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格闘ゲームイベント「EVO Online」の開催中止が決定。創設者への性的虐待の告発が原因に

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 世界最大級の格闘ゲームイベント「EVO Online」の中止が発表された。5月には新型コロナウイルスの感染拡大により、オフライン大会を断念し、のちにオンラインへの移行を発表した同イベントであったが、7月4日の開催を目前にしてそちらも中止となる。

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(画像はEVO公式Facebookアカウントより)

 この決定は、EVOの共同創設者のひとりであるジョーイ・ケラー氏が20年ほどまえから行っていた、「FGC」(Fighting Game Comunity)での未成年児童に対する性的虐待の告発を受けてのものである。氏は自身のTwitterアカウントにて、事実を認め謝罪している。

 また、EVO運営チームはケラー氏の持っていたEVOに対するすべての権限を剥奪し、今後一切関わらせないことを約束した。現在は完全な解雇に向けて動いていることを発表した。なお、EVOの新CEOにはRiot Gamesの従業員であるトニー・キャノン氏が就任している。

 このほか、グッズとして販売されていた「EVO Online」のバッジに関して全員に返金対応を実施するほか、人道主義の医療系NGO「Project HOPE」への寄付を約束通り支払うことしている。

https://twitter.com/EVO/status/1278859734099963904?s=20

 告発したのは“Micky”と名乗るTwitterユーザーであるが、この告発記事には未成年者への性的虐待に関する詳細が書かれているため、閲覧する際は注意してほしい。文中に複数回にわたって登場する「Mr. Wizard」がケラー氏となっている。

 Micky氏は当時まだ10歳にも満たないころからFGCに参加しており、大人に混ざってしばしば、現金と同じ価値を持つトークンと引き換えに馬鹿げたことをやって見せたという。そのほとんどは無害だったというが、ケラー氏からはトークンと引き換えに複数回にわたり性的虐待をうけたことを明かした。

 Micky氏は自身のことも「完璧ではなく、間違いを犯した」と認め、この経験が自身に深刻なトラウマを残していないことも述べている。記事の最後にはコミュニティに今なお残るさまざまな差別や嫌悪の意識を変え、よりよいコミュニティを目指すことを呼びかけている。

 この告発をうけ、大会のキャンセルが発表されるまえにカプコンをはじめバンダイナムコ『Mortal Kombat』で知られるNetherRealm Studiosなど、「EVO Online」で予定されていた競技作品の権利を持つ会社が、相次いでイベントの不参加を表明。このほか、青いキツネの着ぐるみでおなじみの“SonicFox”ことドミニク・マクリーン氏など、参加選手の一部も大会への不参加を表明していた。

 近年多くなりつつあったが、ゲーム業界ではさまざまな形で虐待の告発が続いている。関与しているのもゲーム開発者からストリーマー、ジャーナリスト、プレイヤーにいたるまで、広範囲にわたっている。Ubisoftは複数の告発をうけ、CEOが社内の環境改善を約束したほか、NPO団体国際ゲーム開発者協会(IGDA)は、こうした虐待行為をうけた人々への支援を発表している。

 これらの告発が業界内の悪しき風習を断ち切り、よりよい風土を築けるかどうかは、開発者からプレイヤーまで、ゲーム業界に参加する全ての人々の意識に掛かっているだろう。

ライター/古嶋誉幸

ライター
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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros

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