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批判が殺到したUnityの新料金システム「Unity Runtime Fee」が問題点を修正したポリシーへ正式に変更。小/中規模デベロッパーへの不当な請求やプライバシーの問題が解消された

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 Unityは9月26日、先日より多くのデベロッパーに混乱を招いていた新たな料金システム「Unity Runtime Fee」に関して、正式に変更したポリシーを公式ブログにて発表した。

 変更された適用基準は以下の通りとなる。

Runtime Feeは、以下の条件をすべて満たす場合にのみ適用されます。

●Unity Pro または Unity Enterprise プランで制作されたゲーム。
●2024年以降にリリースされる次の Unity LTS バージョンを使用したプロジェクト。
●過去12ヶ月間の総売上高と資金調達額が100万米ドル以上でかつ、新規ユーザー数が100万人以上のゲーム。

 「Unity Runtime Fee」は9月13日に発表された新たな料金システムだ。本システムは事前にデベロッパーへの周知などなく突如として発表され、累計のインストール数と年間の収益の基準を超えた作品を対象に、インストール数に応じた支払いをデベロッパーへ求める制度となっている。

 本システムは料金に関する唐突な利用規約の変更を伴っており、インストール数の検出が不明であることや、2024年1月からスタートすること、体験版や基本無料でのゲームの提供が困難になる可能性があることなど、さまざまな問題点を抱えているため批判が殺到していた。

 本規約が発表された際には、『Cult of the Lamb』や『Darkest Dungeon』『Slay the Spire』といった著名なインディーゲームのデベロッパーがSNS上で抗議文を投稿。Unity社内での殺害予告や同社CEOによる発表前の株式の売却などが国内外で報じられ、大混乱を招いた。

 この抗議を受けて、9月23日にUnityは公式サイトにて、Unityエンジン利用者への謝罪と、物議を醸した問題点を修正する「Unity Runtime Fee」の修正案を発表した。そして、このたび正式に変更されたポリシーが公開されたかたちとなっている。

 また、本発表に際して個人や中小企業向けのプランであるUnity Personalは、同ライセンスの収益上限を10万米ドルから20万米ドルに引き上げられており、上位プランであるUnity ProおよびUnity Enterprise利用者へ「Runtime Fee」が適用される条件も公開されている。

 プランごとの適用条件は以下の通り

<Unity Personal – 無料>

●個人や中小企業開発者向けのプランである Unity Personal をご利用のお客様には、インストールに伴う Runtime Fee を請求しません。

●従来、10万米ドルだったUnity Personal ライセンスの収益上限を20万米ドルに引き上げ、Made with Unityスプラッシュ画面の使用義務を撤廃しました。

<Unity ProおよびEnterprise>

●2024年以降にリリースされる次の Unity LTS バージョンを使用したプロジェクトから Runtime Fee が適用されます。

●Unity の新バージョンへのアップグレードを選択しない限り、現在配信中のゲームや現在作業中のプロジェクトは含まれません。

●Runtime Feeは、対象となるゲームの月ごとの売上から最大2.5%の収益分配、または初回エンゲージメント数に基づいて算出された金額のいずれか低い方の請求になります。

 さらに、Runtime Feeは開発者側がデータを自己申告することで集計されるかたちとなる。データの集計に関しては収益分配、または初回ユーザーエンゲージメント数の集計を簡易化すべく、開発者やパートナーと協力してツールとプロセスを開発する予定だ。

 これらのポリシーの変更により、「Runtime Fee」は批判されていた“不当な値上げ”やユーザーのプライバシーを侵害する要素などが修正され、発表時にUnity側が掲げていた「事業規模の大きなユーザーに向けての値上げ」を現実的な設計で導入するものとなっているだろう。

 また、ポリシーを変更した「Runtime Fee」の詳細や、Unity Createのリーダーである Marc Whitten氏による説明が記載されたブログ記事も公開されている。

 Unityを利用したゲームや映像などを制作している方は、ぜひ公式ブログなどから詳細も確認されたい。

ライター
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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