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日本ゲーム大賞のゲームデザイナーズ大賞を『Baba Is You』が受賞、桜井政博氏が実際に実況プレイをしながらその魅力を解説

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 東京ゲームショウは、「日本ゲーム大賞2020」の年間作品部門の一部の受賞作を発表した。明日9月27日19:00からの番組では「優秀賞10作品」と「大賞」を発表する予定だ。

今回、発表されたのは以下の通り。

■経済産業大臣賞 『あつまれ どうぶつの森』開発チーム(任天堂)
家庭用ゲーム産業の発展に寄与された人物・団体に授与される。

■グローバル賞 日本作品部門『ポケットモンスター ソード・シールド』
■グローバル賞 海外作品部門『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』
2019年1月から12月の間に海外市場で発売され、高い評価を得た日本作品と海外作品の2作品に授与される。

■特別賞 『ドラゴンクエストウォーク』
各選考委員から推薦によって授与される。

■ベストセールス賞『ポケットモンスター ソード・シールド』
対象期間中に日本国内で最多販売本数を記録した作品に授与される。

■ゲームデザイナーズ大賞『Baba Is You』
日本の10名のトップクリエイターにより、独創性や斬新性などの点を評価し、創造性豊かな賞に授与される。

桜井氏がゲームデザイナーズ大賞の意義を説明

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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)

 ゲームデザイナーズ大賞では、審査員長を務めた桜井政博氏がビデオレターに登場。ゲームデザイナーズ大賞の意義を説明した。

 桜井氏によると、明日発表となる「ゲーム大賞」や「優秀賞」はユーザーの投票から選ばれる賞で、売れたタイトルや大作シリーズが有利の賞になってしまう傾向にある。それはそれで意義があるが、もともと売れていたタイトルも、かつてはルーキータイトルだったということを踏まえ、「独創性」という観点から賞を与えるのがゲームデザイナーズ大賞の存在意義だという。

 ゲームデザイナーズ大賞は、今年で11年目であり、これまで10作品が受賞しており、番組では歴代受賞作品が審査員のコメントともに紹介された。これまで『HEAVY RAIN -心の軋むとき -』『風ノ旅ビト』『ブラザーズ 2人の息子の物語』『Ingress』『Life Is Strange』『INSIDE』『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』などが受賞している。

審査員がポイントを自由に配分して決定

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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)
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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)
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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)

 続けて桜井氏は審査する手順を説明。各審査員は10ポイント持っており、それぞれ評価するタイトルに自由に配点する。集計した上位4~5タイトルを第2次審査を実施。そのなかで知らないタイトルがあると、あらためて試遊したうえで10ポイントを配点をするという。

 なお審査員は、飯田和敏氏、イシイジロウ氏、小川陽二郎氏、神谷英樹氏、小高和剛氏、桜井政博氏、巧舟氏、外山圭一郎氏、宮崎英高氏、ヨコオタロウ氏となる。

 今回、受賞したのは『Baba Is You』だが、最終選考には『十三機兵防衛圏』、『グノーシア』、『Outer Wilds』がノミネートに残ったという。記事執筆時点では、一部の審査員はTwitterで自分がどのタイトルに配点したのかを言及しており、ヨコオタロウ氏は『十三機兵防衛圏』、『さよならワイルドハーツ』、小高和剛氏は『十三機兵防衛圏』、『グノーシア』、『Outer Wilds』に配点したという。

桜井氏による『Baba Is You』ゲーム実況。その魅力を紹介

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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)

 最後には桜井氏から『Baba Is You』のゲーム実況が行われた。このゲームはいわゆるパズルゲームだが、そのパズルのルールを変えてしまえることが独創性に繋がっていると説明。

 ゲーム画面には「BABA IS YOU」、「FLAG IS WIN」、「WALL IS STOP」、「ROCK IS PUSH」と名詞と形容詞のブロックがそれぞれ表示されている。BABAはプレイヤーが最初に操作する白いキャラクター。そしてFLAGとは地面に立っている旗だ。このFLAGに到達すると、ステージのクリアになる。壁には移動できず、岩は押すことができる。

 このゲームの最大の特徴は、名詞と形容詞のブロックを変えることによって、その条件すら変えることができることだ。たとえば「WALL IS STOP」を「WALL IS YOU」にするとプレイヤーキャラクターは「壁」になる。こうしてクリア条件やプレイヤーキャラクターの概念すら変えながら、ゲームを進めて行く。

 桜井氏は「プログラムを組んでいると、こういう不思議な現象がときどき起きる。そういうのを上手くゲームに消化している遊びだと思う」と感想を述べている。「色々なとんちが必要なゲームで、ひらめきがあるときはとても嬉しい作品になっているので、ぜひ遊んでみて欲しい」とのこと。

「ゲームデザイナーズ大賞をやめようと思っていた」

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(画像はYouTube「日本ゲーム大賞2020 年間作品部門「発表イベント」1日目」より)

 最後に桜井氏は、11年続いてきたゲームデザイナーズ大賞をやめようと思っていたという。「斬新なゲームを賞してあげるよりも、我々が作ればいいと言われたら終わり」として、各ゲームクリエイターに審査員にお願いすることが苦痛だったという。

