更地郊氏による純文学小説『粉瘤息子都落ち択』(ふんりゅうむすこみやこおちたく)が、本日2月5日に単行本として刊行された。同作は第49回すばる文学賞の受賞作で、文芸誌すばる2025年11月号に掲載されていた。
主人公がカプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター6』のプレイヤーで、いわゆる「格ゲー用語」などが何の説明もなく本文中に登場するなど、純文学小説としてはかなり特異な存在。選考会での評価もまっぷたつに分かれたという。
同作の主人公は東京暮らしだが、元職場でのパワハラにより精神を病んで半ひきこもり状態に。田舎の父親が病気になったことを期に、実家に戻る「都落ち」することに決め、東京を去るまでの、最後の日々が描かれてゆく。
学生時代からの友人に「毎月10万円でスト6の対戦相手になって欲しい」という奇妙な依頼を受けて『スト6』をオンライン対戦し、近くの自販機でマウンテンデューを買うか、メンタルクリニックに通うだけの短い外出を繰り返す。
徹底的にうだつの上がらない日常だが、不思議なまぬけさの漂うおかしみのある筆致の文体が、物語に悲壮感をにじませず、逆にどこか開放感すら感じさせる。
著者の更地氏は本作の受賞時インタビューにて、新卒で入った会社がゲーム会社であったことや、過去に『アイマス』二次創作小説を書いたこと、自分自身も『スト6』の試合動画を見るような生活を送っていたことなども語っている。
