thatgamecompanyの設立者Jenova Chen氏は、『風ノ旅ビト』(Journey)のiOS版をリリースしたと発表した。
パブリッシングは、Annapurna Interactiveが担当している。iOS 12.2以降が対象で、iPhone、iPad、およびiPod touchと互換性がある。対象言語は、英語のみ。価格は600円で、容量は1.1GB。オンラインマッチングには、Game Centerが必要となる。
Journey the older sister of Sky is out on iOS today! Thanks to @A_i and @SonySantaMonica, three thatgamecompany games are within my pocket ready to play at all time! https://t.co/vzCZvaClmH
— Jenova Chen (@JenovaChen) August 6, 2019
『風ノ旅ビト』は、thatgamecompanyが開発したアクション・アドベンチャーゲームで、プレイヤーはローブをまとったキャラクターを操作し、広大な砂漠の砂丘から神秘的に光り輝く遠方の山を目指して進んでいく。道中では古代文明を想起させる遺跡やテクノロジーの世界が展開されていくが、ゲームから解読できる類の言語的な説明は排除されている点が特徴。ステージクリアごとに挿入される夢のイメージや、壮大な音楽、さらに場面ごとに演出されるビジュアルは驚異的で、神秘体験といえるまでの世界観を描き出している。
またオンラインマッチングも特徴的で、いわゆる部屋やロビーといった概念は存在せず、どこかの見知らぬ人と自動的に接続され協力プレイすることになる。そこでも言語的なコミュニケーションは排除され、飛んだり光ったりすることによって交流を図っていく仕組みになっており、これが本作独自のゲーム体験に繋がっている。
この言葉を廃し、ビジュアルと音楽が渾然一体となったゲームデザインは、ユーザーやメディア、クリエイターなどの多方面から賞賛を浴び、本作が発売された2012年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを独占した。またゲーム音楽としては異例のグラミー賞ノミネートも果たし、評価を不動のものとした。
PS3で発売以降、PS4、PC(Epic Games Store)で発売されてきた『風ノ旅ビト』だが、今回でiOS版が加わった形だ。thatgamecompanyは最新作『Sky 星を紡ぐ子どもたち』がiOSで先行配信しており(Android版は後日配信予定)、過去作の『Flower』はすでにiOSで配信している。thatgamecompanyのゲームがiOSに集まってきている状況といえるだろう。
なお、iOS版の『風ノ旅ビト』のパブリッシャーは、『Florence』、『Gone Home』のiOS版を配信しているAnnapurna Interactiveが担当している。thatgamecompanyの設立者Jenova Chenは、このAnnapurna Interactiveの顧問も務めている。
現在のところiOS版の『風ノ旅ビト』は、英語版のみであり、原題の『Journey』で配信している。とはいえ、本作は言語には依存しないゲームの作りなので、特に英語版でも問題はないだろう。手の平の上で『風ノ旅ビト』が楽しめ、600円という低価格なのは嬉しいところ。タッチプレイ操作による一足違った『風ノ旅ビト』の体験を試してみてはいかがだろうか。
ライター/福山幸司