Valveが運営するダウンロード販売サービスSteamにて、ロシア産の低価格ゲームを中心に1000本前後のゲームが突如として削除されたことについて、Valveが海外メディアPCGAMERにメッセージを送ったことが報じられた。
詳細は明かされていないが、Valveはこれらのゲームが削除されたのは複数の出版社が「Steamworksを悪用したためだと説明している。また、これに関してパートナー企業すべてにメールを送ったという。
Valveがデベロッパーやパブリッシャーに提供しているSteamworksとは、ゲーム開発やSteamでの配信を行う際に役立つ一連のツールやサービスのことだ。
Ban on all applications, (released and not released applications) because you did something wrong in Steam tools (abused them) on this ban, and generally fuck you, we don’t need your games, and we won’t be with yours work. Here is what is written here.@Valve @steam_games pic.twitter.com/OPi8m6uUsU
— IDALGAME (@IDALGAME) November 26, 2019
Twitter上ではValveにより自社のゲームが不当に削除されたと主張しているデベロッパーも現れている。VRホラーゲーム『Run Room』などをSteamで販売していたIDAL Gameだ。同社はValveから送られてきたというメールの文面をシェア。文面には「Steamworksツールを悪用してバンドルを顧客に売ろうとしていることが検知されたため、関連するすべてのゲームを削除しました。私たちは今後Steamであなたのゲームを販売することは考えていません。」と強い口調で削除したことについて説明している。
このメールが本物かどうか確かめるのは難しいが、事実であれば完全な絶縁宣言に見える。IDAL Gameはサポートとコンタクトをとっていると書き込んでいる。
My game was banned on Steam for exposing the rules that I did not do, but the former publisher more than a year ago. I was able to regain the rights to the game myself, but the Valve bans for the publisher’s past sins. #steam #indie
— Denis (@denve_r) November 26, 2019
混乱が続く中、不当な削除であることが認められたためかゲームが復帰する事例も見つかっている。『OutDrive』というゲームを開発したDenis氏だ。
氏はRedditで削除に至った経緯を説明しており、ロシアでは外貨を受け取る場合はビジネスの登録をしないとならないという。そのため、ゲームは一時「Siberian Technology」と呼ばれるパブリッシャーに販売を委託していた。登録完了後、氏はすぐにパブリッシャーから権利を取り戻した。しかし、委託していた間にキーを複製されバンドルに不正に利用された可能性があるとし、氏はそれが今回の削除につながった可能性を疑っている。
記事執筆時点で『OutDrive』のストアページにはアクセス可能だ。外部のSteam調査ツール「Steam Tool」上で確認すると、たしかにゲームは一度削除されたことになっている。
Twitter上でDenis氏はまだ反応していないが、Valveが個別に対応した結果無実だったことが判明したのだと見られる。氏はゲーム削除とともにSteamデベロッパーフォーラムを追放されているため、直接のやりとりはできなかったと書かれている。しかし諦めずにSteamサポート経由で連絡を取っていたという。
Steamworksでどのような不正を行った場合にBANされるのか、またそれをどのように調査して検知したのかは不鮮明で、唐突な大量削除にデベロッパーからは戸惑いの声が漏れ聞こえている。記事執筆時点ではValveの声明は外部メディアからしか出ていないが、1000件もの削除は今回対象となっていないデベロッパーにとっても懸念になると考えられ、今後は公式声明がSteam上で発表される可能性もあるだろう。
ライター/古嶋誉幸