3月24日に前作から13年ぶりとなるシリーズ最新作『Half-Life: Alyx』がValveよりリリースされた。五指再現コントローラーやVRヘッドマウントディスプレイの能力を存分に生かしたVR向けのFPSとなっている。
発売前からVRキット「Valve Index」が品切れになるなど、VR専用ゲームとして見ても異例の注目を浴びたゲームのひとつだが、その注目度の高さは、さまざまな数字としても表れている。
Steamの情報を収集するサービスSteamDBでは、ゲームのピークプレイヤー数が4万3000人と発売日に記録された。
同じ価格帯のタイトルでSteamのVRカテゴリーでも売り上げ上位を誇る『The Elder Scrolls V: Skyrim VR』でもオールタイムピークが4000人、価格は半分ほどだが同じVR FPSの『BONEWORKS』でもオールタイムピークは9000人に届かない。価格帯や完全新作か否かと言った点で異なるため単純な比較はできないが、4万3000という数字がどれほど多いかわかるはずだ。
これまでのシリーズと違い、『Half-Life: Alyx』はVR専用ということで一部から批判を受けており、Steamフォーラムでは現在もそういったスレッドが経立っている。批判を浴びるだけ注目されていたことも間違いなく、それゆえかTwitchでは発売日の同時視聴者数が30万人を超えたことが記録されている。
ビデオゲーム業界アナリストのマット・ピスカテラ氏は、Steamのピークプレイヤー数とTwitchの最高同時視聴者数を比較。7倍以上の差については逆に、そのままマスマーケットを選ばずVR専用にしたことによる販売機会の損失でもあるとも指摘した。
なおValveも『Half-Life: Alyx』がVR専用という決断へのオーディエンスの反応は予想しており、海外メディアVideo Games Chronicleのインタビューで「なぜVRのみにしたのか」という問いが完全に合理的であることを認めている。
しかし、ValveはVRのために構築した世界に自信を持っている。たとえVRを削除するMODがリリースされたとしても、VRの持つ機能が削除されたバージョンと本編を比較すれば、なぜValveがVR専用ゲームにすると決断したかがわかるだろうと語っている。
すでにファンはMODを利用せず、『Half-Life: Alyx』が非VRで動作するデバッグコマンドを発見していることを同メディアは報じている。重力グローブなど重要なVR機能が欠如しているが、マウスとキーボードでプレイできるようだ。
すでに各メディアがレビューを提出し、平均値ではあるが参考としてレビュースコア集積サイトMetacriticではメタスコア92点、ユーザースコア9.0点、同じくレビュースコア集積サイトOpenCriticでは92点を記録している。どちらの評価もVRゲームのマスターピースと呼ぶにふさわしい賞賛だ。
ライター/古嶋誉幸