Unityは、シネマティック技術デモ「Enemies」を公開した。高度な「血流や髪のシミュレーション」を採用し、「顔の産毛」、「シワ」などが表現された、リアルタイムCGのデモンストレーションとなる。
「Enemies」は、Unityが買収したWeta Digital社とZiva Dynamics社の技術を統合した「Unity 2022」による技術デモだ。
Weta Digital社は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『猿の惑星:創世記』などで視覚効果を担当したVFX会社で、Ziva Dynamics社は映画『ゴジラvsコング』やゲーム『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』でツールが使われたソフトウェア会社である。
今回、発表された「Enemies」は、40代の女性がチェスをしているもので、一見すると実写にしか見えないがCGで作られているという。
とくに注目となっているのが、非常に細い毛束が表現されている「髪のシミュレーション」。どのような光の状態でも、パラメータを変更することなく素晴らしいビジュアル効果を発揮するそうだ。
この技術をユーザーが使用するには、Unity 2022.2.0f1以降が必要で、2022年第2四半期に最初のバージョンがリリースされる予定とのこと。まずはGitHubで公開し、正式サポートされる前にフィードバックを集めて、アップデートを行うとのこと。
また、もうひとつ革新的な技術として公表されているのが、「デジタルヒューマン技術」だ。肌が薄いほど透明感が増し、動きや話し方の際の「血流」が肌に影響を与えるため、それらを反映する「テンションテクノロジー」を開発した。
スキンアタッチメントシステムをGPUに移行し、高密度メッシュ(顔の産毛)が可能になっており、虹彩にコースティクスを適用してよりリアルな目を表現している。さらにフェイシャルリグを必要とせず、血流シミュレーションやシワのマップを実現している。
これらはすでに公開されていた「The Heretic」の技術パッケージをさらに発展させたものとなっている。「The Heretic」で共有したバージョンからのアップデートと機能強化を含んだ「Digital Human 2.0パッケージ」が1~2ヶ月後にリリースする予定だ。
なお今回の「Enemies」は、AAAではない小規模な開発チームでもハイエンドのビジュアル品質を実現できるというUnityの想いが込められている。
YouTubeでは、4K画質に対応した映像が公開されているので、高画質でその驚異のCG技術を確かめてみてはいかがだろうか。また「Enemies」のさらなる詳細は公式サイトを確認してみて欲しい。