『フォールアウト4』でプレイヤーのお供犬として登場した「ドッグミート」のモデルとなったジャーマンシェパードのリバーが息を引き取ったことを、ゲームの開発にも携わったジョエル・バージェス氏が伝えた。リバーの飼い主は氏の妻ミシェル氏だ。
氏は、リバーとの思い出を語るスレッドをツイッターに投稿している。
I said goodbye today to River, who most of you know as Fallout 4’s Dogmeat.
— Joel Burgess (@JoelBurgess) June 27, 2021
Heartbroken doesn't cover it, but I won’t eulogize her here. For twitter, I thought it'd be appropriate to look back at her impact on that game.
(plus, writing about game dev hurts less than grieving) pic.twitter.com/ayN1Vd6oqQ
「ドッグミート」は『フォールアウト』シリーズの多くの作品に登場する主人公の仲間だ。作品によって犬種やできることが異なる。
バージェス氏によると、ドッグミートは戦闘にも参加するため、『フォールアウト4』では映画撮影や警察犬として訓練された犬を研究しようとしていた。ドッグミートはある意味、単なる武器のひとつとして考えられていた。
しかし、結局モデルにしたのはミシェル氏の飼っているメスのジャーマンシェパード、リバーだった。
So good! #Fallout4 #artteamisamazing #lookatthoseeyebrows pic.twitter.com/k3YEREugOv
— Michelle Burgess (@MichelleBurgess) July 8, 2015
リバーは開発スタジオに何度もやってきては開発チームと一緒に会議に出席し、一緒に過ごすことが多くなった。絆を深めるうちに、ドッグミートという「武器」は次第にキャラクターを獲得し、彼らの友達となっていった。
海外メディアGame Spotは『フォールアウト4』のドッグミートの舞台裏として、リバーがどのようにゲームのドッグミートに影響を与えたかを伝えている。見た目はもちろんのこと、しぐさや鳴き声もリバーからとられている。
ドッグミートのデザインの中でもっともつらかったのは、「苦痛」の鳴き声の収録だったという。苦渋の思いでリバーをスタッフたちから引き離し、彼女が鳴き声を上げるまで別室で待機した。
リバーと過ごすことは、ドッグミートのAIにも影響を与えている。開発者らと一緒に散歩する間、彼女は「常に開発者の方を振り返り、彼らの位置を確認した」ことに気がついた。ゲームの中でのしぐさは、こうした彼女の普段の行いが数多く取り入れられている。
敵を攻撃するよりもプレイヤーを守ることを優先するドッグミートの専用AIも、彼女とのふれあいの中でできあがったものだ。
こうした緻密なデザインにより、ドッグミートはCWテレビジョンネットワークのワールドドッグアワード2015を獲得した。
バージェス氏は、『フォールアウト4』でのドッグミートの役割を、「プレイヤーとゲームの架け橋」であると語っている。スーパーミュータントやアンドロイドなど奇妙なキャラクターでいっぱいのゲームにおいて、ドッグミートは現実にいる犬そのもののように振る舞う。常にプレイヤーのそばにいて、家族の元に導く。
なにも奇妙なところがないからこそ、プレイヤーはゲームの世界を現実の延長として受け入れられるということだろう。
バージェス氏は、これは言い換えれば「プレイヤーを愛する」ということだという。