映画芸術科学アカデミーは「第93回アカデミー賞」で、一人称視点シューティングゲーム『メダル・オブ・オナー:アバブ&ビヨンド』のために撮影されたドキュメンタリー映画『コレット』をアカデミー短編ドキュメンタリー賞を授与すると発表した。
It's official! #Oscars pic.twitter.com/4kSVAYMveq
— The Academy (@TheAcademy) April 26, 2021
『コレット』は24分の短編ドキュメンタリー。強制収容所で兄を殺されたことがある現在90歳を超えるコレット・マリン=キャサリンさんにフォーカスをあてた作品。レジスタンスに所属していたこともあるコレットさんは、戦後74年間、ドイツを訪れるのを拒否していたが、歴史を学ぶ学生・ルーシーさんと出会うことにより心境が変化していく作品。
本作はもともとOculus Rift、SteamVR向けなどVR専用タイトルとして昨年12月に発売したFPS『メダル・オブ・オナー:アバブ&ビヨンド』用に撮影されたドキュメンタリーだ。
ゲームでは、8人の生き残った退役軍人に関する短いドキュメンタリーがいくつか収録されており、ゲームを進めて行くと視聴が可能となる。このドキュメンタリーは退役軍人を支援する非営利団体「Honor Flight」と、ゲームを開発したRespawn Entertainmentが共同して制作したもので、退役軍人を実際に戦闘や悲劇があった場所に連れて行き、そこで何が起こったのかを証言してもらうという内容となっている。
Respawn Entertainmentといえば、『タイタンフォール』や『Apex Legends』で知られる会社だが、このドキュメンタリーにも深く関わっており、ゲームディレクターのピーター・ヒルシュマン氏とスタジオ代表のビンス・ザンペッラ氏がが製作総指揮を務めている。
We're over the moon about Colette's Best Documentary (Short Subject) #Oscars win tonight! From Vince, Peter, and all of us at Respawn, we are humbled and honored. Thank you.
— Respawn (@Respawn) April 26, 2021
And if you haven't seen the film, you can watch it for free here: https://t.co/CxwNGWMOXv
HAPPY BIRTHDAY COLETTE!
— Colette – Documentary Short (@ColetteDocShort) April 26, 2021
What a wonderful coincidence that Colette’s birthday falls on the same day as the 93rd #Oscars… and even more magical that both she and the event are the same age! Although she can’t be at the ceremony tonight she has still dressed for the occasion! pic.twitter.com/eSPmBzTZph
今回の受賞に対してRespawn Entertainmentは、「今夜のアカデミー賞で、『コレット』が最優秀ドキュメンタリー賞(短編部門)を受賞したことを大変喜んでいます。ヴィンス、ピーター、そしてRespawnの全員から、身の引き締まる思いであり、光栄に思います。ありがとうございます」と喜びのコメントをツイート。また受賞日の今日、コレットさんはちょうど誕生日を迎えたという。
日本語字幕はついていないものの、本作はイギリスの大手メディア「ガーディアン」が観客から寄付を募る形でYouTubeにて無料公開をしている。ゲーム本編を持っていない人でも視聴できるので、英語がわかる人は視聴してみて欲しい。視聴した人からは「感動的で尊厳がある作品」、「涙がとまらなかった」、「心が痛いが、なんて力強い女性なんだ」といった賞賛の声が寄せられている。
ゲーム会社が制作したドキュメンタリーがアカデミー賞を受賞するのは異例のことで、映画、ゲーム史に残る快挙といえそうだ。