台湾のゲームデベロッパーRed Candle Gamesのホラーゲーム『返校 – Detention』と『還願 – Devotion』がハーバード大学のハーバード燕京図書館に収蔵されたことを発表した。
ハーバード燕京図書館は世界有数の東アジア資料コレクションを持つ、東アジア研究の最前線のひとつだ。『返校 – Detention』はすでにデータベースに登録されているが、『還願 – Devotion』は記事執筆時点で未登録となっている。
So honored that both #Devotion and #Detention are now part of collection at the Harvard-Yenching Library. Meanwhile, for the past year we're sorry for making you worried. Rest assured we'll keep develop games with the same passion. And thank you to all who still believe in us. pic.twitter.com/qdGEODab8F
— redcandlegames (@redcandlegames) February 21, 2020
図書館の新たな収蔵品として特に注目が集まっているのが『還願 – Devotion』だ。2019年2月にリリースされた物語重視の一人称視点ホラーゲームで、80年代の台湾のとある集合住宅を舞台にした作品だが、中国の習近平国家主席を揶揄するアートセットが中国のユーザーによって発見された。
その後、レビュー爆撃だけでなく、台湾の行政院副院長チェン・チーマイ氏までもが作品について語る大きな問題に発展。本作のパブリッシングを行ったIndieventは、中国当局によりビジネスライセンスを抹消される事態となった。
Red Candle Gamesも「チームとしての意図でもゲームとしての意図でも無く、傷つけてしまったことを申し訳なく思います」と謝罪し、Steamでの販売を中止した。ゲームは発売から1年経った今も再販されていない。
発売当時にSteamで購入したユーザー以外はこれまで正規にゲームをプレイする方法は存在しなかったが、ハーバード燕京図書館に収蔵されたことで同図書館は合法的に『還願 – Devotion』をプレイできる場所となった。
『返校 – Detention』のデータベースに記載された説明では、図書館にある1台のコンピュータでのみゲームが遊べるとのことで、おそらく『還願 – Devotion』をプレイするためには直接図書館に出向いてコンピュータを借りる必要があるだろう。
Red Candle GamesはFacebookにて、今回の決定を「チームだけでなく、ファンやサポーターにとっても名誉なこと」だとし、ハーバード燕京図書館とジェームズ・チェン教授ら支援者に感謝を述べている。
また、改めて今回の事件を謝罪し、ファンにとって完全な状態ではないにせよ、チームの創造性は変わらず保っており、今後多くの作品が共有できることを願っているとしている。そう遠くない将来、Red Candle Gamesの新作が遊べることを楽しみに待ちたい。