 しかしゲームデザイナーズ大賞について他の審査員から桜井氏が聴取してみると、桜井氏の予想に反して「ここでやめるのはもったいない」という意見が相次いだという。日本ゲーム大賞が持つ問題点に対して、ひとつの解決策となるゲームデザイナーズ大賞という違った評価軸を持っているのは成功していると判断している人が多かったとのこと。こうして今後も継続することにしたという。

 ただ桜井氏もプレゼンを行う自身の後継者を探しており、「ゲームを広くプレイしており、どのようなゲームがきてもプレゼンができる。作品から個性が見えるようなゲームクリエイター」がうってつけとして、「プレゼンターの後継者は誰かいないですかね?」と最後に問い掛けた。

 このほかにも、各賞の発表時には、開発陣からビデオレターやメッセージが流れ受賞に感謝をした。『あつまれ どうぶつの森』ディレクターの京極あや氏、『ポケットモンスター ソード・シールド』ディレクター大森滋氏、『ドラゴンクエストウォーク』の堀井雄二氏などがメッセージを寄せているので、ぜひ放送を確かめてみて欲しい。

以下、各賞の受賞理由となる。

■経済産業大臣賞
・『あつまれ どうぶつの森』開発チーム
現実と同じ時間が流れる、プレイヤーそれぞれの無人島で、自由気ままな毎日を過ごす本作。虫捕り、魚釣り、住民との交流、多岐にわたるアイテムの収集、島のデザインなど、楽しみかたは人それぞれ。SNSにおける情報発信・情報交換も活発で、さまざまな人の島に遊びに行くきっかけにもなるなど、プレイヤー同士のコミュニケーションも盛り上がりました。

また、インフルエンサーや著名人がユーザーとして主催するイベントに多くの注目が集まるなど、ユーザー自らが発信する情報を起点とするコミュニケーションにより、国内のみならず世界中で社会現象と呼べるほどのムーブメントに発展。本作をきっかけに、久しぶりに据え置き型ゲーム機でのプレイを再開したユーザー、さらには初めて据え置き型ゲーム機を購入したという声も多く、「Nintendo Switch」本体の販売数も大きく伸ばすと共に、携帯専用の「Nintendo Switch Lite」は、ソフト同時発売となった新色の『コーラル』を中心に、多くの女性客にも受け入れられ、今も人気が続くなど、ゲームユーザーの裾野を大きく拡大しました。

更には、自分だけの衣装などをデザインして、オンライン上でプレイヤーに公開できるゲーム内機能「マイデザイン」を、実在する様々なブランド・企業が活用。海外の有名美術館が所蔵品をアイテム化し、データを提供するなど、他分野のファンからも注目を集めた点なども含め、当産業の発展に大きく貢献され、本年度の経済産業大臣賞に決まりました。

■ベストセールス賞
■グローバル賞 日本作品部門
・『ポケットモンスター ソード・シールド』
「ポケットモンスター」シリーズ最新作である本作品は、広大な「ガラル地方」を舞台に、数々の新ポケモンが登場。新たなバトルシステムや数々の新機能で、新作を待ち望んだ多くのユーザーの期待に見事にこたえ、2019年11月15日の発売以来、対象期間中の最多販売本数を記録し、見事「ベストセールス賞」受賞となりました。また、日本のみならず海外市場でも多くのファンからの支持が寄せられたことを受け、「グローバル賞 日本作品部門」のダブル受賞となりました。

■グローバル賞 海外作品部門
・『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』
「コール オブ デューティ」シリーズの最新作である本作品は、ゲーム史に残る「モダン・ウォーフェア」3部作を2019年の社会情勢に合わせて再構築した作品。最大100人が参戦可能なマルチプレイヤーには多様な対戦モードを用意、現代戦の様相を見事に再現したギミックの数々。迫真の戦場で繰り広げられる白熱の戦いを描いたミリタリーFPSとして、世界中のファンから熱狂的な支持を受け、本年の「グローバル賞 海外作品部門」を受賞しました。

■特別賞
『ドラゴンクエストウォーク』
国民的大人気を誇る「ドラゴンクエスト」の位置情報RPG作品。本作品は、歩くことでストーリーを進めたり、モンスターを倒してキャラクターを成長させるなどドラクエの冒険を現実の世界で楽しめます。各都道府県のランドマークでクエストを受けると手に入るお土産や、各地方を制覇することで、特別な家具が手に入るなど、日本全体をドラクエのフィールドに。またウォークモードでは、画面を操作することなく、自動で近くにいるモンスターと戦ってくれるなど、スマートフォンアプリならではのゲームの新たな楽しみ方が選考委員会で評価され、日本ゲーム大賞2020「特別賞」を受賞しました。

■ゲームデザイナーズ大賞(審査委員長である桜井政博氏からの受賞理由)
『Baba is You』
プレイヤーキャラは歩けるもの。敵は触れてはいけないもの。カベは止まるもの。水は泳ぐか沈むもの。ゴールは困難の先にあるもの。そうしたゲームでは常識、当たり前の世界にある法則をガラリと変えながら進めるパズルゲームです。ゲームのプログラムなどをしていると、間違えた役割を与えてしまうことで、思いがけない結果を生むことがあります。そのような常識からの解放や、それに伴う可笑しさを感じさせるゲームデザインが素晴らしく、文句なしで本大賞に選抜されました。

ライター/福山幸司

ライター
日本ゲーム大賞のゲームデザイナーズ大賞を『Baba Is You』が受賞、桜井政博氏が実際に実況プレイをしながらその魅力を解説_007
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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