データウエストがゲーム事業を再開したことが明らかになった。更新履歴からサイト自体は12月末に作られており、今年1月末にゲーム事業を再開したと告知していたことがわかる。
【告知】
— データウエスト株式会社 (@_DATAWEST_) January 28, 2020
データウエストは
この度ゲーム事業を再開しました。
それに先駆けて過去のWindows版等を通販開始!!https://t.co/s8yoAhOlvJ
データウエストは80年代から90年代にかけて、アドベンチャーゲーム、シューティングゲームを制作した会社。特に90年代にPCではFM TOWNS、家庭用ゲーム機ではPCエンジンSUPER CD-rom2、メガCDで存在感を示したことが知られている。
80年代に非18禁の美少女ゲームの先駆作『第4のユニット』シリーズを展開。また1987年に発売されたサイバーパンク・アドベンチャーゲーム『イミテーション・シティ』は、『428 〜封鎖された渋谷で〜』のイシイジロウ氏が学生時代にデータウエストでアルバイトをしている時代に制作されたものと知られている。
90年代には、DAPS(Datawest Active Picture System)と呼ばれるシステムによって、ゲーム内でアニメーションを再生するプログラムを開発。ゲーム業界では先駆的にアニメーションを大々的に取り入れた会社として存在感を放った。このアニメ制作には京都アニメーションも携わったことがある。
特にDAPSを使ったゲームでは、『Invitation』、『Memories』、『AYA』などの「サイキック・ディテクティブ」シリーズが有名だ。サイコアナリストの探偵・降矢木和哉が他人の心にダイブして、心象風景から手がかりを得るというミステリー・アドベンチャーゲームで、サイコな雰囲気とグロテスクな表現で独自の地位を獲得したカルト作して知られている。
他にも実写表現を取り入れたアドベンチャーゲーム『Ms.DETECTIVE ファイル#1 石見銀山殺人事件』などの「ミス・ディテクティブ」シリーズ、シューティング・ゲームでは精細なグラフィックとBGM、そして極めて難易度が高いことで知られる『ライザンバー』シリーズがある。
だが、90年代後半からはゲーム事業から事実上の撤退。以後、カーナビゲーションや地図データなどの地図事業、粉砕機などの特機販売事業を中心に展開していた。このため上記に挙げた作品のいずれもが入手困難となり、オークションなどでは高値がついていた。
しかし今回、ゲーム事業再開の告知と共に通販サイトを開設。FM-TOWNSやPC-9821のソフトのほか、Windows7に対応した「サイキック・ディテクティブ」シリーズや、『第4のユニット』シリーズの後期作品が新品で手に入る。ただし早くも売り切れが見られ、入荷が望まれるところだ。また『ライザンバー』シリーズや「ミス・ディテクティブ」シリーズはラインナップに含まれておらず、こちらも取り扱って欲しいところ。なお、支払いは現在のところ銀行振り込みのみ対応している。
長らく入手困難だった作品が現行機に対応して容易に入手できることだけでも朗報だが、新作を含めた動きは何かあるのか。ゲーム事業を再開すると表明したデータウエストにこれから注目といえるだろう。
ライター/福山幸司