YoutuberのDr Five氏はMMORPG『World of Warcraft Classic』でイノシシだけを殺し続け、自身のキャラクターを最高レベルであるレベル60にまで育て上げた。要した時間は9日間と18時間。1万匹以上のイノシシを殺し、そのなかで30回殺されたことを自身の動画で発表した。
ゲームでレベルを上げるなら、ほかにいくらでも効率の良い方法がある。しかし、Dr Five氏以外にも複数のプレイヤーがイノシシだけを殺して最高レベルを目指す奇妙な挑戦に取り組んでいる。
この取り組みは、アメリカを中心に放送されているコメディカートゥーン『サウスパーク』にて、2006年に放送された人気エピソードのひとつ「Make Love, Not Warcraft」に基づいている。Blizzard Entertainment全面協力のもと『World of Warcraft』を題材に製作された本エピソードでは、おなじみの面々である「スタン」たちがゲーム内の悪質なプレイヤーキラー(PK)に挑む姿が描かれた。
スタンたちは悪質な最高レベルのPKと戦うため、経験値わずか2のイノシシを狩り続けて最高レベルまで到達することを思いつく。最高レベルにたどり着くまでに倒すイノシシの数は数千万頭にのぼり、1日3時間睡眠で臨んだとしても7週間と5日かかる計算だ。ほかの子供たちが外で遊ぶなか、スタンたちはひたすらレベルを上げる。たくましく成長するゲームのキャラクターと反比例するように、現実のプレイヤーは顔中にニキビができ、醜く肥え太っていった。
「Make Love, Not Warcraft」は高い評価を得て、2007年にはプライムタイム・エミー賞を受賞したほか、iTunes上で2011年に行われた『サウスパーク』のファン投票では1位を獲得。現実の生活を捨ててMMORPGにのめり込むプレイヤーたちを面白おかしくも不気味に描いたにも関わらず、当の『World of Warcraft』プレイヤーからの人気も高い。
また、2013年に行われたBlizzardのファン感謝イベント「BlizzCon」では、アニメに登場した悪質プレイヤーのコスプレイヤーも登場した。
「Make Love, Not Warcraft」の放送から10年以上の月日が流れ、この頃の『World of Warcraft』と現在の同作は大きく様変わりしている。2019年には、2006年当時のゲームを再現する『World of Warcraft Classic』がリリースされた。
もし、スタンたちが遊んでいたゲームを楽しみたいのであれば、『World of Warcraft Classic』をプレイしてみて欲しい。
ライター/古嶋 誉幸