4月20日に公開されたSteamのベータ版アップデートの「2万5000本以上ゲームを持っている場合、(Steamが)クラッシュする可能性を修正」という内容が話題となっている。はたしてどれほどのユーザーが影響を受けるか分からないアップデートが公開されたことを、海外メディアKotakuなどが報じている。
記事執筆時点で、Steamには約5万2000本のゲームが販売されている。Steamライブラリに登録できるのはソフトウェアや動画も含まれるため、それらを含めると約5万4000本となる。DLCも含めると、約8万本とかなりの量だ。今回のアップデートで修正されたクラッシュが起きるのが、Steamライブラリに名前が登録されるゲームやソフトウェアだけの本数なのか、それともDLCを含めた数なのかは不明。
このアップデートで影響を受けるユーザーは、Steamユーザーの公開情報を集める外部サイトSteam Ladderによると、たった3人しかいない。ただし、これらはDLCも含めた数だ。ゲーム本体の所有数は2万5000本に届いてない場合もあるので、本当にアップデートで影響を受けているかはわからない。
Steamにはコミュニティ活動を活発化させるため、ユーザーの行動に応じてバッジを与えるシステムがある。その中には、ゲームの所有数を称賛するための「ゲームコレクター」バッジも存在。所有数1本からバッジがもらえ、一定の本数ごとに新しいバッジが与えられる。
あるユーザーがゲームコレクターバッジの種類を調査したところ、現在までに「25k+」、つまり2万5000本以上ゲームを持っているユーザーに与えられるバッジまでが確認されている。「25k+」バッジの存在が公になったのは2018年のようで、あるRedditユーザーが「新しいゲームコレクターバッジ!」として掲示板に報告。スレッドでは、ゲームを2万本以上持っているユーザーは当時まだいなかったことなどが議論されていた。
Steamの情報を収集する外部統計サイトSteam DBでは、ゲームコレクターバッジに関する統計も取っている。それによると、Steamでもっともゲームを持っているユーザーのゲーム所持数は、2万4999本。まだ25k+バッジを所有しているユーザーはいないということになる。
少なくともSteamを運営するValveでは2万5000本のゲームを持つユーザーがいる、あるいはこれから現れることを把握しているのは間違いない。自動生成なのかもしれないが、確かにバッジは25k+まで用意されている。
なお、これら外部サイトでの統計は、プライバシー設定で情報を公開する設定にしているユーザーに限られていることに注意が必要だ。非公開設定にしていれば他人からは見ることができない。そのため実際には、予想以上に多くのユーザーが水面下で影響を受けている可能性は否定できない。
これほどまでにゲームを所有するユーザーというのはどのような人々なのだろうか。ゲーム所持本数トップクラスのユーザーの中に、メディア関係者と思われる名前が見られる。メディアやプレスのアカウントであれば、さまざまなゲームを所有している可能性はある。
このニュースを報じたKotakuもSteamアカウントを持っていることを明かしている。ただし、2万5000本ものゲームは登録されていないという。同様に、企業がSteamアカウントを公開している例はほとんどないだろう。そうした非公開アカウントからこのバグが報告され、Valveが対応したのかもしれない。
Steamの登録ゲーム数は2014年頃からうなぎ登りとなり、2020年には新作ゲームは1万本以上リリースされた。途中で販売が停止されたものも少なくないが、現在ストアで買えるゲームをすべて買うと60万ドル(約6500万円)を超えると試算されている。
はたしてどれほどのユーザーがこのアップデートの影響を受けたかは分からないが、「25k」コレクターバッジへの障害はこれでなくなったといえるだろう。
ライター/古嶋誉幸