日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th」が、京都市勧業館みやこめっせにて7月18日から20日まで開催中だ。同イベントは世界各国から集まったインディーゲームの試遊や、物販、ステージなどが楽しめるイベントとなっており、今回はその中から、実際に試遊した新作ゲームのレポートをお送りしていく。
今回お届けするのは、日本のKOHACHI STUDIOが手がける和風RPG『妖怪バスター ナビ之介』。本作は名作2Dアクション『メタルスラッグ』の開発チームが2000年代初頭に制作していた作品。
当時の開発チームはゲームを完成させていたものの、諸般の事情でお蔵入りになっていたという。そんな幻の作品が20数年の時を経て、ついに世に出るのだという。
というわけで、そんな本作を試遊してみたのだが……
うむ、やはり“メタスラ”チームのドット絵は、いいぞ。
ナースにちょんまげ、ロボなのに陰陽師……? 現代と時代劇風スタイルが入り交じるカオスな日本で展開する妖怪捕物
『妖怪バスター ナビ之介』は、見習いポンコツ陰陽師であるナビ之助が、妖怪がはびこる日本を巡り、各地の妖怪とバトルし、ときには仲間に加えながら、さまざまな事件を解決するというゲームだ。
ゲーム内の世界観は全体的に、コミカル&ごった煮な雰囲気。ナースの格好をした女性や車といった現代的なものが登場する一方、ちょんまげ姿のような古風な出で立ちのキャラも普通に出てくるなど、かなり混沌としている。
そもそも主人公からして、陰陽師と言いつつ、どう見てもロボである。
ロボの陰陽師……? いや、一体どんな設定やねん!
カオスな世界観に戸惑ってしまうが、それはさておき、やっぱりドット絵がめっちゃいい。メタスラチームらしいコミカルかつ高品質なドット絵のグラフィックは、思わず見入ってしまう。
この雰囲気、やっぱりいいなぁ。
ナビ之介は冒険を通じて妖怪を入手し、そのなかから「バトル妖怪」と「サポート妖怪」によるデッキを編成する。そしてシンボルエンカウントで遭遇した敵とバトルを繰り広げるのだ。
各妖怪は、“五行”のような5属性に分けられており、敵との相性が良ければ有利に展開できる。
また、基本的にバトルはオートで進行するが、任意のタイミングで「サポート妖怪」を呼び出すこともでき、それにより回復などの支援も行えた。
バトルに勝利すると、その妖怪を封印して仲間に加えられる。
それによりデッキを強化して、冒険をより有利に進められるわけだ。

順調にバトルを進め、最深部で待ち構えるボスの“キュウビ”と戦うことになったのだが……、
いや、でけえよ!
戦闘が始まった瞬間、あまりのサイズ差に思わず笑ってしまった。
ナビ之介の場所が「ココです」と書かれているけど、1ドットすら見えねぇ。
この手の仲間と一緒に冒険するゲームで、味方がまったく見えなくなることってあるのか……。
とまあ、そんなこともありつつ、どうにか無事にキュウビを撃破したところで試遊は終了。
ブースにいたスタッフにも話を聞いてみたが、本作はもともと、ゲームボーイアドバンス向けに開発され、完成までしていたが諸般の事情によりお蔵入りになっていたそうだ。それが20年以上経ってから、あらためてリリースされるという。
もちろん、20年前のゲーム環境は現代と全然違う。
解像度は小さいので、普通に画面を拡大させると、テキストの荒さが目立ってしまうのは想像に難くない。現在の開発チームは、これらの問題に対処し、UIなどを調整し、新作ゲームとして遊びやすいように改修している作業のまっただ中だそうだ。
それにしても、やっぱりメタスラチームのドット絵は、いい。
高度なドット絵の技術がコミカルなキャラクターにギュッと詰まっていて、ゲームを生き生きとさせている。開発から20年以上が経っても、その魅力はまったく色あせていないと感じた。
ちなみにBitSummitの会場には、今回筆者が体験した試遊版よりもボリュームが大幅に増した「たっぷり体験モード」も出展されていた。こちらはゲーム冒頭からガッツリ遊べる内容で、普通にプレイすると40分近く楽しめるそうだ。今回は取材時間の関係もあり、やむなく見送ることになったが、いずれデモ版などで公開されることに期待したい。