Steamにて奇妙な無料ゲーム『Chair Simulator』がリリースされた。イスシミュレーターだ。開発したのはニューヨークのブルックリンに拠点を置くアート集団、ファッションデザイナー集団、あるいはバイラルマーケティング会社MSCHFだ。
『Chair Simulator』は、クリックしないクリッカー型のゲームだ、という説明がもっともわかりやすいように思う。プレイヤーは14人の「プロ座りer」からひとりを選び、部屋を歩いてイスに座り、座っている間に「チェアポイント」を稼ぐ。稼いだチェアポイントで新しいイスを買うのだ。
イスの種類は100種以上。家のドアを出ると、IKEAっぽいお店にたどり着く。ゲーミングチェアや高級チェア、トイレなど無数のイスが設置されているので、チェアポイントを消費して購入し家に持ち帰る。
単純作業で資金を集め、新しいアイテムでさらに資金を増やすという行為はクリッカーゲームに似ているが、前述の通りクリックをしてお金を稼ぐことはできない。座った時間だけがポイントを稼ぐ唯一の手段のようだ。
ならば座ったままずっと放置しておけばいい気がするが、画面上部には「お尻の痛みゲージ」が鎮座している。これは椅子に座った不快感を表しており、座っていくと増えていく。ゲージが伸びるごとに稼げるチェアポイントが減るなどのバッドステータスが付与され、最終的には死亡してしまう。死亡するとすべての所持金やイス、レベルなどは失われてしまう。
ゲームを開発したMSCHFは、一定期間ごとに何らかの製品を作るアイデア集団だ。かつてはほかの会社の広告を制作していたが、現在は自分たちの手だけで何かを作り続けている。例えば、赤いボタンを押すとほかのユーザーにボタンを押したことが伝わるだけのSNS「Push Party」や、ナイキとコラボしてエアマックス97に聖書の一節やヨルダン川からくんだという祝福された聖水をソール部分に詰めた「ジーザス・スニーカー」(約26万円)など、作るものはゲームだけにとらわれない。
単純な内容のため「ぜひ遊んでみてほしい」とは言いにくい『Chair Simulator』は、Steamにて無料で配信中。バーチャルチェアに座ってみたい方は、試しにプレイしてみてはいかがだろうか。