個人ゲーム開発者であるNikita Kryukov氏は12月1日、人気の短編テキストアドベンチャーゲーム『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』をitch.ioにて無料配信を開始した。
無料での配信期間は12月9日までとなっており、通常の価格は1ドル(150円)となっている。
『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』は2020年にリリースされた精神の病を患う主人公の少女と、彼女のイマジナリーフレンドを描く短編のテキストアドベンチャーゲームだ。
『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』とその続編『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』の特徴は、主人公の少女が世界をアドベンチャーゲームの世界だと認識しており、プレイヤーが主人公ではなく「主人公のイマジナリーフレンド」として作中の物語に介入する点だ。
この設定によりプレイヤーは主人公の行動を直接規定することがなく、あくまでも彼女の助言を行うかたちとなっている。
『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』の物語は、主人公が母親に頼まれてミルクを買いに行き、自宅に帰るまでのミニマルな道のりを描く。一見シンプル過ぎる旅路であるが、主人公はとある出来事により世界への認知が歪んでおり、作中では異形の不気味な世界として現実が描写される。
アートワークは主人公の少女の認知に依拠したもので、彩度の低いピンクと赤、黒と三色のみを駆使した低解像度のグラフィックとなっている。訪れるスーパーや道中には不気味な存在やクリーチャーが出現し、「シンプルなおつかい」においても彼女が感じる恐怖と苦悩を追体験できるだろう。
本作を手掛けるNikita Kryukov氏はロシア出身の個人ゲーム開発者だ。主人公の少女の最後の一日を描く『this morning I decided to die』や超現実的な旅路を描く『q.u.q.』といったテキストアドベンチャーのパブリッシングを行ているほか、自身が手掛ける『Milk』シリーズやctc氏が開発する『this morning I decided to die』といった作品の音楽も手掛けている。
パブリッシングの活動を含めてNikita Kryukov氏が携わった各作品は国内のコアなインディーゲームファンから大きな人気を博しており、『Milk』シリーズはNintendo Switch版もリリースされている。
また、Nikita Kryukov氏は同氏のX(旧Twitter)アカウントにて、日本国内に移住し、日本語を勉強しつつ自身の「ベストゲーム」となる新作を開発中であると投稿している。
今日から日本に住んだり、日本語学校で勉強したりする (国で日本語11月から習った)。新しいゲームを作るから、ここに来た。このゲームは私のベストゲームになる!
— NIkita Kryukov (@nkt_krkv) March 31, 2023
日本語が上手になってから、話そうか。 pic.twitter.com/xcdKWqzNHp
同氏の今後の活躍にも期待して止まない。