広大な宇宙を舞台に生産から探索までさまざまなゲームプレイが楽しめるMMORPG『EVE Online』。同作のチャリティオークションで、430万円もの額で戦艦が落札されたとして話題を呼んでいる。
『EVE Online』のCCP Gamesは、壊滅的な被害の続くオーストラリアの森林火災を支援すべく、「PLEX FOR GOOD」と呼ばれるキャンペーンを1月15日より開始した。日本時間1月27日午前8時まで行われたこのキャンペーンは、CCP Gamesがプレイヤーに代わり、ゲーム内で利用される課金アイテムPLEXを使用して寄付を行うというものだ。
2005年に東南アジアの大津波による災害への慈善事業として初めて開催された「CCP PLEX for GOOD」だが、これまでに何度か行われ、総額47万ドルが寄付された。
キャンペーン終了が近い1月24日、CCP Gamesは中間報告を行った。その中でも特に注目を集めたのが、チャリティオークションとして希少な戦艦が430万円で落札される可能性があるという点だ。
このオークションの出品者はKelon Darklight氏。商品は『EVE Online』で最も珍しい船の1つである「Gold Magnate」だ。
『EVE Online』の情報を提供する「UNIWIKI」によれば、Gold Magnateは2003年に行われたAmarr Championshipの優勝者にたった1隻だけが配布されたという。世界に1隻しかないGold Magnateが轟沈したあと、2016年にAmarr Championshipの優勝者4名に配布された。2020年1月の時点で現存するのはわずか2隻。競売にかけられたのはそんな希少艦のうちのひとつだ。
I made a bid:
— Scott Manley (@DJSnM) January 24, 2020
One Million PLEX
(which should translate to a real world donation of tens of thousands of dollars, or, 160 years of game time)
but some people questioned whether it's authentic: pic.twitter.com/IorTNzL0Ye
Gold Magnateを落札したのはYouTuberのScott Manley氏。提示額は100万PLEX。ゲームでは、500PLEXを支払うことで1ヶ月分の課金と同等の扱いとなる。100万PLEXを年月に換算すると、160年間『EVE Online』をプレイできる額だ。Steamでは500PLEXが2158円で販売されている。つまり、日本円に単純に換算すると430万円だ。
この取引が成功すれば、赤十字への寄付はさらに430万円が追加される。CCP Gamesも「このオークションに対して友好的な結論に達することを願っています」とコメントし、このゲーム市場でもあまり類を見ない取引に注目している。
また、CCP Gamesはキャンペーンの成功を感謝し、100PLEX以上を寄付したプレイヤー全員に男性用と女性用のReserve Frontier Safeguard(RFS)シャツをプレゼントすることを発表。500PLEXごとにさらにシャツを1ペアずつ配布する。
RFSは危険地帯を警護するフロンティアパトロールにその起源を持つ。現在では危険地帯全域でコロニーの災害支援に焦点を当てた組織へと性質を変化させたのだという。「PLEX FOR GOOD」に参加したプレイヤーは、このRFSの隊員の一員として認められるということだ。
ライター/古嶋誉幸