アメリカの映画やドラマ作品のアワード・ゴールデングローブ賞の第81回授賞式が1月8日に実施され、スタジオジブリが手掛けた『君たちはどう生きるか』がアニメーション章(Best Motion Picture – Animated)を受賞した。
『君たちはどう生きるか』は2023年の7月に国内で、12月8日より北米で上映を開始したアニメ映画だ。2013年に公開された『風立ちぬ』から約10年ぶりの宮崎駿監督作品であることや、公開前にはポスタービジュアルのみが公開されるプロモーション形式が話題を呼んだ。
興行収入に関しても国内、国外共に好調な興行収入を記録しており、日本経済新聞の報道によると北米ではタジオジブリのファンタジーアニメ映画において過去最高の記録を更新した作品となっている。
本作の物語は同名の作品である野源三郎が1937年に刊行した小説『君たちはどう生きるか』にインスパイアされたファンタジー冒険活劇となっており、太平洋戦争末期に母を亡くした富裕層の主人公・牧眞人(まひと)が「アオサギ」に誘われ迷い込んだ廃墟内の異世界を冒険する様が描かれる。
これまでの長編ジブリ作品と比較して抽象度が高く、同時に戦争というモチーフに伴うシリアスなテーマを精神世界のようなファンタジー世界で表現する作風が特徴だ。
作品の抽象性の高さから様々な読み口で解釈される作品となっているものの、長きにわたるキャリアを経て「ひとつの権威」となった宮崎駿氏がこれまでに描き提示してきた思想を改めて振り返り、再検討して主人公・牧眞人のような次の世代に伝える私小説的な作品として読み取れる物語であると言えるだろう。
ゴールデングローブ賞の第81回におけるアニメーション章のノミネート作品は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『マイ・エレメント』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ウィッシュ』『すずめの戸締まり』となっていた。
また、『君たちはどう生きるか』ノミネートに関しては音楽賞に久石譲氏がノミネートされた。