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e-sportsやガチャ問題はどこへ向かう? VR HMDはワイヤレス化? 2018年の発売ゲームやイベントを、5つのテーマに分けて予習してみる

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 読者の皆さま、あけましておめでとうございます。おかげさまで電ファミニコゲーマーは2度目の新年を迎えることができました。今年もどうぞよろしくお願いします(編集部一同)。

 さて、昨年12月31日に公開した記事では、過去1年間に掲載された電ファミ記事を通じ、編集長のTAITAIが2017年はどんな年だったかを振り返った。
 対して今年最初に掲載されるこの記事では、2018年の注目タイトルやイベントを調べ上げ、ゲーム業界のこれからの1年間の見通しを立ててみようと思う。
 国内外で発売されるゲームタイトルの動向は? 今年のスマートフォンやVRの行方は? そしてe-sportsはいったいどうなるのか? 2018年のゲームとゲーム業界の様相を、5つのテーマに絞って見ていきたい。

文/ishigenn


1.  問題を抱えつつ進むe-sportsでは国内外で新たな動きアリ

 今年2月10日から11日にかけて開催されるニコニコのイベント“闘会議”で、イベントに合わせてe-sports新団体よりプロライセンスが発行されることが昨年末に発表された。

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(画像は闘会議2018より)

 高額の賞金大会を開催するためにプロライセンスは必要とされる一方で、「本当に必要なのか」といった声や、ユーザー側からすると素性が不透明な新団体に対する懐疑的な声も多い。
 プロゲーマーでありプロゲーマー団体“忍ism”の代表であるももち氏も、この発表直後、「なぜ新設される予定の特定の団体に“プロを定義”する資格があるのか」と公式声明を出す事態となった。

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画像は忍ismのウェブサイトトップのスクリーンショット
(画像は株式会社 忍ism(シノビズム)より)

 このように、日本国内におけるe-sportsはコミュニティと運営を目論む側の歯車が上手く噛み合っておらず、まだまだ地に足がついていない状況が続いていると言えるだろう。

 そんなさまざまな動きや思惑を抱えつつ、2018年1月26日から28日には、東京・池袋と秋葉原にて“EVO Japan”が初開催される。このイベントは“EVO”と呼ばれる世界最大の格闘ゲーム大会“Evolution Championship Series”の日本出張版。

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画像はEVO Japan 2018のウェブサイトトップのスクリーンショット
(画像はEVO Japan 2018より)

 『ストリートファイターV』『鉄拳7』『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』といった種目ごとに、優勝者を決めるトーナメントが3日間にわたり繰り広げられることになる。
 このように日本最大規模のイベントとなる“EVO Japan”は、今後の国内格闘ゲームシーンの盛衰を占う一幕となるはずだ。

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1月17日には『ストリートファイターV アーケードエディション』が発売予定。シーズン1とシーズン2のキャラクターパスが収録されており、いまからプレイを始めるプレイヤーにはうってつけのパッケージとなっている。画像は『ストリートファイターV アーケードエディション』戦闘画面。
(画像はCAPCOM開発者ブログより)

 また世界に目を向けると、8月18日から9月2日にかけてはアジア版オリンピックとも称される、“アジア競技大会”が開催され、デモンストレーション種目としてe-sportsが披露されることになる。
 次回開催となる2022年大会では、なんと正式メダル種目として採用される予定で、実現すればe-sportsが陸上競技やフィジカルスポーツと居並ぶことに。

Artifact……人気MOBA作品『Dota 2』のカードゲーム化となる『Artifact』も2018年内に登場予定。『Hearthstone』から活況が続く対戦デジタルカードゲーム市場へValveが参入する

 2018年のデモンストレーションは、本番と言える2022年大会のテストとなるはずで、e-sportsが歴史あるスポーツ大会という場に集った人々の目に、どのように映し出されるのかが注目される。

2. 2018年も進化する国産ゲーム。Switchは有料サービス始動

 The Game AwardsでGame of the Yearを受賞した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を筆頭に、『ペルソナ5』『NieR: Automata』などの国産ゲームが世界で高い評価を浴びた2017年。
 続く2018年は、『二ノ国II レヴァナントキングダム』『モンスターハンター:ワールド』といった春の国産ゲームラッシュでスタートする。

