パブリッシャーの Forever Entertainmentは11月1日、個人ゲーム開発者のNikita Kryukov氏が手掛けるホラーノベルゲーム『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』(以下Milk 1)および続編である『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』(以下Milk 2)をNintendo Switch向けに発売した。
Nintendo Switch版は2作を同梱し、『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk and Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』というタイトルで販売されている。
価格は税込みで1000円となっており、11月11日の23時59分までは10%オフの900円(税込)で購入可能だ。
『Milk』シリーズの2作は、世界がアドベンチャーゲームだと認識している精神の病を患った少女と、彼女のイマジナリーフレンドを描くノベルゲームだ。
本作の最大の特徴は、プレイヤーが主人公ではなく、主人公のイマジナリーフレンドとしてゲームに介入する点。このメタ的な設定により、プレイヤーの選択肢は主人公の行動を規定することなく、会話の助言として機能することとなる。
実際のゲームプレイでは、ただ彼女に正論をぶつけるのみでは拒絶されてしまうため、彼女の心的疲労を考慮しながらコミュニケーションすることが重要だ。
なお『Milk 1』のローカライズはMohiMojito氏が、『Milk 2』はRina Watanabe氏と高橋温氏が担当。PC(Steam)版が日本語化された際には、ゲームの開発者であるNikita Kryukov氏は「日本のビジュアルノベルに刺激を受けていたため、自身の作品を日本語に翻訳できたことを光栄に思う」と感謝のコメントを投稿している。
『Milk 1』は主人公が母親に頼まれ、ミルクを買いに行き、自宅に帰るまでを描く。一見シンプル過ぎるシナリオだが、主人公はとある出来事をきっかけに世界の認知が歪んでいるため、異形の不気味な世界を冒険するような体験となっている。
『Milk 1』のビジュアルは彼女の認知に依拠して描かれ、荒いドットと赤と黒のアートスタイルを採用している。自宅には腕に注射を打ち込んでくる化け物が登場し、出先で出会う人々はいずれもクリーチャーと化している。
また、Nikita Kryukov氏はミュージシャンとしても活動しており、劇中では低ビットレートの音色を駆使したダークアンビエントや浮遊感のあるニューエイジ風エレクトロニカがBGMに採用されている。独特のビジュアルと音楽により、主人公の少女が感じる恐怖と不安に満ちた「おつかい」を追体験可能だ。
いっぽう、『Milk 2』は前作の最後のシーンから物語が描かれる。帰宅した主人公は、常用している薬を服用して床に就くが、就寝前に整理していた思考が蛍となって部屋中に散らばってしまった。そのため、本作では部屋中に散らばった思考を集めていくことになる。
ゲームシステムはポイント&クリック型のアドベンチャーゲームとなっており、多様なルート分岐も用意されている。分岐には、たどり着くのが困難なセリフや画像、シーンも存在。グラフィックは前作より解像度が高いドット絵となっており、ゲーム内の音楽もビットクラッシュしたチップチューン風の楽曲のみならず、ハイファイな楽曲も収録されている。
なお、Nintendo Switchを持っていない方は、PC(Steam)版でプレイ可能だ。いずれも比較的お手頃な価格となっているため、興味がある読者はぜひプレイしてみよう。