レースゲーム『Need for Speed: Shift』や『Project CARS』シリーズを手がけるイギリスのゲーム会社Slightly Mad Studiosは、最先端ゲーミングPCと同等のスペックを誇る新型の家庭用ゲーム機「Mad Box」の開発計画を明らかにした。
事の発端は、新年が明けた1月2日。Slightly Mad Studiosの創設者であるIan Bell氏がTwitterにアカウントを新設し、「The Mad Box is coming」(Mad Boxきたる)と投稿したことから始まった。後に同社の公式アカウントが投稿をリツイートしたことから、一連の情報発信がBell氏本人であることが確認された。ちなみに、同氏はTwitterを使うことが初体験だったようで、期待や疑念を含めて予想以上の反響に少々の戸惑いもみせていた。
Bell氏によると、Mad Boxはゲーム史上もっとも高性能なコンソールになるとのことで、そのスペックは文字通り“Mad”(イカれている)なのだそう。4KやVRへの対応はもちろん、同機でゲームを開発するデベロッパー向けに無償でエンジンも提供する。また、クロスプラットフォーム環境を構築することで、PCやXbox、PlayStationといった他機種からのゲーム移植がほぼワンクリックで完了するような体制を整える予定だという。同氏のTwitterアカウントには、現在までにデザインコンセプトの画像がいくつも投稿されている。
今回の発表に関してBell氏は、米メディアVarietyの取材に対して、いくつかの情報を補足している。まず、新型マシンの性能は今から2年後の最新ゲーミングPCに匹敵する処理速度を誇り、近日登場のものを含めたほぼすべてのVRヘッドセットをサポートする予定だという。描画速度は120FPS。次にゲームのラインナップについては、新旧を含めたすべてのデベロッパーを歓迎し、独占タイトルの意図的な確保はしないとのこと。プラットフォームエンジンを提供した上で、サードパーティの判断に委ねるとコメントしている。
加えて、当プロジェクトはすでに複数の投資家から支援を受けており、完成までに必要な資金確保の見通しは立っていると、Bell氏は明言している。発売時期はおよそ3年後の2022年を想定。気になる商品価格については、今後のコンソール市場で競り合える相場価格に落ち着くだろうと言及した。
Mad Boxという狂気に満ちた新時代の箱が本当に実現するかは定かではないが、指数関数的に加速していくゲーム業界の発展を鑑みれば、これから登場する家庭用ゲーム機が少なくとも現在のゲーミングPCをいずれ凌駕することは間違いないだろう。
ライター/Ritsuko Kawai