 それ以降も、年内発売予定として名を連ねているタイトルには、『キングダムハーツIII』『エースコンバット7』『シェンムーIII』などが存在。
 昨年の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が過去作からの一新を図って大成功を収めたように、これら今年発売されるシリーズIPの最新作たちも、やはり新たな基軸を盛り込んだり、テクノロジーによって過去作からの進化を遂げたりしようとしている。

たとえば近年、RPGやアクションゲームではオープンワールド化がスタンダードになりつつあるが、『モンスターハンター:ワールド』や『キングダムハーツIII』は、エリア間の移動をシームレスにして、より広いオープン性のあるフィールドを搭載しようと試みている。

 また『エースコンバット7』に関しては、“空の革新”というテーマを掲げ、trueSKYと呼ばれる効率的に美しい空を描写できる新テクノロジーを採用。
 そして『シェンムーIII』は、前作から15年以上という長い時を経て、現代の最新ゲームエンジンUnreal Engine 4上で復活する。
 この中から昨年高い評価を浴びた国産ゲームに比する作品が登場するのか、いまから楽しみだ

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もちろん2018年の国産ゲームは新規IPも登場予定。中でも昨年発表されたスクウェア・エニックスの『LEFT ALIVE』 (画像)は、「アーマード・コア」シリーズの鍋島俊文氏やコジマプロダクションの新川洋司氏など、豪華開発陣が参加する注目作となっている
(画像はSteam:LEFT ALIVE™より)

 もちろん、昨年国内外で鮮烈なデビューを飾ったハード、“Nintendo Switch”周辺の動向も見逃せない。何よりも大きな動きは、任天堂が2018年から、“Nintendo Switch Online”と呼ばれる基本月額300円のオンラインプレイ向けの有料サービスをスタートすることだ。

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Nintendo Switch Online紹介サイトトップのスクリーンショット
(画像は任天堂公式サイトより)

 『スプラトゥーン2』などのオンラインゲームをプレイするには加入が必須となるほか、ボイスチャットなどの機能も搭載。
 ほかにも加入者にはオンラインプレイが搭載された『スーパーマリオブラザーズ3』などのクラシックゲームも提供されていく予定となっている。
 PlayStationやXboxユーザーにとっては馴染み深い有料オンラインサービスだが、任天堂にとってはサービスに対価が必要になるという点では初の試み。従来からのユーザーたちがどのようなリアクションが示すのか気になるところだ。

3. 国内スマホゲーが対面する世界的なガチャ規制と中国製アプリ

 2016年、業界団体の一般社団法人日本オンラインゲーム協会から、自主規制ガイドライン遵守が呼びかけられたことは知っている人も多いだろう。
 しかし、その発表から2年が経とうとする現在も、まだまだ一般ユーザーのガチャに対する不安感・不信感は完全には拭えていないように感じられる。
 実際に2017年には、新聞で100万円規模の親の金を費やした無職男性のニュースが報じられ話題を呼び、ほかにもガチャの不正操作・誤表記に関連した炎上や、高額の課金をしても目当てのアイテムが出ないため消費者庁へ通報したとのユーザーの報告も散見された。

 こうした国内の現状に加え、世界規模でも、ガチャやそれに類するビジネスモデルへの目は厳しくなりつつある。たとえば2017年には、App Storeでランダム有料アイテムの排出率の明記が義務化され、ガチャにも同様に規則が適用されるとして大きな注目を集めた。
 また中国では、同様のルールが法律として制定され、オンラインゲームを有するパブリッシャーは、ランダム有料アイテムの排出率の公開だけでなく、その排出結果をオープンにすることを義務付けられている。
 こうした動きはそもそもスマホゲームに限らない話であり、後述するが、日本のスマホゲーム界隈でも世界的な動きに合わせて、ガチャの規制に関するさらなる議論が進む可能性があるだろう。

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2018年1月配信予定の『DX2 真・女神転生 リベレーション』。同作のような人気IPを使ったスマホゲームとしては、ほかにも『ラブプラス』、『アトリエ』、『閃乱カグラ』、『龍が如く』が年内に登場予定
(画像はD×2 真・女神転生 リベレーション オープニングムービーより)

