アセットの一部に中国の習近平国家主席を揶揄するものが見つかり、発売から1週間で販売が停止されたRed Candle Gamesのホラーゲーム『還願 Devotion』。注目の集まっていた作品だけに同作の復活を望む声はいまだに大きいが、開発スタッフが今後の展開について海外メディアPCGamerのインタビューにて答えた。近日中に本作がふたたびSteamなどで買えるようになるかは不明だが、少なくともRed Candle Gamesは再販を諦めていないようだ。
インタビューによればRed Candle Gamesは、海外のファンからの温かい支援に感謝し、そんなファンの期待に応えられるようチャンスと可能性を求めて全力を尽くしているという。現在はデジタル版を世界中で再び販売できるように、欧米のパブリッシャーと協力する選択肢を模索している。チームの口ぶりから、本作の再リリースのために現在はそのパブリッシャーを探しているようだ。
『還願 Devotion』は2019年2月に発売された作品。前作『返校 Detention』を開発したスタジオの新作として大いに注目を集めたが、前述したように習近平国家主席を揶揄するアセットが発見され、中国のゲームファンが激怒し一部がSteamにてレビュー爆撃する事態へと発展した。
Red Candle Gamesはすぐさま該当するアセットを変更するパッチを配信した上で、広範囲にわたる使用アセット全てを精査していたわけではなくチームとしてもゲームとしても誰かを傷つけることは意図していなかったと謝罪。しかし、2019年2月23日ごろに中国のSteamストアからゲームが削除され、追って全世界規模で販売が停止されることになる。本作をパブリッシングしたIndieventは、中国当局によりビジネスライセンスを抹消されるまでに至った。
また台湾の開発スタジオであるRed Candle Gamesの立ち位置もあり、政治問題にも発展。台湾の陳其邁行政院副院長が、「民主主義と自由がある国でのみ、創造は制限から自由になることができます」と、ゲームを擁護する発言をしたことがBBCで報じられた。
販売停止から1年後の今年2月には、『還願 Devotion』がハーバード大学のハーバード燕京図書館に収蔵。また6月には台湾国内のみで豪華なパッケージ版の予約販売を開始するなど、徐々に新たな展開が見られているが、それでも本作は今なお台湾以外の地域では購入できない状態が続いている。
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インタビューにてRed Candle Gamesは、『還願 Devotion』のグローバルリリースを目標にしているが、現在はこれまでに経験の無かった物理パッケージのリリースと、未発表の新作を全世界でリリースすることに注力しているとも伝えている。少しずつ前進しているが、台湾以外のゲームファンが本作をプレイするには、まだもう少し時間がかかりそうだ。
ライター/古嶋誉幸