「ファミコンのカセット絵」から想像してゲームを開発。「私のファミカセ展」参考にジャケ買いならぬ“ジャケ作り”で116の作品が生みだされる

 今年の4月27日から東京の中野で開催された「私のファミカセ展2018」(以下、ファミカセ展)。このイベントはさまざまな職種のクリエイターが、架空のファミコンゲームのカセットをデザインする催しで、2005年に始まってから今年で14回目となる。今年は250名のクリエイターが集まり、過去最大規模の展示となった。

 そんなファミカセ展にインスパイアされた「A Game By Its Cover 2018」が開催された。ファミカセ展で展示されたさまざまなファミコンカセットからひとつを選び、カバーアートからイメージしたゲームを実際に作ってみようというというゲームジャムだ。ルールは期日までにゲームを公開するだけと単純で投票や賞もない。ビデオゲームだけでなく、ミュージックプレイヤーアナログゲームも出展されている。

※なお、今回のゲームジャムの運営はあくまで二次創作の範疇で楽しみ、少なくとも著作者の承諾無しに商業的なプロジェクトにしないように注意を呼びかけている。また、ファミカセの絵が着想点ではあるものの、すべての作品が忠実なファミコンソフトを意識したタイトルとなっているわけではない点にも注意したい。

 A Game By Its Cover 2018で公開された116本のゲームの中から、いくつかユニークな作品を紹介してみよう。

文/古嶋 誉幸


Mai-Chan’s Sweet Buns

(画像はわたしのファミカセ展より)
(画像は『Mai-Chan’s Sweet Buns』より)

 元となったカセットも可愛いが、ゲームもとても可愛らしい。パン屋のMai-Chanとなり、注文されたパンを売るパズルゲームだ

 画面下部のカードにはパンと必要個数が書かれており、指定されたパンを画面上部のトレーから選ぶというのが基本ルールとなる。また、同じパンが縦横どちらかに4つ並んだら画面左上の星がひとつ増え、星の個数によってカードの入れ替えやパンの消去ができる特別な能力を使える。
 パンが複数必要な場合は、うまく縦横にパンを並べなければならず、3マッチパズルとはまったく違ったゲームプレイとなっている。

 最初のパズルをクリアするとハードモードが登場し、売上金を使ってパンと新しい能力のアンロックができるなど、ゲームとしてもよく練られている。今回紹介するゲームの中でも1、2を争う面白いゲームだ。ブラウザから手軽にプレイできるのでぜひ遊んでみてほしい。

Wave

(画像はわたしのファミカセ展 | Waveより)
(画像は『wave』より)

 『Wave』は、可愛らしいドット絵で描かれた波乗りをするカエルが主人公のアクションゲームだ。後ろから迫る大波から逃げながら、できるだけ高い得点を目指す。スターを取るだけでなく、360度回転してトリックを決めることでもスコアが加算される。着地にも気を使わなければならず、うまく着地できなければそこでゲームオーバーだ。

 十字キー左右をだけの単純な操作だが、波から逃げるためにスピードアップを取り、スターを取りながらトリックを決めるカエルの姿は見ているだけでも面白い。

Bel & Poppy

(画像はわたしのファミカセ展より)
(画像は『Bel & Poppy』より)

 『Bel & Poppy』は小さな少女が主役の王道的な2Dアクションゲームだ。ねぼすけな主人公が光線銃を使ってトラップを回避しながら先に進む。ボタンを押してトラップを解除しながら進むのが基本的な流れになるが、なかなか意地の悪いトラップが用意されていて歯ごたえがある。

 特に楽しいのがこのゲームの設定だ。なぜ少女が冒険に出ているかは最初のレベルをクリアすると分かるようになっている。ぜひプレイして理由を確かめてみてほしい。

Dreamberry Island

(画像はわたしのファミカセ展より)
(画像は『Dreamberry Island』より)

 実際に見た夢を再現したという『Dreamberry Island』は、一人称視点のアドベンチャーゲームだ。島にある不思議なベリーを食べることでいくつかの夢を見る。ストーリーや戦いといった要素はなく、ただ島を歩き夢を見ることがゲームの目的となる。

 夢を元ネタにしただけあって、牛が跳ね回る夢やダンスフロアをただ歩くだけの夢といった奇妙なものが多い。だが、幻想的な色彩とローポリで描かれる夢はどこか不思議な魅力がある。

.GHOST

(画像は『Dreamberry Island』より)
(画像は『.GHOST』より)

 特徴的なグラフィックの『.GHOST』は、記憶を失った死者が主人公のサバイバルホラーゲームだ。マップには棘のあるクリスタルやモンスターが徘徊しており、攻撃手段を持たない主人公は逃げ回りながら先に進むためのアイテムを集める。マップには敵となる存在だけでなく、助言をしてくれるNPCもいる。彼らの話を聞きながら先へ進もう。

 ゲームは、寒気のするような暗い雰囲気と逃げ回ることしか出来ない主人公が恐怖心を煽ってくる。幽霊が主人公なだけにマップを自由に飛び回ることができ、アイテムを集めて道を切り開くゲームプレイはローグライクゲームを遊んでいるような感覚だ。
 雰囲気重視で説明も少ないが、ゲームオーバーはないので何度でも挑戦できる。たとえどのようなものであれ、無くした生前の記憶を取り戻すというハードな設定に見合うハードな難易度のゲームだ。


 2015年から始まった「A Game By Its Cover」も今年で4回目の開催となる。開催期間も1ヶ月以上と長く、賞や投票もない比較的参加しやすいゲームジャムのひとつだ。ゲームを作ってみたい、でもどんなゲームを作れば良いかわからないという人は、こういったゲームジャムでゲームカセットや他の作品からインスピレーションを貰うのも良いかもしれない。

文/古嶋 誉幸

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ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
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