 また2018年にガチャ関連の議論と並行して目を配りたいのが、中国などから上陸してくるアジア産のスマホゲームだ。2016年の『陰陽師』に続き、昨年末には『アズールレーン』が配信から1ヵ月も経たないうちにユーザー数200万人を突破するなど、すでに成功を収めた事例が続いている。

 2018年は、上旬に『天命伝説』『風の旅団』、また春には『夢間集 –ムカンシュウ-(仮)』といった中国産スマホゲームが続々と配信される予定だ。
 日本のユーザーも好みそうなキャラクター性やビジュアルを有した作品が、テレビでCMを流すような予算感で乗り込んでくるこの流れは、このまま加速の一途を辿っていくことになるだろう。

4. 海外で勃発したルートボックス問題、AAAはどう付き合う?

 2017年末、欧米ではルートボックスと呼ばれる課金方式が取り沙汰され、『Star Wars Battlefront II』を中心に批判を受けたことは記憶に新しい。ルートボックスとはいわゆる日本のガチャに近いもので、細かいルールは作品ごとに異なるものの、基本的には敵を倒して手に入れたり現実のお金を支払って購入したりする箱(ボックス)を開封し、アイテムやキャラクターなどをランダムで入手するというシステムとなっている。

 これは2000年代後半に誕生し、基本無料タイトルに組み込まれてきた仕組みだが、近年ではAAAのフルプライスタイトルに搭載される例も珍しくない。
 対象アイテムをスキンなどのゲームバランスに影響しないもののみにする作品もある一方で、ゲーム内の強力な装備やキャラクターもルートボックスで入手できる作品が多くなってきた。
 昨年は『Middle-earth: Shadow of War』『NBA 2K18』といった作品が、フルプライスタイトルなのにランダム性のある課金形態を搭載した点や、「Pay-to-Win」、つまり腕やスキルではなくお金を費やしたプレイヤーが有利になるシステムを搭載している点で、一部メディアやコミュニティから批判を浴びた。

 それだけでなく、ルートボックスからドロップされるアイテムを、プレイヤーたちが公式・非公式のマーケットを通じて売買することがある。
 これらの点から「ルートボックスはギャンブルではないか?」、さらには「そもそも射幸性の点から規制すべきではないか?」という議論が加速し、アメリカの業界団体からベルギーの賭博委員会までがこの話題を重要視するようになっていったのが、昨年末の騒動の簡単な経緯だ。

 さて、そうした大きな騒乱が年末にあった2017年を経て、2018年は海外でも引き続き注目のAAA作品が登場していく。もちろん見逃せないタイトルとしては、今春発売予定の『Red Dead Redemption 2』があるだろう。

 Rockstar Gamesから発売される同作は、2010年に発売された西部開拓時代を題材にしたオープンワールドアクションの続編で、今作では前作にはない新たなマルチプレイヤー要素も導入される。
 ほかにも、新たに親と子のテーマを描いてシリーズのリブートを果たした新生『God of War』や、BioWareのオープンワールド超大型新規IPである『Anthem』も年内に登場。まだ発表はされていないものの『Call of Duty』は例年どおり発売されるだろうし、『Battlefield』最新作も年内末にリリースされる。いずれも遊び尽くすにはゆうに数十時間は見込まれそうな、ヘビーな作品ばかりだ。

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前作にはなかったマルチプレイヤー体験が追加される『Red Dead Redemption 2』。ちなみに『Grand Theft Auto V』には、『GTA Online』というオンラインモードが搭載され、2015年からの1年間で7億ドルの収益を得た
(画像は『Red Dead Redemption 2』公式サイトより)

 これらの作品の出来を個々に楽しむ一方で、2018年の欧米のゲームで目が離せないのは、やはりパブリッシャーがルートボックスという存在とどう付き合っていくのかという点だろう。
 AAA級作品のとめどないゲーム開発費の高騰が叫ばれる昨今、買い切りのパッケージやDLCとは異なり、継続的な売り上げが見込めるルートボックスは頼もしく強力なビジネスモデルのひとつであり、そう簡単に手放せるものではないことが予想される。プレイヤー、コミュニティ、業界団体や対賭博組織、そして政府が、上手く“すり寄せ”を見せることを願う。

