『The Elder Scrolls』シリーズをプレイしたことがあれば、巨大なカニである「マッドクラブ」(Mudcrab)の存在を知っているプレイヤーは多いだろう。現実世界の何倍ものサイズで群れを成して動き、ときにプレイヤーの想像を超えるほどのダメージを与えてくる。もし純粋無垢な子どものころに何度も出会っていたら、トラウマになるかもしれない存在だ。
しかし、とあるMod制作者はそんな「マッドクラブ」の恐怖から自分の子どもたちを守るため、電撃を放つネコが一緒に冒険してくれるMod「Stripes the Cat」をわざわざ制作したことがあったという。そんな優しいエピソードが海外メディアRock, Paper, Shotgunにて報じられ、ひそかに注目を集めている。
このエピソードはビデオゲームのModに関するアーカイブ情報をキュレーションするブログ「readme.txt」で5月5日に伝えられたものだ。「Companionable Cats」という既存のネコModをベースに作られており、これを導入することで縞々のネコを連れて冒険できるようになる。
公開されている映像からもわかるようにしっかりと戦闘もこなせるコンパニオンで、ネコは体の毛玉から静電気を発生させ、電気の魔法によって「マッドクラブ」を一掃することができる。巨大なカニの群れが次々とネコに撃退されていく様子はかなりシュールな光景だ。
このMod「Stripes the Cat 」は一見するとただの雷を放つシマネコでしかないが、注目を集めたのはModのreadmeファイルやModページに記載された制作エピソードだ。
制作者によれば、このModは自分の子どもたちが小さいころに作ったものだそうだという。子どもたちは『TES III: Morrowind』を遊ぶのが好きだったもののマッドクラブを怖がっていたそうで、そのためにネコの仲間を作ったという。
しかもこのネコは制作者の家族が飼っているネコがモデルにされているようで、文章ではこのネコが迷いネコであったことや、イヌの散歩のときにリードがなくてもピッタリついてきてくれることなどが紹介されている。Mod版のネコもピッタリと主人公についていくことから、「このModはそういう意味ではかなりリアル」とも紹介されている。
なお電撃を放つ理由については、このネコは“小さな毛玉“なので、静電気を集めることで攻撃しているのだという。子どもたちを守るために生まれた電気使いのネコ。こんな不思議な生物が生まれるのもMod文化が盛んな『The Elder Scrolls』シリーズならではなのだろう。