『PAYDAY』シリーズの販売元で知られるスウェーデンの「Starbreeze Studios」が、ストックホルム地方裁判所に再建申請を提出、受理されたことを発表した。『OVERKILL’s The Walking Dead』の売上不振により2019年1月に流動資金が不足する見通しとなったことが理由であり、今後は長期的な財務的解決策を交渉し組織と事業の見直しを行う。それに伴い、2018年第4四半期と2020年の財務目標は白紙となる。
これを受け、2013年から同社CEOを務めたBo Andersson氏と取締役会のKristofer Arwin氏は、すでにStarbreeze取締役会および同社を退社している。Starbreezeは今後、裁判所が監督委員として任命したWSA法律事務所のLarsSoderqvist氏の管理のもと経営再建を目指す。
経営再建の枠組みには従業員への給与も含まれており、業務は今後も通常どおり進められる予定だという。再建が申請されるよりも前の期間に関連するサービスや商品の提供者への支払いは凍結される。
またStarbreezeの発表では、同社が一部資金を提供している会社については間接的な影響が出る可能性があると伝えられており、具体的にはStarbreeze USA、Starbreeze Paris、Starbreeze Barcelona、Starbreeze IP LUX、Starbreeze IP Lux II Sarl、Dhruva Infotech Ltdといった社名が挙げられた。グループ内のほかの関連会社については影響はないとされている。
2012年に『PAYDAY』を開発するOverkill Softwareを買収し、『PAYDAY2』で同社において史上最大のヒットを記録したStarbreeze。近年は企業の買収やセルフパブリッシングタイトルの開発など経営を多角化し、「Project StarVR」を発表するなどVR分野へも進出。さらに2016年には『Dead by Daylight』の販売元としても大きな成功を収めていた。
一方で2017年9月に発売した『Raid: World War II』は売上、評価とも振るわず、2018年1月には『Overkill’s The Walking Dead』のマーケティング資金確保のため、同社の保有株式を売却し3000万ドルを確保。さらに今年3月には『Dead by Daylight』のパブリッシング権を開発元に売却するなど、資金面では不透明な状況が続いていた。
そして度重なる延期のはてに今年11月にリリースされたPC版『Overkill’s The Walking Dead』も、同社の予想を下回る売上となる。11月23日にはこの失敗を理由に、経営コストの見直しや中核事業へ焦点を当てるプログラムを開始することも発表されていた。なお、12月2日からは本作を約半額で遊ぶことができる分割版として『OVERKILL’s The Walking Dead – Starter Edition』がリリースされている。
経営再建を目指すStarbreezeでは、辞任したBo Andersson元CEOにかわり副社長のMikael Nermark氏がCEOに任命された。Nermark氏は2009年から副社長を務めており、2011年から13年まではCEOとして同社を率いていた。
Starbreezeは、来年2月に発売予定のコンソール版『Overkill’s The Walking Dead』や、ロードマップが更新されサポートが延長された『PAYDAY 2』、そして新作である『PAYDAY 3』などの新作を抱えており、今後のさらなる情報に注目したい。
文/古嶋誉幸