初の有料ダウンロードコンテンツとして10種の楽器を追加することを発表したオープンワールドサバイバルゲーム『RUST』が、先週のアップデートでプレイヤーキャラクターに初めて「脚」を追加した。プレイヤーは現在、ゲーム中に下を見れば自分の下半身を見ることができる。
もし現実世界のあなたがいま動けるなら、一度立って下を見てほしい。自然に自分の脚が見えるはずだ。現実を模倣していると思われがちな一人称視点ゲームだが、実は多くの嘘の上に成り立っている。プレイヤーモデルを作り、目の部分にカメラをただ設置するだけでは自然な描写にはならない。一人称視点ゲームでは、ただ下を向いて脚を見るだけでも実は嘘をついているのだ。
『RUST』を開発するギャリー・ニューマン氏が、一人称視点ゲームで違和感なくプレイヤーキャラクターの下半身を描写する苦労話をブログで公開している。
ニューマン氏によると、当初『RUST』ではプレイヤーモデルを含むスケルトン【※】で陰を投影し、なおかつプレイヤーの視点と競合しないようにボーンを動かしたかったという。しかし、当初の方法では陰の表示がめちゃくちゃになってしまったため、早期アクセス販売をスタートした2013年から6年間ずっと脚を表示できなかったようだ。
※スケルトン:
3Dモデルを動かすための機能。後述のボーンとそれらをつなぐジョイントで構成されている。
しかしある日、氏は会話をしている最中に「なぜ別のモデルをレンダリングしないんだ」と天啓を得た。陰を生成するための三人称モデルをコピーし、ボーンを操作する。実際には単純にカメラの後ろに上半身を入れただけだ。
とはいえ、これだけで終わりではない。プレイヤーがしゃがんだ状態で下を向いたときは、カメラが膝を貫通しないよう少し引かなければならない。一人称視点で見た場合は自然に見えるが、この状態を動画にするとさらに奇妙に見える。
この状態でさらに腕を表示することもできたが、不思議なことに違和感が強く、腕を表示しない現在の形に落ちついたようだ。
一人称視点ゲームで描画的な嘘をつくのは『RUST』だけではない。胸の中央から腕が伸びる『DOOM』の時代から嘘をつきながら進歩してきたといえる。完全3Dになった後はさらに嘘をつく重要性は増したといえるだろう。かつて『Crysis 2』のカバーアクションを三人称視点で見たときの奇妙な動きが怖いと話題になったこともある。自然で見栄えのする描画の裏に、見えない苦労と奇妙な動きをするモデルが隠れていると思うと少し楽しく思えないだろうか?
ライター/古嶋誉幸