海の向こうから聴こえる音と交信するゲーム『わだつみのこだま』が無料で公開。手描きのイラストの世界で織りなす「遊ぶ」アンビエントミュージック

 個人ゲーム開発者のむじ氏たらひろ氏、作曲家の二宮裕司氏は5月12日、短編のアドベンチャーゲーム『わだつみのこだま』を公開した。

 配信プラットフォームはUnityで作成されたゲームを無料で遊べるウェブサイト「Unityroom」となっており、ブラウザ上で無料でプレイ可能だ。

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 『わだつみのこだま』は人気のない小さな無人島を舞台に、海の向こうから鳴り響く音へ返答するアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは島に降り立つひとりの少年として、遠くから響く正体の音が正体不明なまま、近しい音色と音程の音で返事をしていく。

 音へ返事するためには、島を探索して楽器に鳴りうるガラクタや漂着物を集める必要がある。楽器を獲得したら、定期的に海の向こうから鳴る音を参照し、灯台に登って返事をしよう。成功すればまた新しい音が鳴り響く。

 中には複数のアイテムを組み合わせて楽器を作る必要があるため、ゲーム性としてはパズルゲームのような手触りも味わえるだろう。

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 本作のクリアに要するのは10分から20分ほどの時間だ。というのも、本作はUnityroomの企画「 Unity1週間ゲームジャム」に際して制作された作品であり、むじ氏のTwitterによると、制作期間はわずか11日間だという。

 本作は前述の海の向こうから聞こえる音に返答す返答すべくアイテムを探すシンプルな設計であり、作品としてはかなりミニマルだ。しかしながら手書きの線画を想起させるタッチと統一された暖かい色彩で描かれるアートワークやアニメーションには目を見張るクオリティがあるだろう。

 プレイヤーの入力によって手書き風のイラストが動く光景は『カップヘッド 』に見られるようなアニメーション作品をゲームとしてプレイする感触を味わえる。

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 また、特筆すべきは本作の「音」の体験だ。本作のゲーム内で発生する音は、海岸の波の音や海上を飛ぶカモメの声で構成された無人島のサウンドスケープに、海の向こうから聴こえるサイン派の様に柔らかい音色、プレイヤーが移動する際に発生する足音のフォーリーが中心となる。

 ゲーム序盤の海の向こうから聴こえる音は簡単な漂着物から発せられる単音であり、島を歩きながら交わり切らない心地よい「音」を聞いている感覚を覚える。

 いっぽうで、海の向こうから聴こえる音はゲームを進行する度に音数と音色が増える設計となっており、島の探索中に聴こえる音は環境音の様な感触から音楽作品に近い感触を獲得していく。

 ひとつの単音のみでは「音」でしかないが、それが特定の仕組みで連続する時「音楽」になる。いわば本作の島を探索し漂流物やガラクタを集める行為は、ピアノの鍵盤を叩くことやリコーダーの穴を塞ぎ息を吹きかける行為と同義であり、10分から20分の短いゲームプレイは、ゆっくりと時間を掛けた演奏なのだ。

 音を介した交信を重ねて奏でられる音楽は、他者と交信すること自体の根本的な喜びに気付かせてくれるだろう。短時間かつブラウザ上で簡単にプレイできるため、興味がある読者はぜひ実際にプレイしてみよう。

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 本作の開発を手掛けるゲーム開発者のむじ氏は本作のほか、宇宙船の不時着により夜の静かな郊外へ辿り着き、街の限られた灯りを頼りに進行する横スクロール型のドット絵ナゾ解きADV『Recolit』を開発中だ。
 
 『Recolit』は、hako生活氏が手掛ける『アンリアルライフ』を擁するroom6のインディーゲームレーベル「ヨカゼ」の作品にもなっており、情緒のあるゲームが好きな読者はitch.ioの体験版むじ氏のTwitterをチェックして発売に備えよう。

ライター
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。
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