SPより)

 虚淵氏と『Fate/GrandOrder』の関わりは、『Fate/Zero』を別角度から描いた『Fate/Accel Zero Order』という2016年の期間限定イベントシナリオでもあった。だが、あくまで外伝の範疇に留まっており、今回、初めて手掛けたという本編シナリオには非常に期待が膨らむ。

 虚淵氏には『Fate/GrandOrder』の第一部終了時、2016年暮れにオファーをしたという。今回のシナリオ「紅の月下美人」は中国を舞台にしているが、虚淵氏は以前、中国を舞台にした武侠ノワール『鬼哭街』を制作し、高く評価されている。『Fate』の世界観と武侠ものが融合した、虚淵氏独自のストーリーが展開するとみていいだろう。

 同時に「★4 蘭陵王(セイバー)」「★4 秦良玉(ランサー)」「★5 項羽(バーサーカー)」という新サーヴァントが登場することも発表され、これらのキャラクターがどうのように活躍するのかも注目したい。

(画像はニコニコ動画 | Fate/Grand Order カルデア放送局 Vol.10 紅の月下美人 配信直前SPより)

 虚淵氏がメインで手がけたゲームシナリオは、2007年の『続・殺戮のジャンゴ -地獄の賞金首-』が最後である。以降は2012年の『とびだせ!トラぶる花札道中記』のシナリオの一部や『ガンスリンガーストラトス』の原案などを担当したが、2011年にはアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』、2013年から2014年には特撮テレビドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』の脚本など、ゲームからアニメ・実写作品へと主戦場を移していった。

 最近では、2018年8月13日に行われたニトロプラスライター陣によるトークイベント「ニトロプラス美少女ゲームトークショー」において、虚淵氏はイベントに宛てた手紙でゲームシナリオにまた戻ってみたいという抱負を語っていた。まずは『Fate/GrandOrder』の最新シナリオで、ゲームのシナリオライターとしての虚淵玄氏の活躍をひさびさに体験できることができそうだ。

文/福山幸司

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著者
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman
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