5. VR用HMDは低価格スタンドアローンが登場。ワイヤレス化の波も

 VR元年と呼ばれた2016年から2年めを迎えつつある現在。
 VRのアーケード筐体やアクティビティ型の施設の人気が見られた一方で、まだまだ消費者向けのVRヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)は幅広いプレイヤーに普及している状況とは言えず、各パブリッシャーもVRゲームへと本気で力を入れているとは言いづらい状況だ。
 これはハイエンドなVR HMD自体がまだ高価であることに加え、まだまだ装着性や取り回しの点で使いづらいことが原因であると考えられる。

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PlayStation VR
(画像はPlayStation VR 公式サイトより)

 価格という点では低価格帯のVR HMDも存在するが、これらの多くはスマートフォンを組み込むのが前提となっている。

 2018年は、こういったVR HMDの普及を阻む問題点を改善するため各社が動きつつあるようだ。

 まず1つ目の動きは、低価格でありながらPCもスマホも必要とせずスタンドアローンで動作するというVR HMDの登場だ。具体的には、昨年7月にOculus VRが発表した、今年発売予定の200ドルのワイヤレスVR HMDが挙げられる。

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Oculus GO
(画像はOculus GO公式サイトより)

 Oculus GOと呼ばれるこのVR HMDは、ハイエンドでワイヤレス化を目指す同社“Santa Cruz”とは別のエントリーモデルかつスタンドアローンの製品。このOculus GOの動向を皮切りに、他社も低価格スタンドアローンモデル市場に追随する可能性があるだろう。

 このほか取り回しの面では、前述したOculus GOを含めてワイヤレス化も進みつつあり、Oculus Riftのライバル機であるHTC Viveにおいては、HTCとIntelが2017年1月からを発表し、2018年初頭にワイヤレスのハイエンドVR HDMを発売予定としている。
 こうして価格や取り回しの面での改善が期待できる2018年のVR HMDは、ソフト面ではまだまだラインナップ不足が予見されるが、ハードウェアの革新を通じて昨年と同等かそれ以上に盛り上がることに期待したい。

『ゼルダの伝説』のGame of the Yearは?注目すべきイベントは?

 このほかにも毎年開催されるイベントに関しては、2月には全米インタラクティブ芸術科学学会というアカデミックな団体の会員が選ぶD.I.C.E. Summit、3月にはゲーム開発者によるカンファレンスGDCが開催予定。このふたつの催しでは、昨年12月のThe Game Awardsと並ぶアワード受賞作品がそれぞれ発表される。昨年、The Game Awardsでは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がGame of the Yearを受賞しており、このふたつのイベントでのアワードの発表にも期待がかかるだろう。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が海外のGotYを続々受賞、『バイオ4』以来となる国産ゲームの快挙【ゲームニュースプラス】

 また例年どおり、6月のE3では最新タイトルの発売日や未発表タイトルのアナウンスがあるだろうし、8月のgamescom、9月の東京ゲームショウ、10月のParis Games Weekなども見逃せない。
 世界最大級のゲームショウであるE3が2017年に見本市からユーザー参加型のイベントへと舵を切ったり、プレイヤーが中心であるe-sportsの動きが活発になったりと、ゲーム業界ではコミュニティの存在感がさらに大きくなりつつあるのも、近年の動きのひとつと捉えられるだろう。

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1月25日には台北ゲームショウ、7月にはChina Joyが開催予定。日本では馴染みが薄いかもしれないが、昨年は台北ゲームショウが43万人、China Joyが34万2700人規模と、東京ゲームショウの25万4311人をゆうに超える人々が集まっている。アジア圏のゲームショウの動向も見逃せない。写真は2017年7月に開催されたChina Joyの様子
(画像:編集部撮影)

 さて、こうして2018年の予定を見てみると、今年も予定は盛りだくさん。まだまだゲームに関するニュースや議論に事欠くことはないだろう。今年も電ファミは、さまざまな角度からゲームの記事をお届けしていきたい。

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インタビュアー・編集
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn
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