中日新聞社は8月7日(水)、同社が企画した取材特集「語り続ける戦争遺跡」の“バーチャル展示室”をソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上で公開した。
「VRChat」はSteamのほかPICO Store、Meta Store、VIVEPORT、Google Play向けにダウンロード無料で配信中。今回の展示室はPC単体の「デスクトップモード」でも楽しめるほか、NTTのxR空間プラットフォーム「DOOR」を利用した Webブラウザ版も公開されている。
「語り続ける戦争遺跡」は、戦後80年近い進行によって解体・崩落の危険も発生しつつある中部地方の戦争遺跡を3Dスキャンし、テキストと動画の解説も交えて紹介するバーチャル展示室である。
発表によると、中日新聞社では2022年から、戦争遺跡のマップや動画・3Dスキャンの制作で風化が進む現状を記録に残してきた。今回の展示室では、ファイルサイズの問題で表示が難しかった大型の建造物も追加されており、ひとつの空間上で中部地方の各地に点在する戦争遺跡の記録を巡り、平和について考えられるよう構成されているという。
博物館・美術館などのバーチャル展示室はこれまでにも公開されており、直近では山形県天童市の広重美術館が浮世絵師・歌川広重の多彩な作品を紹介する「ミラバースミュージアム」の新館を2024年5月にオープンしている。
また、VRChatのコミュニティ内でも、中国語圏のユーザーが現地のインターネットミームを紹介するために制作したバーチャル博物館「中文梗博物馆v1․1 Chinese memes Museum[CN]」をオープンするなど、多彩な形式の展示室が随時公開されている。
中日新聞社の「語り続ける戦争遺跡」もそのひとつで、エンターテインメントだけに限らないVRChatの魅力と“学ぶ楽しさ”を感じられるものとなっているので、興味があればチェックしておくとよいだろう。
プレスリリースの全文は以下のとおり。
中日新聞社、VRChatに戦争遺跡の3Dモデルを展示するバーチャル空間を公開
終戦企画「語り続ける戦争遺跡」で記者が3Dスキャン
中日新聞社は、人気のVRSNSである「VRChat 」上に、終戦企画「語り続ける戦争遺跡」のワールド(バーチャル空間)を公開しました。現地でスキャンした戦争遺跡の3Dモデルを展示し、動画とテキストで解説します。各地にひっそりとたたずむ戦争遺跡と向き合うことで、平和について考える機会になれば幸いです。
「語り続ける戦争遺跡」とは
中日新聞社では、「語り続ける戦争遺跡」と題して2022年、2023年に中部地方各地の戦争遺跡を取材をしました。各地の戦争遺跡は風化が進み、解体や崩落の危険が迫るものもあります。また、戦後80年近く経ち、戦争体験者が減り、証言にスポットを当てた取材も難しくなってきました。
こうした背景から、カメラやスマートフォンを利用した3Dスキャンに記者が取り組んできました。
これまで中日新聞Web上などで公開してきた3Dモデルに加えて、今回はファイルサイズの問題で表示が難しかった大型建造物も追加し、展示の充実を図りました。戦争遺跡は中部各地に点在し、一日で見て回ることが難しいため、一つの空間で見て回れるようにして、それぞれの戦争遺跡をテキストと動画で解説しました。
VRChatとは
VRChatは2014年にリリースされたVRのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)です。ユーザー同士の交流はもちろん、自分自身の分身である「アバター」を自由に改造したり、「ワールド」と呼ばれるバーチャル空間も自由に作成したりして楽しんでいます。近年では、音楽フェスなど大型イベントがVRChat上で開催されることも珍しくなく、国内大手企業が独自のワールドを発表することも増えています。