スパイク・チュンソフトは発売が無期限延期となっていたPlayStation 4版『OVERKILL’s The Walking Dead』の発売を正式に中止したことを発表した。1月に発売が無期限延期が発表された後も505 Gamesと協議を進めていたが、現時点でも発売の見通しを立てることが困難という結論に至り、正式な発売中止となった。
『OVERKILL’s The Walking Dead』は、同社のヒット作『Payday 2』のシステムをベースに「ウォーキング・デッド」の世界を舞台にした最大4人まで参加できる協力型シューターだ。主人公は原作には登場しないオリジナルのキャラクターで、それぞれが異なる能力を持つ。拠点となる隠れ家要素や、拠点防衛から資源を集めるために街へと侵入するミッション、ウォーカーと呼ばれるゾンビだけでなく人間とも戦わなければならないシステムを搭載していた。『Payday 2』のデベロッパーが「ウォーキング・デッド」のIPで作る4人協力シューターということで、大きな期待が寄せられていた。
『OVERKILL’s The Walking Dead』は開発が難航したことでも有名だった。2014年に発表されてから複数回にわたり延期を発表。開発費は膨らみ、『Payday 2』以降Starbreeze自身もヒット作に恵まれず、開発資金捻出のために『Dead by Daylight』のパブリッシング権を売却するなど手を尽くしていた。
2018年11月についにリリースされた 『OVERKILL’s The Walking Dead』だが評価も芳しくなく、売り上げも想定には届かなかった。12月には第1シーズンの内容のみ遊べる格安版『OVERKILL’s The Walking Dead – Starter Edition』の販売を開始。シーズン2のエピソードも3つまでリリースした。
しかし、「想定した品質を満たさなかった」として、2月には「ウォーキング・デッド」の権利を保有するSkybound EntertainmentとStarbreezeの契約が打ち切られ、海外版『OVERKILL’s The Walking Dead』の開発も終了。日本語版の発売を前に大きな混乱を引き起こしていた。
Starbreezeは経営再建を目指し、役員の入れ替えや『Payday 2』のサポートの延期、経営コストの見直しや中核事業へ焦点を当てるプログラムを開始。それでも経営の立て直しはうまく行かず、2019年第1四半期の決算では、このまま追加資金が得られなければ、2019年内に流動性資金が枯渇することが発表されている。サポートの延期が発表された『Payday 2』や、現在も開発が続く『Payday 3』など、同社の人気作品の今後の見通しは不明だ。
ライター/古嶋誉幸