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「なんでも自由にゲームを作れるゲーム」で、オリジナル作品よりも人気ゲームのリメイクばかりが注目を集める。『Dreams Universe』の開発チームとコミュニティが議論

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 Media Molecule開発の『Dreams Universe』が早期アクセス期間を終え2020年2月14日にリリースされた。本作はユーザーがエディタを使って新しいゲームを作ることができる、同社の『リトルビッグプラネット』の創造性をさらに推し進めたような作品だ。

 本格的なゲーム製作ツールよりも簡単で親しみやすく、それでいて自由度が高いため、日夜さまざまな作品がシェアされている。それらの作品はゲーム内でほかのユーザーを楽しませ、ときにはソーシャルメディア上でプレイ動画として拡散、ゲームをプレイしていない多くの人々も驚かせてきた。

 しかし、そこでひとつの問題も起きている。海外フォーラムRedditの『Dreams Universe』を取り扱うサブレディット「r/PS4Dreams」にて、「ミームや既存作品のリメイクがトレンドを占領し、本当に優良な作品が覆い隠されている」という議論が巻き起こっている。

 問題となっているのは「トレンド」タブだ。最近獲得した「いいね!」の数からユーザーに人気の作品を判別し、トップに表示するという仕組みで、現在流行中の作品をチェックできる。現状ではとにかくたくさんの人にプレイされ、より多くのいいね!を獲得する方が、トレンドになるには有利な状況だ。

 RedditのユーザーTrench_Bucket氏は、現在のアルゴリズムではクリックベイト【※】な作品に有利であり、本来トレンドとは「面白いコンテンツに人々を誘導」し「高品質のゲームがそれにふさわしい注目を浴びるようにする」ことだと指摘

※クリックベイト:
 記事にユーザーの興味を引くため、意図的に煽情的なタイトルや内容と無関係なタイトルをつけることを指す。『Dreams Universe』に置き換えれば、有名タイトルの低品質なリメイクに引用元タイトルをそのままつけるようなものだろう。

 これらを実現するにはいいね!だけでなく、低評価の意志を示すダウンボートのような選択が必要となるが現状はないと訴えた。このままでは、オーディエンスの耳目だけ引くミームや低品質なリメイク、著作権侵害作品がトレンドを支配し、最終的には有能なクリエイターたちが去ってしまうだろうと考えているという。

「なんでも自由にゲームを作れるゲーム」で、オリジナル作品よりも人気ゲームのリメイクばかりが注目を集める。『Dreams Universe』の開発チームとコミュニティが議論_001
(画像は『Dreams Universe』公式サイトより)
「なんでも自由にゲームを作れるゲーム」で、オリジナル作品よりも人気ゲームのリメイクばかりが注目を集める。『Dreams Universe』の開発チームとコミュニティが議論_002
(画像は『Dreams Universe』公式サイトより)

 『Dreams Universe』の公式フォーラムでは、プレイ回数といいね!の比率を算出してトレンドを選ぶ方法が提案されている。このスレッドのほかのユーザーの書き込みの内容に目を向けると、低品質な作品がトレンドに上がることを嫌い賛成するユーザーもいれば、反対するユーザーもいる。

 反対意見としては、「トレンド」はあくまで作品を探す手段のひとつであり、厳しくキュレーションする必要はないという考えが挙げられている。たとえばゲームユーザー向けページ「indreams.me」では、「Mmのお墨付き」としてMedia Moleculeによる高品質作品のキュレーションが行われている。

 海外メディアIGNはMedia Moleculeと連絡を取り、広報担当者より「推奨・発見アルゴリズムは常に改善していく予定です。当該スレッドには“プレイ回数といいね!の比率”など優れた意見が含まれており、意見を参考に慎重に検討していきます」との解答を受けたことを報じている。

 Media Moleculeはリメイクに対してはおおむね肯定的なスタンスを取っている。VGA247が行った『Dreams Universe』のシニアプリンシパルプログラマーのリアム・デ・バルメンシー氏へのインタビューにて、氏はゲームのリメイクがゲームの作り方を学ぶ素晴らしい方法のひとつだと認めている。

 ただし、著作権の侵害には十分注意し、もし権利者から削除要請があればそれに応じるとしている。もしそういった事態を避けたいのであれば、インターネットではなく友人など小さなコミュニティ内でのみ作品を公開するのが良いでしょうと助言している。

 少し『Dreams Universe』で検索すれば、『METAL GEAR SOLID』『FINAL FANTASY 7 REMAKE』といった大作の素晴らしいリメイクが見つかり、それらはソーシャルメディアを中心に多くの人々を驚かせている。大量のユーザー制作コンテンツがあふれる本作の検索性は、Media Moleculeが解決すべき大きな課題のひとつとなりそうだ。

ライター/古嶋誉幸

ライター
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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros

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