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「どうしても南を向けない主人公」をAIとして北に連れていく短編アドベンチャーゲーム『TO:NORTH』が無料で公開。「南を向けない」システムによる“ゲームならではの物語表現”が魅力

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ゲームクリエイターの紅狐氏は1月21日、「南を向けない主人公を北へ導く」短編のアドベンチャーゲーム『TO:NORTH』itch.ioにて公開した。

本作はPCおよびスマートフォンのブラウザ上で無料でプレイ可能であり、すでにX(旧Twitter)などで話題を呼んでいる。

『TO:NORTH』は主人公を動かす「AIくん」となり、南を向くことが出来なくなってしまった主人公を北に位置する“ポラリス”と呼ばれる場所に導くアドベンチャーゲームだ。作中では基本的に「南」および「画面の下方向」に移動することが出来ないため、左右と上方向への移動を駆使し、道中のさまざまなオブジェクトをチェックしながら進行していく。

『TO NORTH』が無料で公開。「南を向けない」主人公を北に連れていくゲーム_001
(画像はTO:NORTH(日本語ver.) by realkeyより)

また、南を向くとネガポジが反転をしたような画面となり、「正体不明の影」が少しずつ接近してきたり、NPCの台詞が意味深な台詞に変わったり、はたまた見えなかったオブジェクトが出現するケースもある。これらの仕組みを理解しつつ、じっくりとプレイすれば本作をより楽しめるだろう。

本作はSF風の世界設定で開幕したかと思えば、ゲーム内で描かれる架空のゲームとして「北を目指すゲーム」の話題が出て「現代」を彷彿とさせる要素が垣間見えたり、主人公が彼の友人に纏わる事情を抱えていることがゲームを進めていくたびに伺えたりと、いわゆる“完全なSF”ではない不思議な世界が描かれる。

これらの不思議、あるいは違和感のある要素には物語の核となる事実が隠されている。さらに、本作では主人公の過去が明かされていくシナリオと「南に行けない」というゲームシステムが見事にマッチしており、結果的に「インタラクティブなゲームならではの表現」を達成している点が本作の大きな魅力となっているだろう。

開発においては「ゲームボーイ」風のビデオゲームに特化した開発ツール「GB Studio」が使用されており、グラフィックなどが象徴するようにミニマルだが雄弁な作品となっているはずだ。

本作を手掛ける紅狐氏は、4月6日に早期アクセス版として配信を開始した悪人の頭をお花畑にするアドベンチャーゲーム『MINDHACK』の開発にてメインシナリオや技術面を担当しているという。また、短編のゲームとしては「YESと言ってはいけない」無料の短編ゲーム『DON’T SAY YES』を公開しており、『TO:NORTH』が気に入った読者は『DON’T SAY YES』もぜひプレイして頂きたい。

このほかに、紅狐氏は小説作品『重機のキララ』、『ALEX THE UNDEAD』をウェブサイト上で公開している。同氏の作風にハマった方はこちらも要注目だ。

30分ほどで遊べるお手軽さと「ゲームならではのストーリーテリング」を両立した『TO:NORTH』。無料でサクッとプレイできるため、興味がある読者はぜひ本作をプレイしよう。

ライター
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。

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